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Web特集

2010年09月22日

シリーズ: 先人に学ぶ

生活者ブランド構築競争へ マーケティングで付加価値を守る(屋外木部・木材保護塗料特集2010から) 

リーマンショック以降の構造変化によって、国内における塗料需要分野が苦戦を強いられている中で、屋外用木部(木材保護)塗料市場は、底固い動きを見せている。その背景にあるのが、徹底したブランド戦略と需要層の掘り起こし。一見、性能自体に差別化が見出しにくい中にあって、いかに優位性を発揮させるか。各社のマーケティング競争が一層熱を帯びている。

屋外木部用塗料市場を防カビ、防虫効果を有する半透明(ステイン)仕上げの塗料と定義すると、市場規模は約70億円程度(メーカー出荷ベース)。これを建築学会規格のJASS18 M‐307に準じた木材保護塗料として定義づけると、50億円程度と予想される(本紙推計)。
この1年のトレンドとしては、上位メーカーが売上を伸ばす一方、下位メーカーは横ばい、もしくは減少に転じている格好。この2‐3年の間で上位メーカー各社は、低臭タイプや高耐候性タイプなどの製品投入を活発化させており、それが売上拡大の要因となっている。ここに来て、下位メーカーも新製品の投入に乗り出し、追随の構えを見せている。


その一方で、ある主力メーカー関係者は、「マーケットそのものが拡大しているのではないか」との見方を示す。建築業者などのセミプロユーザー、DIYユーザーの拡大が押し上げているためだ。
実際、ホームセンタールートを主体とする家庭用塗料メーカーは、この2~3年、屋外木部用塗料の製品投入を活発化させている。これまでログハウス、ウッドデッキのメンテナンスといったヘビーユーザー向けから、ガーデニング向け製品の投入を強化。特にガーデニングにおいては、塗装の未経験者となる女性層が顧客となることから、How to関連の販促物の充実を含めて、塗料缶のデザイン、訴求度の高い売り場づくりなど、これまでと違ったイメージ訴求を強化している。

選択権は生活者に

そのためメーカー各社は、特にメンテナンス市場での需要拡大を戦略に据え、多種多様なマーケティングを実践している。新築物件の減少が避けられない中で、既築の物件や造作物に対して、いかに需要を喚起させることができるか。メンテナンス商材としても塗料の認知度が圧倒的に低い中で、"塗装によって、大切なものを長持ちさせる""色を変えて、楽しむ""塗装を楽しむ"など消費者に訴える感性的な訴求が不可欠となっている。そうでなければ、他の商材に取って代わられる可能性もある。


また、メンテナンス市場においては、施工業者による塗り替え、DIYを問わず、施主(ユーザー)に製品の選択権が移行することになる。そのため、これまで川上、川下含めてプロユース向けに強いブランド力を構築してきた主力メーカーにとってメンテナンス市場は、新たな生活者層に対して認知活動を強化しなければならないとの危機感がある。
施主に選択権が移行するということは、塗料に対するニーズ、価値観が変わることを意味する。「高くても、良いいものを使いたい」「初心者だから、とりあえず安いものから始めたい」「好みの色に変えたい」「自分でメンテナンスしてみたい」。これら多種多様のユーザーニーズに、自社製品をどのように位置づけ、対応していくか。メディアの活用、販促ノウハウ、売り場作り、問い合わせ対応力、販売チャンネルの選定、WEBサイトの充実化など、網羅的なマーケティングが必要となる。

ネット販売への懸念

100億円に満たない市場規模ながら、30社を超えると言われる参入企業が存在し、なおかつ単価も大きく崩れることなく、付加価値を維持しているのは、各社がブランド戦略を徹底していることが大きい。販売店も塗装業者も「メーカーによって性能自体に大きな差はない」と評価する中で、何らかの形でその製品でなければならない理由を与えられている。その証拠に、発注者の意識の有無を問わず「○○指定品」と特定のブランド名で指定が入るのも、他の塗料品目にはない珍しい現象であり、ブランド力によるところが大きい。


その点において、日本エンバイロケミカルズの「キシラデコール」はその代表格。圧倒的シェアを有する「キシラデコール」のシェアを崩そうと各社試みるものの、その差は一向に縮まることなく、むしろより強さが浮き上がっている。あるメーカー担当者は、「新しいOSを持って、WINDOWSに対抗しているようなもの。無謀なことに挑戦しているのかも知れない」と表現するほど。
ただ見方を変えれば、この「キシラデコール」のブランド力がマーケット全体の付加価値の維持に寄与し、単価競争に陥らない点においては共存共栄の競合関係を形成しているとも言える。

 

しかし、あえてこの底固い市場を揺るがす存在があるとすれば、インターネット販売の存在。同一ブランドでの価格比較がたちどころに可能となるインターネット販売は、ブランドイメージを貶め、価格戦争を激化させるとしてメーカー各社は懸念を強める。また、これまで構築してきた流通網が機能不全になることを意味する。
既にインターネット塗料販売サイトにおいて木部用塗料は、その汎用性の高さとユーザー層の幅広さから主力製品に位置づけるところが多い。消費者にとっても、ブランドイメージの高い製品をインターネットサイトで注文し、自宅に持って来てもらえるという付加価値がある。また、ネット販売業者にとっては、メーカー依存から脱却し、流通主導にシフトするチャンスとの見方もある。
これに対し、あるメーカー担当者は「最終手段としては、メーカー自らが乗り出すことになるだろう」とコメント。生活者訴求を強める一方で、新たな副作用も生まれている。

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