Web特集
2010年05月10日
UV・EBコーティング特集2010 メーカー動向
光硬化型接着シートの開発に注力 東亞合成
東亞合成の光硬化樹脂事業は早い回復を見せている。「過去最高益に近い数字に近づいている。特に電子材料分野のディスプレイ関連や携帯製品向けのハードコートが順調に推移している」と需要を説明する。
同社はここ1‐2年、新規分野の需要開発に力を注いできた。従来、粘着や接着の分野では熱硬化型材料を用いるケースが多かった。同社ではこれまでも、シート状粘接着剤を開発しており、顧客での塗布工程を不要にするとともに生産性の向上を図ってきた。
「ホットメルト型接着シート、熱硬化型接着シートに続き、光硬化型接着シートを開発することで、従来よりも幅広い顧客ニーズを獲得できるようになった。既にホットメルト型接着シートはICカードなどの貼り合わせに、また熱硬化型接着シートはフレキシブル基板の銅箔とポリイミドフィルムなどの接着に応用されている」とコメントする。同社はこれら接着シートを展示会などに出展し、用途開発を進めていく意向だ。
また昨年、マレイミドアクリレートを新たに光硬化型モノマーとして上市した他、新規のオキサゾリドンアクリレートを希釈モノマーとして開発、サンプル出荷を開始した。
オキサゾリドンアクリレートは、低粘度で皮膚刺激性も低く、また水溶性という特長を有する。塗料、接着剤、インキジェットなど、幅広い用途での需要に対応していく方向だ。
ナノ分散技術でニッチ特化 第一工業製薬
UV・EB硬化モノマー・オリゴマー「ニューフロンティア」を展開する第一工業製薬。昨年は本部制から事業部制に組織改革を実施。営業、研究、生産を統合しシナジーを図ることで、界面活性剤で培った分散技術を強みにニッチ分野での高付加価値化に特化する。
需要環境について「ピーク時の8割程度までは戻ってきた。UV技術自体には環境エコの点から需要拡大が期待されるが、国内市場においてこれ以上の成長性は不透明感がある。電材市場の収益率の下落は著しく、当社としては高付加価値化で差別化を図っていく」(担当者)と話す。
UV原料においては、モノマーが主戦場にある中で、同社はオリゴマーの開発を積極化しており、耐アルカリ性、耐摩耗性、耐汚染性、帯電防止性など各機能性オリゴマーを開発。また低硬化収縮タイプ、高屈折率タイプも研究開発品として提案を進めている。
一方でニーズの変化も指摘する。「かつてのように硬さばかりでなく、柔らかさも求められてきている。UV硬化技術の用途拡大は今後も進んでいくだろう」と説明。木工、レジスト材、フラットパネルなどの電子材料部品と需要領域を広げてきた同社は、界面活性剤で培ったナノ分散技術による付加価値展開を強化している。
現在、同社は有機・無機ハイブリッド材料の開発を強化しており、既にジルコニアナノ分散体の紹介を開始。「技術訴求からユーザーニーズに対応したカスタマイズ力に強みを生かしていきたい」と期待感を示す。
機能性材料分野に特化 ダイセル・サイテック
「電子材料分野は全体的にいい。当社が対応しているレジスト関連も好調に推移しているものの、建材、インキ関連は回復が遅いようだ」と市況を説明する。現状の出荷数量は対08年比で約80%の回復状態にあり、「今年の後半には完全復調になるのではないか」と期待を寄せる。
同社は光硬化材料を今後の発展セグメントと位置付け、力を注いでいく方向にある。付加価値の高い機能性の分野に特化した展開を図っていく考えだ。「転写の技術を応用した加飾フィルムがクローズアップされている。そこに利用されるハードコートなども単なるハードコートではなく曲げ加工性、汚れ防止、帯電防止、更には耐指紋性といったさまざまなニーズが求められている。これらの機能を付与したモノマー、オリゴマーの開発、供給に努めていく」とコメントする。
同社の開発はベルギーが中心になって行っており、公約数の部分でテーマを掲げながら開発を進めているという。「機能性フィルムは日本が進んでいる。採用されるとさまざまな横展開が可能となる。その辺も踏まえて開発に取り組んでいる」ということだ。
また戦略的にマーケット対応を図っているのがナノコンポジットタイプのUV樹脂。シリカをナノオーダーのレベルにして分散させたタイプで、UV硬化に伴う収縮が小さく、安定性に優れることからここに来て引き合いが増えており、「加工性が求められるハードコート向けに対応している」と説明する。
チバとのシナジーに期待 BASFジャパン
高機能アクリレートの開発に特化するBASFジャパン。木工、プラスチック分野を主戦場にグローバルメーカーとして更なるサポート体制の強化に努めている。
国内の需要環境に関しては、「主力分野では思ったような回復が見られない。しかしUV全体で見ると新しい用途も創出されており、需要拡大が期待できる。当社としても研究開発品の提案を始めており、木工、プラスチックを中心に柔軟に需要環境に対応していきたい」(担当者)と説明する。
特に本国のドイツ・BASFは3月にスイスのスペシャリティメーカー・チバを吸収合併した。チバの持つ光重合開始剤技術との連携が図れるとあって、今後の技術提案に期待感を示す。
中でも需要拡大に見据えるのがLED型UVランプへの対応。「LEDタイプへの置換が1つの技術トレンドになるだろう」と、適切な光重合開始剤を組み込んだ機能性アクリレートの紹介を積極化させる意向。まずはインキ向けへの展開を図っていくとしている。
主力の機能性アクリレートにおいては、ナノシリカ50%含有のナノシリカ変成アクリレート「Laromar PO9026」、イソシアネートアクリレート「Laromar LR9000」ともに「堅調な引き合いが得られている」として、好調さをアピール。特に「Laromar LR9000」は実需として販売量を伸ばす一方で、同品を原料とした多官能ウレタンアクリレートも開発。「硬度に加え、柔軟性、密着性に優れている」として、訴求を高めている。
UV硬化型アクリルポリマー投入 大成ファインケミカル
アクリル樹脂を軸にユーザーニーズに応じた樹脂合成技術に強みを持つ大成ファインケミカル。昨年、UV硬化型アクリルポリマー「8KXシリーズ」を投入し、UV市場への参入を開始した。
同社が開発したのは、アクリルポリマー側鎖にメタクロイル基を導入し、マクロモノマーを重合させたUV硬化型アクリルポリマー。モノマー、オリゴマーがUV原料として広く使われている中で、ポリマータイプの特性を生かした機能訴求を図っている。
特長としては、アクリルポリマーにマクロモノマーを共重合させたことで、各種オリゴマーとの相溶性を確保。透明度が高く、塗膜硬度(H‐2H)、可とう性(伸び率30‐40%)に優れた性能を発揮。ハードコートフィルムへの材料設計においても塗膜硬度を維持しつつ、硬化収縮における密着不具合や反り変形の低減を可能にする。またポリマー設計のため低皮膚刺激性で、かつ乾燥後塗膜がタックフリーになるため、コーティングとUV照射の工程を分離することが可能となり、生産工程においても幅広い適用が可能となる。
昨年9月のサンプル出荷開始以来、引き合いは急増。「完成品メーカー、フィルムメーカー、塗料メーカーなどからサンプル依頼が寄せられている。ここからユーザーニーズに応じたカスタマイズ設計で評価を獲得していきたい」(担当者)と話す。既に年内にも本採用が見込まれており、「2012年には売上高5億円まで成長させたい」として、成長性に期待感を示している。
ナノ粒子ディスパージョンを展開 ビックケミー・ジャパン
ビックケミー・ジャパンは光硬化のマーケットに向け高付加価値・高機能を付与する材料供給を行っている。
昨年から本格展開に入ったUV保護、表面保護及び耐擦り傷防止用のナノ粒子ディスパージョンは引き合いも多く、用途開発を図りながら市場展開を進めていく方向だ。
ナノ粒子ディスパージョンの特長は本来の塗膜が有する塗膜性能・物性を変えないで傷などに対し再フロー性を付与できる点。これはナノ粒子(20nm)の表面を改質することでバインダーである樹脂と一体化した状態にしたため。
「処理したナノシリカ粒子が塗料中に均一に分散しバインダーと結合し、外部からの衝撃に対し追随して、運動エネルギーを熱エネルギーに変換して放出する。これが外部応力に対する再フロー性のメカニズム」と説明する。更にシリカと分散剤も反応し合い緩やかな結合状態を作っているということだ。
同ナノ粒子ディスパージョンには「NANO BYK‐3650」「NANO BYK‐3651」「NANO BYK‐3652」の3製品をラインアップ。UVハードコートの他、各種工業用、木工用塗料及び自動車用塗料に対応している。
またナノ粒子ディスパージョンにはシリカの他に酸化亜鉛やアルミナのタイプも揃え、市場対応の強化を図るとともに、カーボンナノチューブのディスパージョンタイプも開発し、新たな需要開発に向けて取り組んでいる。
ディスパロンLS、UVXシリーズ 楠本化成
楠本化成はUV硬化塗料用添加剤としてディスパロンUVXシリーズにLSシリーズを加え、幅広い対応を進めている。
UVXシリーズはすべてが環境対応型の完全無溶剤タイプであり、成分中にフリーのシリコーンを含まないのが特長。「UVX-35」「同-36」「同-39」はレベリング剤として、「同‐270」「同‐271」「同‐272」は被塗物に対する濡れ性・レベリング剤に、更に「同‐188」「同‐189」「同‐190」は消泡剤としてUV塗料のエポキシアクリレートやウレタンアクリレートを始め各種の樹脂系塗料にも対応可能。
また中~高極性のアクリル・アクリルシリコーンの重合物に「UVX‐3750」「同‐2280」「同‐2285」を有する。いずれも成分にフリーシリコーンを含まないため、一般的なシリコーン系レベリング剤と比較して泡立ちや上塗り性阻害の問題を起こしにくいといった特長を持つ。
新たに追加したLSシリーズは幅広い極性を有するシリコーン系レベリング剤で「LS‐240」「同‐260」は高いオイルハジキ防止性及びスリップ性付与効果を持つ。「同‐240」は水性塗料にも対応可能となっており、一般的なシリコーン系レベリング剤と比較して起泡性が低く、かつ上塗り性も阻害しにくいといった特長を有する。LSシリーズはUVコーティング剤の他、ウレタン塗料などに最適。
今後、同社は光硬化系が電子材料の他用途への広がりとともに採用が増えるものと予想している。
電子・光学分野が急回復 大日精化工業
大日精化工業のUV・EBコート材事業が回復基調にある。「電子・光学部材関連の割合が高いので、比較的早い時期から回復に向かった。他の業界でも伸びている」と数量的に最盛期に迫る勢い。
電子・光学部材は日本企業の占有率が高く、使用されるUVコート材も同様の状況にあるが、機能とともにコストダウンの要請も高い。特に伸長著しい中国、東南アジア向けは実勢価格を反映しコストダウンが求められているようだ。国内光学用では低反射、帯電防止などで更なる機能アップが求められており、同社はユーザーとタイアップする格好で開発に取り組んでいる。「光学部材の中で用途が広がりつつある。それに伴い機能性フィルムの原反メーカーやコンバーティングメーカーなどとケースバイケースで共同開発を進めている」と事情を説明する。
また建材関連では、住宅不況の中、同社のコート材を使用した建材部材が堅調さを維持している様子。更にはUVコート材を保護コートとした加飾フィルム用途が拡がりつつあるという。
「UV加飾フィルムは塗装方式と比べ工程数が少なく、グラビア印刷を利用した意匠表現ができるので、デザイン性が高い。加えて品質が安定しているのでコストダウンに結びつき、採用が進んでいる」と塗りから貼りへの技術移管が進むものと同社は見る。
今後、自動車関連も含め電子部品・部材への採用が増えていく方向。従来の熱硬化から光硬化の技術が進展していくと予想する。
コンパクトUVランプユニットを展開 ヘレウス
ヘレウスはコンパクトな紫外線(UV)ランプユニット「MH‐Module」のラインアップを図り、MH-Moduleシリーズとして展開を進めている。
従来のユニットで使用されてきたランプはメタハライドランプ(鉄ドーピングランプ)のみであったが、新たに水銀ランプ、ガリウムランプを製品群に加え充実を図った。同じ寸法かつ同じ電気仕様のため、ユニットのランプ交換のみで各種ランプに対応できる。
またガラスリフレクターコーティングを改良したことによってリフレクターひとつですべてのランプに適応可能となった。「このため目的に応じたランプの使い分けが容易になり、効率的に使用できる。更にランプの種類によって異なるUV出力波長の特性とその効果の確認も簡単に行える」とコメントする。
同コンパクトUVランプユニットは直径107mmの円錐形のガラスリフレクターにランプ及びソケットホルダーの3つの部品で構成されている。ソケットホルダーと合わせて全高は91mm、重量は350gとユニットの小型軽量化を実現、ハンディーユニットとしてさまざまな用途に使用できる。また電源として専用安定器も備え、100ボルトと200ボルトの電圧に対応。更にパルス幅変調(PWM)信号により連続的に調光することも可能だ。
主な用途はUVインク・塗料・接着剤などの硬化及び乾燥、ハンディーUV照射装置、小エリア照射用途、複数灯の設置による広域照射及びゾーン出力制御、実験・開発用途など。
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