Web特集
2010年10月26日
シリーズ: 塗るということの規範
塗るということの規範(18) 中嶋徹
イギリスの公式的な職業記述の中では、塗料に類するものだけでなく、壁紙、布地、コルク、麻などを含めた被覆材を用いることが「ペインター」「デコレイター」の仕事の範疇として語られています。このことは先に述べた「Painter」であり「Hanger」(壁紙職)であることを指しています。またハケ、ローラー、スプレー以外に、海綿(sea sponge)などの多様な道具を使用して仕上げをすることも範疇に含めています。
海綿は通常の塗装では使用することのないツールですが、その使用例として「Glazing」(グレイジング)という装飾的な塗装(Decorative painting or finish)のひとつの技法として行うことを指しています。また、これらに類する木目仕上げ(Graining)や大理石仕上げ(Marbling)などの「Faux finish」(フォー・フィニシュ:擬似塗装)などもこの範疇に入ってきます。
これらの仕上げは「to decorate」という極めて装飾的な表現をする領域となります。これは先のウィキペディアにあったように「ペインター・デコレイター」が「デコレイターあるいはハウス・ペインター」としても知られている」という一般名称としての「Decorator」(デコレイター)に該当する呼称となります。
○海綿
では「House painter」(ハウス・ペインター)とも呼ばれる「ペインター・デコレイター」については、文字通り言えば、住宅あるいはそれに準じる建物の内外装の塗装職ということになります。
アメリカでは一般的な職業の呼称としてそのように呼ばれていることがあるようですが、公式的な職業記述にその名称を見つけることはできません。「ペインター・デコレイター」という規範の中で「ハウス・ペインター」を考えると、これまで述べてきた「to decorate」の視界の領域において明確な姿を投影するものでなければなりません。
1841年、イギリスのロンドンで「HOUSE PAINTER」(著者:W.Mulligar Higgins)というタイトルの著作が出版されています。副題は「Decorator's companion」(デコレイターの手引書)と記され、見開きには次のように記されています。
"Origin of colour,the laws of harmonious colouring,the manufacture of pigments,oil,varnishes:and the art of house painting,graining,and marbling.To which is added a history of the art in all ages."訳=「色(材)の起源、調和着色法、顔料、オイル、ワニスの製造:そして住宅のペイント仕上げ、木目仕上げ、大理石仕上げの技法 添付:全ての時代の技法の歴史」とあります。
同書は、色に関わる原理及び色材としての説明の他、その製造に関わることやそれらを使用するツールやその仕上げ方法、そして歴史的記述によって構成されています。(つづく) ※2007年執筆
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