Web特集
2010年10月08日
シリーズ: 塗るということの規範
塗るということの規範(16) 中嶋徹
(ペイントが"装う"という意味を有することで)私たちは「Coating」とは異なる、もうひとつの規範を前にすることになります。
「Painters」に関する職業記述が単独に「ペインター」だけではなく、なぜ「Painters and Paperhangers」(塗装と壁紙)であるのか。なぜ異業種を併記するのかという疑問があります。しかし現場において「Painter」が「Hanger」であり、また「to decorate」(飾る)ということを考えれば、「Paperhangers」が並び称されていることに食い違いはありません。アメリカの市場では塗料の流通を担う塗料販売業者においても、「Paint & Wallpaper」を取り扱う業務内容が目につきます。市場的にも(to decorate)による「Interior decoration」(室内装飾)というカテゴリーが浸透していることを示しています。
アメリカのいわゆる塗料の小売業者の団体の名前は「Paint and Decorating Retailers Association」(PDRA:ペイントと装飾の小売業団体)とされています。「decorating」ということのなかには壁紙が当然のように入っています。
アメリカ労働省の職業記述では他に「塗るということ」に関わるカテゴリーのなかで見れば、「左官」についても併記されており、その作業内容に近しい「石工あるいは煉瓦工」とともに、「Plasterers and Stucco Masons」との職業記述がなされています。
一般的な職業としての定義を先ほどの「ウィキペィデア英語版」の「フリー百科辞典」のサイトで「Painter」を検索すると「Painter and Decorator」として項目が現れます。
"A painter and decorator is a tradesman responsible for the painting and decorating of buildings,and also know as a decorator or house painter."
訳文「ペインター・デコレイターは、建物の塗装と装飾に対して責任を担う職業人のことであり、デコレイターあるいはハウス・ペインターとして知られています」。
これは「ペインター」と「デコレイター」をそれぞれ別に示しているのではなく、「ペインター・デコレイター」と解した方が、私たちが先に述べた「ペインティング」=「デコレイティング」のパースペクティブ(規範)に沿います。世間で一般に言う「デコレイター」もしくは「ハウス・ペインター」とは「ペインター・デコレイター」のことであるとの文脈が通りも良くなります。
「ペインターとはデコレイターのことである」というのがインテリア・デコレイションから見た私たちの「Painting」に馴染んだパースペクティブ(規範)でもあるのです。
イギリス政府機関「Department of education and skills」(教育技能省)の職業記述についても「Painter」の項目は「Painter and decorator」として記載されています。(つづく)
※2007年執筆
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