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Web特集

2010年07月20日

シリーズ: 塗るということの規範

塗るということの規範(8) 中嶋徹

(coatingの定義について)表面被覆処理の媒体となるものが「液体、気体、固体」と述べられているだけで、「保護や外観を変える」ということは具体的に語られてはいません。塗料は「液体」として用いられる媒体のひとつとなります。コーティング材の範疇には多様なものがあり、印刷プロセス(Printing Processes)やメッキなど、その他に化学処理などの工業的な表面被覆処理材や技術があります。先ほどの「coat」には「塗装」以外に「メッキ」という意味が掲げられていますが、一般には「Plating」が「メッキ」という意味の言葉になります。


「メッキ」は金属やプラスチックに金属の被膜を表面被覆処理したものですが、金や銀メッキやクロムメッキなど仕上がりによって分類されるものや、その処理方法で電気メッキや溶融亜鉛メッキ(どぶ漬けメッキ)と言われるものがあります。身近なものでは鉄に亜鉛をメッキしたトタン、あるいは鉄に錫をメッキしたブリキなどがあります。また化成処理(Conversion coating)では黒染めやパーカーライシングやクロム処理などがあります。テフロンなどはポリマーコーティングと呼ばれています。一般にメッキの方が鉄などへの付着性や防食性が塗料よりも優れていますので、メンテナンス性を考えればメッキになりますが、彩色性に欠けることで美観ということでは塗装が優位になります。そのためメッキ処理の上に塗料を塗るという塗装仕様があります。メッキにも彩色加工が施されますが、メタリックな色調と色感にとどまっています。


塗料は「コーティング」というジャンルにおいては、メッキやその他のコーティング材の中の有効な表面被覆処理材であり、塗装もまた同様に「コーティング」の中のひとつの表面処理として工業的であり、かつ技術的なカテゴリーなのです。私たちがこのジャンルで垣間見るのは塗料を媒体とした「塗るということ」による固有な行為が、いかに「機能性」を物の表面に付与するかという「Engineering」(技術)の規範ということになります。


そして「塗るということ」に携わる人は「Engineer」(技術者)ということになります。塗料の市場ではこれらのスタンスに立つものは工業用塗料(Industrial coatings)と呼ばれていますが、建築用の市場においても塗膜の多機能性と高機能化したコーティング材としての訴求がなされています。建築用塗料についても、その塗装仕様や工程に基づいた塗膜形成といろいろな「特殊な機能性を付与」を通じて、耐久性と美観の向上を求められる塗装従事者においては「技術者」というスタンスに身を置くことになります。ここでは「Painter」=「Engineer」という「塗装技術者」でなければなりません。これは極めて近代的かつ工業的な規範であり、「職人」という伝統的な規範とは異なります。(つづく) ※2007年執筆

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