Web特集
2010年05月25日
シリーズ: 塗るということの規範
塗るということの規範(2) 中嶋徹
これは現在の記述ですが、過去の「ウィキペディア英語版」のなかには、もう少し語り口を得た記述がありますので、それを引用してみます。
『Paint is the general term for a family of products used to protect and adid to color to an object or surface by covering it with a pigmented coating.』(塗料とは、着色された被覆材で塗ることによって、その物あるいは表面を保護したり、彩色することに用いられる製品群を指す一般的な言葉のこと)。
もうひとつ引用してみます。これはアメリカ・プリンストン大学の知覚サイエンスライブラリー「フリー辞典」からです。
『a substance used as a coating to protect or decorate a surface(especially a mixture of pigment suspended in liquid);dries to form a hard coating.』(塗料は表面を保護あるいは彩りを添えるための被覆材として使われる物質〈特に液体中に浮遊する顔料の混合物〉:乾燥状態で固い被膜を形成する)。これらの文脈では単に"花"が咲くということだけではなく、どのような"花"が咲くのかが説かれています。
例えば「着色された被覆材で塗ることによって」咲く"花"の物性的な根拠の説明として、「液体中に浮遊する顔料の混合物」であること、そしてその混合物が「乾燥状態で固い被膜を形成する」ことを指しています。これは「塗る種」が孕んでいるものを示しています。そしてその「種」を育むこと、つまり塗るという行為がその"花"を咲かせます。
「hard coating」「pigment」によって咲く"花"は「to protect and add to color」(保護することと彩色すること)あるいは「to protect or decorate」(保護することあるいは彩り添えること)という花々が咲き乱れます。「hard coating」という「種」が「protect」の"花"を、そして「pigment」という「種」が「add to color」や「decorate」の"花"を咲かせます。日本語の「美装」ではどんな"花"が咲くのか、あるいはまた咲かせるのか分かりにくいですが、英語の表現でははっきり語られています。
「add to color」は単に「彩色する」ということを指すにとどまりますが,「decorate」(彩を添える)という言葉には多様な言葉の価値が含まれており大きな稔りを予感させます。たとえば「decorate」の「飾る」や「装う」という言葉の意味は、豊かな「稔り」であることをイメージさせます。
「decorate」という言葉の意味は「飾る」「装飾する」「彩を添える」、そして(部屋に)「ペンキを塗る」「壁紙を貼る」という意味があります。ここでは「美装」はあえて塗料だけの"花"ではなく、機能ということで言えば「塗ること」と同じように「貼ること」も「飾り」「装う」ための"花"なのです。
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