Web特集
2010年08月03日
シリーズ: 地域力
地域力(第4回) 石田塗料(東京都) 需要創造はワクワクが止まらない 地域ネットワーク生かしてメーカー化
石田塗料は自動車補修塗料をメインに扱うオートサプライヤー。ユーザーのほとんどが地場の独立系BPだ。カーディーラー向けでは売上は期待できるが、担当者が変わると製品システムが変更されることがある上、自動車部販の本格参入の話もあり更なる競争激化が予想される。そのため、石田社長は地域の力のある独立系BPへの対応に注力してきた。
商材としては高級ブランド「スタンドックス」を扱い、高級仕上げ、こだわりの品質を好むユーザーのネットワークを構築し技術や営業支援を行ってきた。地域に密着したサポートをしてきたことで、石田社長には販売店とユーザーという関係以上の信頼関係を構築してきたとの自負がある。
ただ、それでも自動車補修業界では数年前から厳しい状況が続いている。若者の車離れや近年の不景気による新車販売台数の減少、更に温暖化により降雪が少なくなり事故車も減少するなど、板金塗装業界では入庫車の減少はよく聞く話だ。
需要創造の面白さ
そんなとき知ったのが金属外観を塗装で施工できるシステム。可能性を感じた石田社長は工業用として自動車部品に使用されていたものをオートアフター用にアレンジし、「メタルフラッシュ」として発売。2006年のことだ。
これで弾みがついた。「オリジナルの商品で新しい需要を創造していく面白さがあった。市場にあるものを売るのとはモチベーションが全く違った」と石田社長は振り返る。
結果としてこのビジネスがメーカー志向の第一歩となり道ができていく。
翌年の2007年には銀鏡塗装システム「nanoAg SYSTEM」を発売。「銀鏡塗装にはすごく興味があった。以前からいくつかのメーカーのものを扱っていたが納得できるものがなかった」(石田社長)ところ、知り合いから紹介された銀鏡塗装システムで、品質とコストの両面で"いける"と感じた。
「nanoAg SYSTEM」は材料に改良を加えてスプレーガンなどユニットとして市場展開。展示会や講習会など積極的に外に出てPRしたことが奏功し、オートアフターマーケットだけでなく、インテリア、看板、自動車部品などさまざまな用途で使用されていった。
オリジナル製品を扱うことで新たな需要を創造できることが強みとなっている。石田社長は「従来の塗料販売店としての商売だけだったら、今頃は厳しくなっていたかもしれない」として、オリジナル製品・メーカー志向の方向性に確かな自信を持つ。
そして、2007年からビジネスをスタートさせていた無機塗料の事業を本格化するため、今年1月に石田社長が代表取締役となりコスモコーティングを設立。無機・無溶剤塗料「coco inorganic line」の開発、販売及び施工を本格展開していく。
こうしたメーカー志向ビジネスの根底にあるのは板金塗装技術の豊かな可能性だ。もともと同社のユーザーには意識が高くノウハウを持っている技術屋が多い。「メーカーの仕様を頭から信じ込むのではなく、もっといいやり方はないかと考えてトライしているユーザーが多い」と石田社長。
板金塗装は下地処理、調色、塗装、磨きなどの高度な技術を持っており、そうした技術を生かせる商材を見つけて新たな需要を創造することに石田社長は面白みを感じている。
メタルフラッシュもnanoAgシステムも地域ユーザーのBPと組んで事業を進めてきた。新会社でも同じベクトルを持つBP社長らと3人で立ち上げた。
良い材料、システム、流通を作り、需要を掘り起こしながらマーケットを作っていく。そこには販売店、ユーザー、メーカーといった従来の関係性はなく、いたってフラットなネットワークだ。蓄積してきた技術を生かして「違うフィールドで勝負する」と石田社長は意気込む。
◇会社概要:石田塗料
本社:東京都八王子市本町20-18、TEL042-622-1404、FAX042-622-2447。代表取締役・石田明氏。
石田社長は3代目として平成11年より社長を務める。「価格競争はつまらない」として、ユーザーのグループ化を早くから行い、本当に大切な情報やサポートで信頼関係を構築してきた。その関係性は商売関係というよりは"仲間"だ。そうした仲間と一緒になってビジネスのフィールドを広げている。「先のことなんかは考えてはいないけどね」と謙遜するが、とにかく研究熱心、そして行動力がある。そうした石田社長だから周りには"面白い"人や情報が集まってくるのだろう。「仕事が面白くて、ワクワクしている」感覚も周りに浸透している。
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