Web特集
2010年06月09日
自動車アフターマーケット特集2010 BPケーススタディ
直需98%、サービス力を高める組織づくり 伊倉板金塗装工業(東京)
現在、現場スタッフは6名。55歳を超えるベテランスタッフが3名、20代を中心とした若手スタッフが3名在籍している。「当社に定年はないが、5年後には世代交代期が訪れる。技術継承を図る上でも今対応しておかなければ間に合わない」と若手スタッフの育成をポイントに挙げる。
その鍵となるのが、権限の委譲とスタッフのモチベーションの活用。「見積り、駐車場管理など営業管理面においては、すべて自分でやっているため、少しずつ若手スタッフに委譲していきたい」と話す。
現在、同社は理念浸透型経営を推進することで、組織力の強化を目指している。理念浸透型経営とは、社員のモチベーションを引き出しつつ、会社の理念を落とし込み、会社と社員のベクトルを共有していく経営手法。会社の社是や経営理念の唱和に見られるようなトップダウン型の落としこみではなく、あくまでも社員の自発性を顕在化させることが特徴となっている。
「会社から与えられた仕事をこなすだけでは、社員の定着は望めない。入社時は技能者になるべく入ってくるが、それが自分に向いているかどうかについて考えることは少ない。自分の適性を考えてもらうことが重要」として、会社が打ち出した大枠の中で、社員に選べられるような仕組みづくりを進めている。
社長と社員のベクトルを共有する上で、伊倉氏が有効なツールとして評価するのが今流行りのツイッター。パソコンや携帯電話を利用し、140字の制約の中で自分が感じたことを書き込む(つぶやく)ネットワークツール。「ちょっとした書き込みからそれぞれが感じていることが汲み取れる。ブログよりも体温があり、親近感がある」と、若手スタッフには1日1回の書き込みを義務付けている。また輸入車"マスタング"について書き込みをしたところ、すぐにマスタングのオーナーから反応があるなど、「アンケートにも使えそう。ツイッターは中小零細企業にとって有効ツールだと思う」とビジネスツールとしての可能性に期待感を寄せる。
伊倉氏自身、ホームページは当然のこと、ブログ、そしてツイッターと新規の情報ツールを積極的に利用している。その背景にあるのが、直需率98%を超える元請スタイルが経営の根幹にあるからこそ。「これからは技術だけでは生き残っていけない。サービス力が重要になる」。顧客の嗜好やニーズを絶えずキャッチし、顧客の満足に応えるプラスアルファのサービスを提供していくことが同社の経営理念となっている。
移転検討、水性対応も視野
現在の入庫量は月平均60台。「急ぎのニーズに対応するため」として新たに駐車場を借り6台を追加した。合計22台の保管体制を有するが、それも既に限界に近い状況となっている。「経営効率を考えると、工場と点在する保管スペースをまとめていきたい。新たな用地を取得し、移転も検討している」とコメント。また水性対応に向けた設備投資も視野に入っていることから、長期ビジョンに立った経営判断に迫られている。
また伊倉氏は「サービス業としての視点が生き残りの絶対条件。技術を持っているところに生き残ってもらいたい」として、これまで培ったWEB集客や直需体制の構築などを提供するサービス会社を立ち上げる計画を打ち出している。来年にも新会社の設立を予定しており、異業種交流で得た人脈をブレーンに準備を進めている。
塗装設備をリニューアル、生産性向上と環境配慮へ ホンダカーズ東京中央・立川西店
ホンダカーズ東京中央は立川西店など鈑金塗装工場を4拠点有し、月間約1,100台の入庫車のうち、4工場で約450台を処理し、残りを認定BP工場に外注している。
「どの工場でも同レベルの品質を維持するように管理体制を整えている。入庫車の振り分けは、現在はエリア制をとっているが今後はウェブによる集中管理体制を敷く予定にしており、現在一部でテスト試行している。新たな体制を敷くことでより効率的に入庫車を処理できると考える」(営業統括部サービス部・藤谷昭部長)。
立川西店のBPでは月間約120台の入庫車を処理し、塗装3名、板金6名、工場長、フロントの計11名で対応。立川西BPではこのほど塗装ブースのリニューアルを実施、アンデックス社が次世代省エネタイプとして展開している「CAB-H2」を導入した。
CAB-H2は水平流プッシュプル方式を採用しているのが大きな特徴で、一般的な上下に空気が流れるのではなく、前面扉のチャンバーボックスから後面の排気フィルターへと空気が流れる。このため、必要風量が約3分の1(同社比)で済むなどのメリットがある。
更に立川西BPでは「東日本では初めてのフルスペック」(アンデックス担当者)となる、除湿・加湿機能も完備している。これにより年間を通して一定の環境条件での作業が可能となる。
「冬場や夏場の労働環境の向上につながることが大きなポイントだった。塗料の性能が向上する中、作業環境もよくなれば生産性の向上にもつながる。また、除湿、加湿が調整できれば、将来的には水性塗料の導入もしやすくなる」と藤谷部長は採用理由を述べる。
同社では水性塗料の採用に関しては、志村工場で一部使用しているが、本格的には「品質が安定し作業性が優れたものが開発されれば切り替えたい」(藤谷部長)としており、環境配慮には大きな関心は示すものの、品質・生産性の向上が必須との見方。
また、立川西BPではリニューアルにより大幅なスペース拡大を実現、新ブースCAB-H2の他にオープンブースと調色室を新たに設けた。これにより、従来1基だった塗装ブースが2基に増えたものの、以前の塗装ブース及び乾燥室がなくなったため、工場の作業スペースが大きく確保できるようになった。鈑金作業スペースも大幅に拡大しており、「新しいレイアウトや設備での作業の流れがつかめれば効率は上がるはず。室内も明るくなり、現場からはやりやすいという声が多い」(藤谷部長)として、現在の120台(月間)の処理台数を当面は130台に、更に人員を増やして150台を目指す。
今後の戦略としては入庫台数の拡大及び内製化率の向上を図っていく。同社ではカーオーナーへのPR活動を活発化。小さな傷を半日で直す"クイックペイント"を大きくアピールしたり、パンフレット配布などの営業活動を強化したりして、ホンダ車、他メーカー車に関係なくすべてのユーザーを取り込む戦略を進めていく意向。
「これからはフロント部門でも鈑金塗装をもっと把握する必要がある。人材育成を最重要強化ポイントとして、会社全体でボディーサービス事業に注力していく」(藤谷部長)。
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