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Web特集

2010年08月19日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装No.157 山金工業森田工場 粉体塗装の多色化に向け設備更新 4ブース使用の効率生産

スチール家具メーカーの山金工業(本社・福井市、社長・山下真寛氏)は昨年から今年にかけて約3000万円を投じて粉体塗装ラインの更新を行った。2004年に全面リニューアルを行い、多色対応を図ったものの、更なる効率化を求め今回3ブースから4ブースに増強して色替えの迅速化と省人化を進めた。小ロット多色化が進む中で、同社の粉体塗装の考え方を取材した。

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製造部生産管理課課長 小田誠氏

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製造部製品製造課生産管理課保全係長 朝比奈淳一氏

 

景気は穏やかに回復しつつあるというものの依然設備投資は低調で、加えて新設住宅着工数も低迷している。工業統計によると平成20年度のスチール家具の出荷額は前年比マイナス9.3%の3,919億円。昨年度は更に落ち込んだものと思われるが、物件対応が多いだけに回復は遅々としている。


山金工業は事業所用什器備品、家庭用スチール製品及び病院・医療・福祉施設用の軽量引戸(間仕切り・ドア)の製造・販売をメインに全国展開を行っている。特に軽量引戸のシャトルドアや間仕切り・ドアなどの建材関連は同社の売上の80%を占め、高齢化社会を迎える時代において医療・福祉施設においてニーズは高まっている。


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着荷場

同社は"快適な居住区間の創造"を社是に掲げオーダーメイドへの対応を積極的に進めてきた。その結果多品種・少量・多色化が進み、生産効率が落ちるといった状況に直面。特に塗装ラインにおける色替え時間の短縮化が大きな命題となり、今回の設備更新となった。「少子高齢化を迎える中で、学校関連のスチール家具製品の伸びはあまり期待できない。むしろ病院や老人ホームの施設関連に向けた製品開発、販売に注力している。全体的に受注量が減る中で、販売品目の統合を図るなど合理化を進めているが、オーダーメイド品が増えることによって塗色も増えてきている」と同社製造部製品製造課生産管理課保全係長の朝比奈淳一氏は事情を説明する。


現状ホワイト、ベージュ、グリーン系を中心に20色程を標準色に揃えるが、指定色が多く多色対応を余儀なくされている。「一現場で20枚のサンプルを製作したこともあった」(同氏)と建築塗装さながらの様相。しかし、同社ではむしろ多色対応を逆手に取り、(色相)ニーズへの対応を前面にした営業強化を行う考えにある。
また製品開発という点では粉体塗装によるホワイトボード用塗料を開発。文化施設からのニーズで、金属パネルを(粉体塗装の)ホワイトボードにするというもの。ホワイトボード用のマジックであれば書いて消すことができることから好評を博しており、同社はこの塗料を用いた新製品開発にも力を注いでいる。


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前処理ライン

ロットごとに4ブースで効率化

同社の塗装ラインは全長約200m。前処理・粉体塗装の一貫ラインとなっている。前処理ラインはシャワー式を採用し、脱脂兼リン酸鉄皮膜化成-水洗-水洗-水切り乾燥(180℃×10分)の工程。この前処理ラインは従来のまま使用している。
また粉体塗装ブースはこれまで固定ガンブース(第1ブース)と色替え対応のレシプロブース(第2ブース)及びハンドガンによる補正ブース(第3ブース)、焼付乾燥(180℃×15分)の構成となっていた。


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更新したBブース(旧第1ブース)

今回、清掃時間の短縮を目的に固定ガンブースをひと回り小さな固定ガンブース2台(Aブース・Bブース)に更新した。Aブースはメイン色であるベージュ系を中心に回収再利用できるようにし、Bブースは多色対応の吹き捨てを基本にしている。ここでは両ブース間に塗料の吸引口を設けサイクロンによる回収可能な構造にしている。Aブース、Bブースともに摩擦帯電式オート3ガンを固定にして対面に設置。
また従来の第3ブースである補正ブースは今回1.5倍に拡張し、作業効率を高めた。「箱物の補正に時間を要することからスペース的に余裕を持たせ、摩擦帯電式ガンとコロナ式ガンの両ハンドガンを備えた」と朝比奈氏。中間に位置する第2ブース(1レシプロ・摩擦帯電式3ガンを対面に設置)はベルト式の色替えブースで従来のまま利用している。


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多色に対応するための塗料タンク

同社では被塗物の枠数に応じて大・中・小と分けて各塗装ブースに振り分ける仕組みにしている。5枠以下の小ロット品は補正ブースで行い、6-15枠を中ロット品として固定ガンブースのAブース、Bブースで対応。そして16枠以上の大ロット品を色替えレシプロブースである第2ブースで塗装を行っている。

塗料使用効率の向上

新規に導入したA、Bブースの色替え時間は1人で15-20分で行っており、その間ラインを止めることなく15-20ピッチの空きを作って連続的に塗装を行えるようになった。更に多色に対しては塗料タンクを20個以上用意し、デュアルインジェクションの部品を装備しスムーズに行う他、主にメイン色を使用するBブースでは固定塗料タンクを用意している。
「色替えを迅速に行えるように改造・更新することで小ロット・多色に対応できる構成になった。これによって生産効率は従来の1.5~2倍にアップするとともに、吊り治具の改善やワークシステムの改良で塗着効率が向上し塗料使用量の低減も達成した」と同製造部生産管理課課長の小田誠氏。


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拡張した補正ブース

更にオーダーメイド品の色相については早めに色決めをするように営業にも協力を求めている。「比較的色相は淡色系が多いので塗料の配合もしやすいとは思う。しかしロットが小さく1色当たり5-6袋が多い。このへんがコストアップの要因」と打ち明ける。特に短納期の発注になると1.5-2倍の塗料単価になるという。同社では塗料の使用効率を高めるため補正に使用する塗料は回収粉を使うなど品質の規格内で工夫を凝らしコストダウンに努めている。
今回採用したプラスチックブース及び摩擦帯電式ガンはすべて旭サナック製。「他社のブースやガンも比較検討したが、当社で80%を占める建材商品は入りくんだ形状のワークが多く、入隅の塗着性が課題。コロナ式も改良が加えられているが、やはり入隅の塗着性においてはトリボ式が秀いでているため、今回もトリボ式の採用となった。使い慣れたものがいいとの塗装作業者の声も大切にした」と朝比奈氏。


摩擦帯電式の採用はこれまでも使用しているが、特に箱物の内部への入り込み性と仕上がり外観を重視してのこと。オートガンの吐出量は1ガン当たり80-100g/minに設定。所定の平均膜厚は40μm以上。またブースの開口部は最大高さ1600mm×幅800mmの被塗物に対応できる。
新規に導入した固定ガンブース(A、Bブース)はひと回り小さい設計になっていることから塗料の吐出量を絞り、ブース内をクラウド状にしてその中を(被塗物を)通すイメージだ。「吐出量が多いとブース外に(塗料を)持ち出しかねないのでぎりぎりまで絞って吐出している。従って箱物の場合、適正膜厚を得るために補正せざるを得ない」(同氏)というのが本音のところ。それを承知で今回3ブースから4ブースにし、効率生産を目指した。これまでコンタミによる不良は発生していないという。


前処理から塗装現場の人員配置は4人で運営している。被塗物の着脱に2-3人。1人が4つのブースを管理し補正に1人を配している。無論、1人で複数を受け持つ格好だ。「これまで補正に2人を配していたが1人にすることで省人化が図られた」という。
品質管理は目視の他、同社が定める基準に沿ってロットごとに抜き取りで色差、膜厚、密着などの検査を実施している。なお塗料はトウペ製品がメイン。

多色化対応に向け塗装仕様の見直しも

約20年前に導入したPCM粉体塗装ラインも健在だ。6年前に回収再使用を可能にするとともに、仕上がり外観の向上を目指しコロナタイプから摩擦帯電タイプに切り替えた。切板の大きさは幅1,500mm、長さ3,000mmまで可能というもの。
この粉体塗装パネルの上に木目調の印刷を行っている。昇華転写方式によるもので、「印刷された転写紙と粉体塗装鋼板を圧着させながら熱をかけると、転写紙の染料が鋼板の塗膜に染み込むことで模様ができあがる」(小田氏)仕組みだ。この木目調を施したパネルが好評で高い稼働率を保っているという。


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開発した粉体ホワイトボード

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20年を経過する粉体PCMライン
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P>しかし導入以来20年を経過し、メンテナンス経費も膨らみ今後どうしていくのか岐路に立たされている。「我々にとってモノ作りといった観点からすると手を加えながら動かしてきた生産設備であり、我々の誇りとなっている。しかし、これからの時代に量産品対応の設備が必要なのかということを考えるとワークシステムを含め見直しが迫られるのではないか」と小田氏。
国内の切り板のPCM粉体塗装ラインは現在2基稼働しており、貴重なラインである。
更にポストコートの粉体塗装においても限られた現在のスペースの中で更なる多色対応を行うのはなかなか難しいように思われる。現状の色替えブース(第2ブース)を高速色替えブースにしてライン全体の効率化を図るのか、更には多色(標準色以外)の部分を水性塗料に切り換えるのか、いずれにしても大きな投資とこれまで以上の管理が求められる。


製造メーカーとして環境問題とコストの両立しにくい課題を抱え、更に多品種・少量・多色化が進む中で、どのように対応していくのか。今後の方向性を考えたとき、大きな岐路に立たされているようだ。


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