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Web特集

2010年06月02日

シリーズ: 塗るということの規範

塗るということの規範(3) 中嶋徹

突飛ですが、アメリカ労働省の労働統計局が発行している「職業展望の手引き2010-11版」というものがあります。そこで「painters and paperhangers」(塗装職と壁紙職)という併記で職業内容について説明しています。


『Paint and indoor wall coverings make surfaces clean,attractive,and vibrant. In addition paints and other sealers protect exterior surfaces from erosion caused by exposure to the weather.』


訳すと「塗料と内装の壁紙は外観を清浄で魅力的で感動的にする。加えて塗料やシール材は天候による暴露によって被る腐食からの外装の表面を保護する」と書かれています。
塗料と壁紙は「indoor」(内装)においては、同じ「稔(みの)り」としての選択肢として語られており、また「decorate」の「花」による「稔り」については、「清浄」「魅力」「感動」に溢れた外観であることを述べています。そして外装においては、塗料の特筆すべき「protect」の「稔り」として「腐食からの外装の表面の保護」が挙げられています。


「wall covering」というのは壁紙を指しますが、塗装もまた「covering(覆う)」という様態から見れば、「wall covering」と言えます。
塗料の領域では「coat」という言葉で一般に語られています。「coat」は「~に上着を着せる」「~の表面を覆う」から「~に塗る」という意味になります。これは物の表面への被覆材として「コーティング」と呼ばれている表面処理です。
「コーティングとは物の保護やその外観を変容させるために用いられる表面被覆のこと。それらは液体、気体、固体として用いられる」。これも過去のウィキペディアの記述のひとつですが、塗料は多様な表面被覆処理の中の「液体」の被覆材であり、「塗るということ」はそのひとつの化学的な方法なのです。メッキなどもそのひとつです。


メッキという言葉は通常は「plating」ですが、「coat」にも「塗装」と同じく「メッキ」という意味があります。この範疇では塗料は「coating」という言葉になります。それは「protect」という「保護」機能をより高度にしつつ、素材の表面への「特殊機能の付与」という「花」を咲かせ、「耐熱」「遮熱」「断熱」「耐火」「抗菌」「防水」などの「稔り」をもたらすことを意味します。
これは特に「industrial coating」とも呼ばれています。ウィキペディア英語版の記述においては、「工業用塗料は、塗料的には保護的なことも審美的な役割も両方とも備えているけれども、どちらかと言えば審美的な役割よりは保護的な役割を明確にした塗料や被覆材」と訳すことができます。あえて言えば、これらは「coating」という表面被覆処理として機能論的な「覆う」‐「塗る(coat)」という「to protect」の規範であるということができます。

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