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Web特集

2010年11月15日

シリーズ: 塗るということの規範

塗るということの規範(19) 中嶋徹

(仕上げに関わる古来より記述されている方法について)その中ではツールとして、様々な刷毛とともに「コーム」(comb:櫛のような道具で塗料を梳き取るのに使用する)が取り上げられています。「コーム」の使用は多様な「木目仕上げ」には欠かせないものです。このコームを使用する技法を「コーミング」(combing)と言い、木目の筋を描き引くのに欠かせないツールになります。たとえば、室内壁面の腰下部分の羽目板(腰板)を「Wainscot」(ワインスコット)と呼びますが、この「HOUSE PAINTER」の著述の中に、ワインスコットに木目仕上げをする工程の記述があります。


『On the Imitation of Woods and Marble』(木や大理石の模倣について)より「Graining wainscot in oil」(木目仕上げ ワインスコットのオイル仕上げ)の一節を紹介します。
直訳すると、「(木目の仕上げを)進めていく技法は、(既に下地が着色された)羽目板に木目となる仕上げの着色材を塗り、その時すぐにその着色材をコームで梳き取ります。(この時)最も良い方法は、1回目のコームで波(ウェーブ)を付けること。そして2回目、3回目のコームはまっすぐに引いて描くことです。しかし、中には3回目のコームすべてを波の線(ウェーブライン)を入れる職人もいます。またはじめに粗い筋目のコームを使って(2回目は細かい筋目のコームを使う)、筋目の異なる2つのコームだけで、羽目板の木目仕上げをする技法もあります。羽目板に個性を出させる明暗(濃淡)を引き出すために、例えば布切れや皮を(コームをした)箇所にそっと置いて手早くめくり、ペインターの趣向を注ぐように色の配りや広がりを出すために着色材を剥ぎ取るようにもします」とも書かれています。

「コームによる木目仕上げ」

メタルのコーム(comb)ですき取ります。最近はゴムコームが多いですが。
下地に着色材(colour)を塗ってすぐにコームですき取ります。すき取った状態、文脈的には冒頭で述べた文脈がここでも記述に現れています。
"The method of proceeding is to cover the panel with the graining colour"
「塗るということ」が「Covering」であるという認識が表現としてなされています。これはおそらく西洋的な「塗るということ」の認識を示すものなのでしょう。


そしてここでは「paint」(塗料)を塗るという言い回しはされていなくて、塗料という言葉に該当するのは「colour」であり、この引用の前には「stain」という言葉で「塗る」という言い回しが行われています。「stain」は色着けをするという意味の言葉ですが「塗るということ」の多様な行為が西欧ではそれぞれの表現をもっていることがうかがえます。(つづく) ※2007年執筆

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