Web特集
2010年12月13日
重防食塗料特集2010 メーカー動向(剥離剤、塗料、ブラスト)
剥離工法認知が加速 「インバイロワン」「ネオリバー泥パック」
鋼道路橋の塗装メンテナンスの効率化が大きなテーマとなる中で、「鋼道路橋塗装・防食便覧資料集」(日本道路協会)が発刊された。その中で新技術として「現場塗膜除去技術」が紹介され、粉塵や騒音及び産廃物の負荷を低減させ、改善できる素地調整方法として解説が述べられている。
その中で強調されているのは、一般塗装系から重防食塗装系に移行するためには2種以上の素地調整にする必要があるとの指摘。オープンブラストでは旧塗膜に含まれる鉛、クロム、PCBなどの有害物質の飛散対策や産廃の処理にコストがかかる。このため急速にクローズアップしているのが剥離工法。塗膜剥離剤が旧塗膜に浸透し剥離する。
同工法は(独)土木研究所と山一化学工業が「インバイロワン」として工法を確立。過去4年間で全国の橋梁メンテナンスで採用され、その実績は延べ16万を超える。「ようやく剥離工法が認知され、これから普及・拡大期に入ってくる」(山一化学)と手応えを感じている。
インバイロワンは旧塗膜に塗布し、原則24時間後に剥離が可能となる。ブラストのように研削材を使わないので産廃量を大幅に圧縮。特に現場からは「ブラストに比べ、施工現場の見通しがよく、作業者の安全につながる」との声も挙がる。
一方、発注者側の採用ポイントはPCBなどの有害物質対策。関東地方整備局が発注した東京の小松川橋は工区別に剥離工法を全面採用。「PCB対策を最重要視した」との理由からだ。この工区は現在も施工が進行中で「インバイロワン」と「ネオリバー泥パック工法」(三彩化工)を採用。
山一化学工業は特許工法の許認可を拡大するため、認定施工会社の研修を10月、11月に開催。全国200認定施工業者のネットワークを形成していく。担当者は「全国で剥離工法が採用される動きに対応し、受け皿となる万全の施工体制をとりたい」との意向を示す。
三彩化工の「ネオリバー泥パック工法」も採用実績が1万6,000を超えた。オープン販売の強みを生かした展開に注力していく。「オープン販売といっても、初めて使うケースでは事前のテストをしてもらうようアドバイスをしている。必要があればスタッフを派遣してサポートする体制をとっている」と担当者。今後の課題はシステムの認知を高めていくところにある。
橋梁では旧塗膜剥離工法が標準工法として確立していく可能性がある。トータルコストやLCCでのメリットが幅広く確認されれば、全国規模で普及していくだろう。そのためには旧塗膜が厚く、何度も塗り重ねしてあるケース、塗布時の気温が低いケース、湿潤時の問題などケースバイケースでの使い分けが必要との認識も必要。対象となる橋梁の塗膜での事前試験は不可欠。また剥離工法は有機塗膜を剥離するのに有効な手段であり、錆や黒皮の除去など鋼材面の素地調整はできない。
いずれにせよ剥離工法の位置が明確になったことで、普及への加速がつくことは明らかだ。
水性ふっ素の開発進める 大日本塗料
重防食塗料のトップメーカーである大日本塗料は厚膜型ふっ素樹脂塗料「VフロンHBシリーズ」の展開に注力。超耐久性によるLCC削減が評価され、着実に実績を重ねている。
新設向けは「VフロンHB」、塗り替え向けでは弱溶剤タイプの「VフロンHBクリーンスマイル」を提案している。膜厚は55μmを確保し、中上兼用塗料として省工程に寄与する。
鉄塔やプラント、橋梁などでは省工程塗装システムの関心が高まっており、厚膜タイプの中でも超耐久性のふっ素樹脂塗料が他社との差別化となっている。「東京スカイツリー」をはじめ広島高速道路など採用物件は増えている。「新設ではC―5塗装系、塗り替えではRc―Ⅲ塗装系のアレンジとして積極的に提案している。構造物における長寿命化ニーズに最適な塗装系として拡販を図っていく」(担当者)。
また、環境対応製品の開発としては水性塗料及びハイソリッド塗料の開発を進めている。水性塗料はふっ素樹脂系で仕上げるオール水性塗装システムの市場評価段階に入っている。一方、ハイソリッド塗料では固形分80%タイプの商品を開発中。VOC削減を進めながら優れた作業性の実現を目指す。
同社では製品開発を進める一方で、塗膜診断の重要性を訴える。「塗り替えでは既存塗膜の腐食・劣化調査が重要。立地環境、経年数なども含めた調査項目を確立するとともに、検証能力も高める必要がある。塗料メーカーとしてトータルシステムとしてコーディネートしていきたい」(担当者)。
弱溶剤エポキシ系厚膜タイプを開発 日本ペイント
日本ペイントは弱溶剤形下上兼用塗料「ハイポンダブルガード」を展開している。プラントやタンクなど民間物件での採用が増えており、数量ベースでも堅調に推移している。
同シリーズはエポキシ・シリコン樹脂系の「ハイポンダブルガードSi」とエポキシ・ウレタン変性樹脂系の「ハイポンダブルガードU」をラインアップしており、防食性・付着性と耐候性機能を併せ持つ下上兼用塗料として、省工程やライフサイクルコスト削減を提案する。
海浜部など腐食環境が厳しい場合には弱溶剤変性エポキシ樹脂塗料「ハイポン20ファイン」と組み合わせることで耐食性が向上する。
新たに弱溶剤変性エポキシ樹脂系の厚膜タイプ「ハイポン20ファインHB(100~120μm)」をこの10月18日に上市した。
これにより、ハイポンダブルガードとの組み合わせで従来4回塗りを2回塗りで仕上げることができ、大きく工程が削減できる。
「メンテナンス市場では省工程、省コストは必須。そこにさまざまなプラスアルファを付与することがポイントになる」(担当者)。
また、防食全般の環境対応としては水性タイプを開発中。現在は試験施工による実績を積み上げている段階。ウレタン樹脂系とフッ素樹脂系を揃えており、「作業環境など使用制限の幅が広がっている」(担当者)として、実用レベルに達しつつある状態。
ブリストルブラスター販売へ 関西ペイント販売
関西ペイント販売は研削材不要の素地調整動力工具「ブリストルブラスター」(商品名)の販売を開始した。ディスクサンダー並みの使い勝手の良さでブラスト工法と同様の表面性状が得られるのが特長。研削材による産廃物の多量発生をいかに抑制するかが素地調整プロセスの課題となっており、新たな工法として注目を集めそうだ。
ブリストルブラスターは独・モンティー社がブラシの先端が表面に衝突するときの運動エネルギーを利用するブラシ機構を開発、本体部分をゴトー電気(本社・伊那市)が製造。関西ペイント販売は国内販売権を確保した。
主な特徴はハンディータイプなのでどこへでも片手で持ち運べ、電源(100V)もしくはエアーコンプレッサー(5馬力以上)あれば軽装での作業が可能。また専用工具の先端に取り付けたアクセルバーがブラシの回転を瞬時に受け止めることにより弾みをつけ、一気に腐食面に衝突し、その直後に表面から離されることでブラスト効果を発揮する。
これにより表面をグリッド・ブラストと同程度に表面処理できる。複雑で高コストなブラスト設備は必要ない。
大きなメリットは表面処理の完成度が高いところにある。処理面に圧縮残留応力を生じさせ、亀裂成長耐性、疲労強度及び耐食性が向上するためだ。「重防食仕様の性能を十分発揮させる上で効果的な表面処理ができる」(担当者)と話す。
同品にはエアー式と電動式の2タイプがあり、価格は12~15万円台。
水系防食システムに注力 トウペ
トウペは水系防食塗装システム「トアガイアシステム」の展開に注力している。乾燥性や湿度条件など作業面での改善を行っており、「環境対応として将来的には水系の時代になる」(担当者)との見方を示し、積極的に指名活動を進めている。
製品としては、水系2液形エポキシ樹脂塗料下塗「トアガイアプライマー」、水系2液形エポキシ樹脂塗料中塗「トアガイア中塗」、水系1液形ハルスハイブリッド樹脂塗料上塗「トアガイア上塗」のオール水系システム。
ガスタンクやプラントなど民間物件での採用が多く、「環境配慮といった企業の取り組みとして採用されるケースや、施工中でも臭いが少ないという特徴も採用につながっている」(担当者)。
また、トアガイアプライマーの上に水性2液反応硬化形ポリウレタン樹脂塗料「トア杜 mori」で仕上げた仕様も鉄部の軽防食として使用されている。
また、厚膜タイプとしては弱溶剤形変性エポキシ樹脂塗料下塗「ニューエポ21HBプライマー」を上市している。
同品は鉛・クロムフリーの環境配慮形塗料で、120μmの膜厚を確保できることから省工程仕様の塗り替えが可能となる。今後は溶剤分をより少なくしたハイソリッド化を見据える。
その他には、鉛・クロムフリー錆止めペイント(JIS K 5674 1種)「クリーントアボーセイ」及び「クリーンシロボーセイ」を展開している。鉛・クロムなどの有害な重金属を配合していない上、優れた防食性や速乾性、付着性を有している。
省工程、厚膜化技術を指向 神東塗料
神東塗料は今年4月、組織改革を実施し、事業本部制から技術本部・営業本部制に改めた。狙いは技術と営業一体の対応力を高めるところにある。「効果が出ているという段階にはないが、(社員の)意識は着実に変化してきた」と手応えは出始めている。
重防食市場へのアプローチも従来とはパターンが変わってきている。市場競争がコスト競争の側面を強めているのに対応し、技術開発からコスト競争力を高めた省工程システムを開拓する動き。環境に配慮した省工程システムは市場の流れだが、「LCCのコンセプトからしても、塗料自体のコストは10%程度なので、トータルコストという視点に立ったシステムで差別化を図る必要がある」と担当者。
こうした観点から同社は新重防食システムの開発の方向を定めている。そのポイントはスプレー塗装での厚膜技術の確立。標準で60μmを120μmと倍の厚膜化を可能にする技術で、現在変性エポキシ系の塗料が上市の秒読みに入っている。「ひとつの事例だが、省工程がコストと環境負荷低減につながることは当然なので、各社の方向も同じ。一歩先にいけるかが勝負」という。
また同時にトータルコストダウンにつながる総合システムの発想も重視する。「省工程では限界があり、メンテナナンスの場合、最大のコスト負荷は下地処理にある。ここにメスを入れないとトータルコストは低減しない」として、下地処理を含めた総合メンテナンスシステム構築が大きな開発目標であることを示唆する。
困ったときのラストボンド ジャパンカーボライン
防食塗装のソリューションアイテムとして、悪素地面用浸透性エポキシシーラー「ラストボンド」の評価がうなぎ上りだ。防食塗装(メンテナンス)における最重要ポイントは素地調整(ケレン)の精度だが、工具の入らない狭い隙間など除錆が困難な箇所も多数存在する。こうした場面で威力を発揮するのがラストボンドだ。
最大の特長はさび層への脅威の浸透力。さび面への接触角が極めて小さく、毛細管現象によりさび層のすみずみまで浸透。成分中の吸水性特殊樹脂がさび層内の水分を吸収し、さびの成長を抑える。このため3~4種の軽微なケレンで済む上、旧塗膜の見えない割れ目や隙間、周囲から基材をしっかりとシール、強固な下地を形成する。同品を下塗りに用いた3回塗り仕様で変性エポキシ4回塗り以上の防食性能を実証。しかも固形分97%のハイソリッド塗料で塗膜の内部応力を低減、付着強度が極めて高い。
鉄面、錆面、亜鉛めっき、非鉄金属、旧塗膜に適応。TVOC3%未満、F☆☆☆☆、グリーン購入法にも対応。
「"困ったときのラストボンド"といったように、一度使用していただくと、ほとんどがリピートユーザーになっていただける」(担当者)とソリューションアイテムとしての市場認知が加速。更に、「大手製鉄メーカーの設備塗り替えで、ブラストクリーニング不可の箇所の下地処理剤として標準品に指定」されるなど、"鉄の専門家"のお墨付きも得られるほどの実力。防食塗装の世界でキラリと光る逸品だ。
60mの高所作業を実現 車載型バキュームユニット開発 厚地鉄工
"アスコン"ブランドで知られるエアブラスト機メーカーの厚地鉄工(本社・大阪府門真市、社長・厚地徹三氏)は、直圧ブラスト、吸引ブラスト、ブラストキャビネット、バキュームブラスト、ウェットブラストなどニーズや用途に応じた豊富な品揃えを強みとしている。また直径4mの鋼管に対応するパイプ内面研掃機を国内で唯一開発するなど、技術力を土台とした特殊装置の開発も積極的に手がけている。
船舶向けなど塗装分野に豊富な実績を有する同社において、現場塗装向けとして汎用機に据えるのが、エアーブラストシリーズ「ACR(リモコンタイプ)/AC」。同品は直圧式の特長を生かした新鋭機として開発した製品で、安全性、経済性、操作性を両立させたのが特長。二芯リモコンタイプの「リモコンⅡポータブルACR―P」はタイヤが取り付けられ、移動、出納が容易となり屋外の断続作業に適する。また噴射、停止のリモコン操作が可能となり、作業性を高めている。
据え置きタイプの「リモコンⅢACRスタンダード」は、三芯リモコンタイプで、噴射、停止に加え、エアブローのリモコン操作を実現。ブラスト作業後のエアブローにより、加工物に付着した微小破片、粉塵、研掃材などを素早く除去することができる。
一方、コンクリート構造物、鋼構造物向けとしてバキュームブラストユニットの販売を強化している。同ユニットは、ブラストタンク、サイクロンセパレーター(1次・2次)、バキュームガン、バッグフィルター集塵機の本体ユニットに、回収用ブロアユニット、エアドライヤーユニットを加え、一式化したもの。噴射と同時に発生した粉塵をガンホルダーから強力なバキュームで吸引回収する。ユニットの横幅は2.2mと「トラックに積載したまま作業できる」(厚地社長)というのが特長。作業範囲は60mまでと高所作業にも適したユニットとなっている。
この他、移動作業向きの粉塵対策工法として、「ウェットブラスター」を開発。ノズルにウェット・ノズルホルダーを取り付け、ブラスト噴射に合わせて水を霧膜状にして包み込むことで、粉塵の飛散を防止する。
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