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Web特集

2010年08月17日

シリーズ: 塗るということの規範

塗るということの規範(9) 中嶋徹

「Paint・er」→「Painter」(ペインター)は「塗料を塗る人」になりますが、「Coat・er」→「Coater」(コーター)は「人」ではなく機械を意味します。


例えば「ロール・コーター」は、大型のゴムロールに塗料をつけて、合板や鋼板などに一定の塗膜の厚みを付けて塗布する塗装の機械的な方法もしくは機械設備を言います。工場などで量産化に対応した塗装方法になります。量産化製品の塗装は、いかに人的、労務的な要素を排除していくか、という合理化と効率化の論理をベースに生産性向上がテーマになります。「コーター」は機械であって、「人」ではないのは、そのことを象徴しています。これは私たちが佇む「コーティング」の風景のパースペクティブ(規範)に映るひとつの光景と言うことができます。
また、塗料のもうひとつの風景である「Painting」について見ます。インターネットサイトの「Wikipedia英語版」の「Paint」の記述は以下になります。


 "Paint is the general term for a family of products used to protect and add to color to an object or surface by covering it with a pigmented coating. As a verb.,painting is application of paint. One who paints is called a painter"(塗料というのは、顔料で彩色された表面被覆処理材で、(物の)表面を覆うことによってその物を保護し色彩を施すことに用いられるひとつの系列の製品群を指す一般的用語のことです)。


 "Paint can be applied to almost any kind of object. It is used, among many other uses, in the production of art, in industrial coating,as a driving aid(lane marking), or as a preservative(to prevent corrosion or water damage)."(塗料はほぼ色々な種類の対象物に塗ることができます。多くの利用法がありますが、例えば、芸術の制作、工業用の表面被覆処理、そして車の運転時の道路の車線のマーキングを目的に、あるいは防食的な意味で鉄を腐食や雨水のダメージから防ぐために使用されます)。


前段の引用文では、役割あるいは使用目的から塗料を説明しています。「cover...with...」という「Covering」の文脈の中で物と表面に塗料が媒介することで「保護」や色彩(美観)を付与するという対象との機能的な関係を語っています。そして「with a pigmented coating」(顔料で彩色された表面被覆処理材)と「コーティング」としての規範の側から塗料を説明しています。


しかし「pigmented coating」という表現は、先に見たようにさまざまなコーティング材というカテゴリーの中で、彩色可能なコーティング材として塗料はその存在に意味と価値があるということが言えます。私たちが塗料を改めて「色材」として訴求する根拠と言うことができます。(つづく)※2007年執筆

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