Web特集
2010年12月10日
シリーズ: 地域力
地域力(第14回) 装武(東京) 先を見据えた仕事意識を持つ 若手結集し新技術を目指す
同社では三井ホーム、三井ホームリモデリング、ミサワホームでの仕事で約7割を占める。「以前は三井ホームリモデリングがほとんどだったが、今では3社からバランス良く仕事が取れている。リスク分散という意味でも理想的な形。今後は直需をもっと増やしていきたい」(渡邊武社長)。
ハウスメーカー3社の物件はひと月に多いときで70件、少ないときでも40件以上の現場をこなしている。営業エリアは東京を中心に神奈川、千葉、埼玉、茨城地域で、従業員8名体制で現場管理を行い、施工は20社ほどの協力業者が行っている。
戸建て住宅の塗り替え工事では仕上がり品質はもちろん現場でのマナーが重要。20社にもなる協力業者、そして職人の数約60人の大所帯で意識統一を図ることは困難だと思われるが、渡邊社長は特別なことはしていないという。
「安全大会や研修会などは行っているが、マニュアルや特別な決まりごとなどは行っていない。ただ、親方や職長を通じて会社方針は職人ひとりひとりにまで浸透していると感じる」
渡邊社長が重要視しているのは目先の利益にとらわれない作業をするということ。仕事の質にこだわるあまり現場によっては利益にならないこともあるという。それでも「見積もり以上の仕事をする意識が大切。施主のためにどれだけのサービスができるかを追求している。今の儲けというより4‐5年先を見据えた仕事意識を持つようにしている」と渡邊社長は述べる。
こうした意識付けが着実に人材育成の成果となって現れている。同社では一昨年、昨年と新人を採用。全く他業界から来たため、当初は塗装現場の現場管理に戸惑ってはいたものの、ゆっくりとではあるが戦力となってきているという。
意識の高い若手職人も出てきている。「仕事の丁寧さはもちろん、気配りや接客態度、技術の見せ方などが抜群だった」(渡邊社長)という20代の職人を安全大会で講師として抜擢。ベテラン職人数十人の前で行った講演は大きなインパクトがあったという。
そこでは知識に裏付けされた塗装手法が披露され、施主が求めるイメージを表現できる技術力や発想力が紹介された。「1つの意匠、仕上がり品質を出すにはローラー、刷毛、スプレーのどれが最適で、塗り方にしても上下左右どうすれば良いのかということがイメージできていて、それを具現化できる知識と技術力があった」と評価する。
そして、「良い意味で既成概念にとらわれていない。そうした若手のモチベーションを高められる場が必要」との思いから立ち上げたのが彩光塾だ。
彩光塾は今年4月に創設。塗装の概念にとらわれない塗装技術を追求、勉強するための会として設立した。「ビジネスレベルでは成り立ちにくいが、やりたい技術や手法、取り組みなどができる場。日々の現実的な仕事ではできないことに取り組んでいくことが大切で、それがやりがいや誇りにつながっていくと思う」(渡邊社長)。
現在は10名ほどの20代若手職人で構成されている。特に年齢の制限は設けておらず、他業種、塗装業界以外からでも受け入れる方針。出席義務もなく、「仕事の付き合いとしての義務感を持ってほしくないので、参加できる人だけでやっている」という気軽さだ。そういう方針のため意識の高い人だけが集まり、会としてもレベルが高くなる。地域レベルの向上にもなる。
これまではそれぞれのやりたいことを持ち寄っての打ち合わせや、研修として養生技術や新製品の実装など身近な作業などを行っている。そして、今後取り組む活動の1つとして挙がっているのが地域との接点作りだ。
具体的にはボランティアとして地域の幼稚園や公共施設などの塗り替えを提案する。施設は無料で塗り替えられるし、こちら側としてもそこでやりたい塗装仕様や新製品・技術を実物件でトライできるメリットがある。
そして何より地域に密着した活動をすることが彩光塾自体だけでなく、それぞれの会社の認知度向上にもつながり、その結果として新たな需要を創造する可能性も出てくる。
彩光塾としては、ビジネスはしない方針だが、地域に密着した活動をしていくことはその地域で事業を行うものとして必要なことと言える。
既成概念にとらわれない塗装技術を開発し、地域に提供する。渡邊社長は彩光塾の将来に可能性を感じている。
>◇会社概要:装武
本社所在地:東京都足立区六木3‐19‐11、代表取締役:渡邊武氏。
http://www.sou‐bu.co.jp/
20歳で独立。30代はもがいた10年だったという。「忙しかったが、仕事をしても利益にならず明日も見えない状況だった」と振り返る。そこで「やらされる仕事はしない。下請けでも存在意味のある仕事をする。ただの塗装屋の1つにはなりたくない」と決意。それまでの仕事をゼロにし、現場診断、見積もりが自社でできる事業展開に切り替えた。現在48歳。新しいもの好きと自認する渡邊社長には常にいくつものアイデアが浮かんでいる。
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