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2010年08月23日
シリーズ: 塗るということの規範
塗るということの規範(11) 中嶋徹
「paint」という言葉の意味を改めて辞書、英和中辞典(旺文社)で拾ってみます。
◇名詞:1)絵具、塗料(ペンキ)、顔料(pigment)、着色材2)紅、口紅、(主に顔用の)化粧品(make-up)3)(主に米西部、白黒の)まだら馬(pinto)4)着色、彩色
◇他動詞:1)...にペンキを塗る。彩色する2)(絵具で)...を描く、(絵)を描く3)...を着色する、...を彩色する4)(言葉で)...生き生きと描写する5)(薬を)...に塗る6)...に化粧をする、紅を塗る
◇自動詞:1)ペンキを塗る2)(絵具で)絵を描く3)化粧をする「painting」1)絵、油絵、水彩画2)絵を描くこと、画業、画術、画法3)ペンキ塗り、(顔に)紅をつけること、着色、「painter」1)画家2)ペンキ屋、塗装工※[海]もやい綱、[動]アメリカ豹
◇形容詞:「painted」1)描いた、彩色した、彩色の2)ペンキを塗った3)見せ掛けの、虚飾の4)厚化粧した、「painty」1)(絵具、ペンキ)の2)絵の具を塗りすぎた3)ペンキ(絵具)を塗った、ペンキで汚れた、ペンキだらけ―の以上が「Paint」に関わる言葉の意味に掲げられたものです。
日本語では「絵具」と「塗料」とは全く別の言葉として分化していますので、意味の選択や言葉の解釈に問題は少ないですが、 「Painting」は「絵を描くこと」であり「絵画」でもあり、「Painter」は「絵を描く人」であり「画家」でもあります。もちろん言葉の意味の選択は前後の文脈によって推測されます。しかし、私たちが関わる環境では、「Painting」は「絵画」ではなく「塗装」であり、「Painter」は「画家」ではなく「塗装職」になります。そして単に「塗料を塗る人」ではなく、「professional」(専門家)としての「Pro-Painter」(プロペインター)です。
「Painter」には2つの意味があります。「画家」と「塗装職」ですが、ここでも言葉の意味の定義を確認しておきます。
先にあったように単に「One who paints is called a painter」(ペイントを塗る人をペインターと呼ぶ)という言い方ではなく、社会的な関係における定義ということです。この文脈では前段の文脈との関係で「paints」が絵を描くことではなくペイントを塗ることであり、「painter」は「塗装職」であることが分かりますが、この文章だけでは意味は確定できません。この文章だけであれば、「絵を描く人を画家と呼ぶ」と解しても成り立ちます。社会的な関係ということでの位置が語られてないからです。
社会的な関係とは「職業」(occupation)的な意味ということです。プリンストン大学の知覚サイエンスライブラリーの「フリー辞書」サイトの定義では直訳すると、「絵を描く画家(芸術家)」と「ペイントで物を塗ることを生業とする労働者(職人)となっています。(つづく) ※2007年執筆
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