Web特集
2010年08月20日
本紙・流通アンケート 生活者に真っ向勝負 地域密着指向の大潮流
生活者アプローチに活路
塗料販売店にとって、生活者(一般消費者)対応が大きな命題との認識が浸透していることが分かる。既存の売り方での需要が先細りしていることの反動もあるのだろうか。それにしても92%が必要性を認めているのは流通業界全体のコンセンサスが強いことがうかがえる。アンケート母数には20%ほどの工業用主体のディーラーも含まれているのだから。
もう少し分析すると、ユーザーの先にある生活者市場への未知の魅力(当然多少の不安を含む期待)がある。店頭販売を通じて、これまでも決して生活者との接点がなかったわけではない。が、日常業務にかまけて正面から対応してこなかったというケースが多い。「消費者販売は手数・時間がかかって単価も数千円にしかならない」といった過去のイメージは薄まってきた。むしろ生活者市場へのポジティブな見方が支配的となっているようだ。
巨大潜在市場の可能性
生活者市場の可能性については〈潜在需要は大きい〉が76%を占めた。既に対応しているディーラーではこの比率は90%を超える。十分手応えを感じていることが分かる。リーマンショック後の大きな環境変化が背景にあることは間違いない。変化は大別して3つある。
1)売り先の仕事量の減少(激減)
2)厳しいコスト管理が一般化
3)取引先の選別化が明確化
市場変化はリスクの拡大でもある。このため基本スタンスとして安定した需要への期待が大きい。大手ユーザーであっても、密着したサービスも虚しくある日突然切られるケースなどを体験していれば、安定顧客の見直しには切実なものがある。ひとつの解が生活者アプローチとして浮上しているのだ。
〈そこそこある〉24%は対応していないディーラーに多く〈アプローチで手応えを感じれば可能〉100%の解答。
塗装教室への関心
生活者アプローチはいかに地域密着するかで決まる。アンケート母数は100なので大まかな傾向かもしれないが、ほぼ過半(52%)が実行との回答。都市部とローカル部での差はあまり見られない。力の入れ方の差はあるものの、地域密着の方向は今に始まったことではないのかもしれない。
〈これから実行〉は43%。この回答を含めると95%が地域密着を積極化する傾向にある。ということは地域市場を深く開拓することで需要開発の余地は十分あるとの見方が支配的ということが分かる。このことは逆に、地域市場にどのような潜在ニーズがあるかを良く知らない塗料販売店も多いということでもある。
〈必要ない〉は5%であった。
女性層をターゲットに
地域密着の方法としてベストに挙げたのは〈ショップの活用〉32%、次いで〈塗装教室〉29%。ショップの活用が多いのは既にショップ機能を保有しているケースもあるため。〈新たなショップを作る〉は少数派。手持ちのスペースを有効活用したいとの意向が強い。
それに比べてここ1~2年注目されているのが塗装教室の開催。メーカー主導の開催の段階から、ディーラーが独自に開いていく段階に入っている。対費用効果の面でも良い結果が得られているため、販促として定着する勢いを見せている。その一方で、定期開催のため人のローテーションが課題のひとつ。日常業務外の仕事としての受け止め方のため、業務ルール化が未整備。
その他〈イベント開催〉〈チラシ宣伝〉〈その他〉はいずれも13%。ベストプラクシス(最善の方策)として比重が高まっているのは塗装教室だ。
生活密着にゆらぎ
マーケティングとの発想が弱いせいか、ターゲット・セグメントという考え方が定着していない。それでも生活者の女性層が主ターゲットになるとの回答は64%を占めた。これに対し男性は8%。その差は圧倒的。
女性層が顧客との手応えは、塗り替え改修の主導権は奥様との経験知があるのと、ユニクロのような成長企業での女性層へのマーケティングを見ているせいかもしれない。女性といっても世代別にアプローチを変えていく必要があるし、特に女性はテイストの差が大きく、同じアプローチでは限界もある。
気になるのは男女を分けることに意味を見い出せないとの回答があること。いずれも大切ということかもしれないが、地域密着では層別アプローチが基本。セグメンテーション(顧客層の細分化)が効果を倍増するからだ。検討を要するポイント。
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専門店としての誇り
生活密着ビジネスとは何か。この辺がまだ具体的にイメージできていない。漠然と戸建塗り替えビジネスくらいの感覚。全体ビジョンが描かれていない分、その可能性についての解答は割れた。〈十分可能〉40%に対し〈ある程度可能〉60%。確信へのゆらぎを感じる。〈不可能に近い〉とのネガティブ回答はゼロであった。
塗料販売店の自覚と誇りに関わる質問だと思う。塗料を売るモチベーションがどこにあるかがうかがえて興味深い。ベスト3項目を選んでもらったが〈専門性の高さ〉〈提案力〉〈サービスの差〉に回答が集中した。
ひと口に塗料といっても、その製品群の知識だけで右から左に売れるわけではない。塗る素材や状態への解析力、塗る条件、生産性の改良など、塗料を売るためのノウハウを身につけるには、販売者の努力と時間が必要になる。こうした専門性に対する自負は当然ながら強い。この自信を生活者水準の「分かりやすさ」にまで落とし込めるか、ここがポイントになる。
専門性の高さから提案力はひと続きの優位性といえる。高度な提案は専門ノウハウから発生するからだ。それがサービス内容になるとの意識が強い。
やはり塗料販売人のエキスパートであれとの気持ちがにじみ出ている。逆に〈価格訴求力〉との回答は1.4%しかない。価格競争にさらされている現実があり、そこからの脱却を希望する傾向の表れだろうか。
ひとつ注目されるのは〈顧客との顔の見える関係〉への回答が8.6%あったこと。決してメジャーな指向ではないが、パーソナルなコミュニケーションの力は地域密着のベースなのだから、重要ポイントの1つではある。〈品揃えの力〉は9%で、ハードよりソフト重視の傾向を示す。
〈店舗パワー〉に優位性があるとの回答はゼロ。店舗があっても地域での存在感のなさを反映。ショップを認知させるにも「塗装教室」がベストプラクシスとの感覚が確実に広がってきている。
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