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Web特集

2010年12月24日

シリーズ: 塗るということの規範

塗るということの規範(24) 中嶋徹

彼らはペインターの歴史的歩みについて次のように述べています。
訳文「ペインター、そしてステイナーのオリジナリティーに溢れた仕事は何か。ペインターは石材や漆喰、木材、金属のような固い素材に色材を用いて彩色し、一方でステイナーとして帆布のような柔らかい素材に色材を用いて着色していた。後年にはファイン・アート(芸術)を含む領域に踏み出し、一方建物や儀式祝典の旗や幕など装飾的な仕事を手掛けることになった。工芸的な領域として木目仕上げや大理石仕上げ、箔仕上げ、そして保存修復の仕事などの取り組みも広がっていった」。


ここには「Decorative painting」のパースペクティブ(規範)の広がりが明瞭に語られています。そしてまた「Decorative painting」もその歴史とともに現在に至っていることを告げています。


「HOUSE PAINTER」の引用文の中で、「...such places and masses
as the taste of the painter may direct.」という文脈がありますが"taste"には「味」の他に「(ちょっとした)経験」「趣味」「審美眼」「風情」「品」「様式」「スタイル」などの言葉の意味があります。


それは単に色を「塗るということ」だけではなく、先に述べた「描くということ」を内に含んでいます。ペインターの「taste」とはその「経験」が創り出す「審美眼」に基づいた「品」が投影されたものと言えます。彼らはその「趣向」を凝らすために、単に3本の筋をコームで引くだけの仕上げではなく、そっと布をかぶせて素早くめくって、かすかに色を取り去ることで濃淡を演出するという方法を行うことになります。これは装いを凝らすということであり、また色取りを添えるということ。これが「to decorate」という本来の「Painting」がもたらす空間なのです。これは「Covering」ということからはけっして届かない仕上げの技法であり、「塗るということ」が持っている固有の行為になります。


この論考の振り出しに戻れば、これは乾式の仕上げにはない湿式の仕上げが持つ可能性であり、量産化された製品にはない固有性(アイデンティティー)と独創性(オリジナリティー)を創り出すことができる、「仕上げとしての塗装」の意味でありそして価値なのです。


行為とは何かということを同じ引用文からたどるとすれば「the method of proceeding」という文脈があります。「proceeding」(行為、仕方、処置、進行)の「proceed」の名詞形が「process」(プロセス:進行、過程、方法、処置、工程、作用、変化)ですが、その言葉的な意味は、あることの開始から終結まで各段階が連続して進行する全過程を言います。この全過程を踏襲した「終わり」にあるのが「Finish」(仕上げ)なのです。この仕上げに向かって踏襲することを私たちは「行為」と呼び、それは単なる作業とは異なります。(つづく)※2007年執筆


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