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Web特集

2010年12月13日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装No.158 三進金属工業・福島工場 高速色替えブースでオール粉体化に

物流保管設備の大型フレームやラックの専門メーカーである三進金属工業(本社・大阪府泉北郡忠岡町、社長・新井宏昌氏)は8月に同社福島工場の横吊粉体塗装ラインに1億円弱を投じて設備更新を行った。従来の1ブースから高速色替えブース2台を導入し生産性の向上を図るとともに、製品への粉体化率を高めることで環境保全への対応を強化した。同社が目指す環境と工業の融合したファクトリーパークを推し進めた格好だ。今回、更新した横吊粉体塗装ラインを取材した。
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福島工場全景

三進金属工業の福島工場(福島県石川郡平田村)は今年竣工10年を迎える。70,000坪という広大な敷地に機械加工・塗装・組立を行う第1工場(約8,100坪)と一昨年建設した高さ30mの実験棟を併設した溶接専門の第2工場(約2,100坪)及び事務所棟(約600坪)からなる。


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代表取締役専務 新井宏幸氏

更に福島の大自然をそのまま工場内にレイアウト。四季折々の草花を至るところに配し、果樹園には桃・林檎・葡萄・栗などの果物が顔を揃え、調整池では鯉やニジマス、チョウザメが泳ぎ、フランス鴨が羽を休めている光景は来た者の目を和ませる。自然との調和。ファクトリーパークという所以はここにある。


しかしこの風光を維持・管理していくのは大変なことだ。「すべて手作りなので怠ることができない。また工場内で発生する排水は貯水槽に貯めて浄化再利用する内部循環システムを導入している」と代表取締役専務の新井宏幸氏。この風光の維持・管理はものづくりにもつながる。昨年、福島工場は緑化優良工場等経済産業大臣賞を受賞した。


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メインの鋼製ラック

今期(9月決算)は売上高ベースで08年の85%まで回復している。主力の物流機器のラックや立体駐車場、自動倉庫関連は設備投資に負うところが大きいが、今年に入り回復基調にあり同工場は2交代で生産を行っている。
近年の物流は最先端のコンピュータネットワーク技術によりPOSからEOS、更にSCMへと大きく変化し、一大ネットワークを構築している。「物流センターは情報処理センターとしての機能が高まっており、我々の仕事の領域も単にラックを作る段階から最先端の情報処理に対応したピッキングシステムなどハードとソフトが求められている」(同氏)と状況を説明する。


同社が掲げる"スペースコントロール"は物流保管設備機器、立体駐車場設備から総合建築に向かい、更に学究設備機器と事業領域を広げている。売上高比率で見ると物流保管設備機器が全体の80%を占める。立体駐車場設備が5%にとどまり、ここ数年力を注いでいる学究設備機器が増えつつある。「学究設備機器を除くとOEM製品が多いものの、鋼製ラックの生産では国内ナンバー1」(同氏)というポジション。


また扱う製品はパーツを含めると数万点に及ぶ。「規格品であれば今日発注したものは明日には納品できる。非規格品は2週間のリードタイムで納める仕組みにしている。全国45拠点を擁し正確かつ迅速な対応を行っている」(同氏)と取り組み姿勢を述べる。

品質、生産性の向上を達成

同社は10年来使用してきたステンレス製の色替えブースから高速色替えブース2台を導入し生産性の向上と環境対応の強化を図った。導入の目的は箱物への粉体塗料の貫入性アップにより補正を極力抑えたいといった思いとスピードアップ。更にOEM製品やオーダー品及び小ロット品に関してもこれまで溶剤塗装で行ってきたものを粉体塗装に切り替えていく意向。


「オーダー品ではラックの棚板の1つ1つの色を変えてほしいといったニーズもあり、溶剤系塗装で行わざるを得なかった。これらのニーズに対して今後は粉体塗装で対応していきたい」(同氏)と思いを打ち明ける。生産性の向上ではラインスピードのアップ(アベレージで1.6倍)と塗装部門における4人の少人化が達成されている。


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機械加工工程

横吊粉体塗装ラインは全長560mの前処理ラインからの一貫ラインとなっており、最長12mの被塗物に対応できる。前処理と水切り乾燥炉及び焼付乾燥炉は従来のものを使用している。
被塗物の素材はラックなどの1mm厚の薄板鋼板からフレームなどの4.5~6mm厚のH鋼を使用しているため焼付温度の温度分布が異なる。また溶剤系塗装と粉体塗装でも焼付温度が異なることから許容範囲ぎりぎりに設定し、かつラインスピードの変化で対応しているという。


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高さ30mの実験棟

前処理は湯洗脱脂‐本脱脂‐皮膜調整(リン酸亜鉛処理)‐水洗‐水洗‐水洗‐水切り乾燥(130℃×20分)。そして塗装は高速色替えブース2台と従来の溶剤塗装ブースを直列に設置。今回の高速色替えブース2台は従来のステンレスブースのスペースに納めた。


今回導入した高速色替えブースはノードソン製のカラーマックス。素材はPPのダブルウォール構造を採用。ツインサイクロン式の制御は同社が誇るアイコントローラー。ノードソンの箱物塗装の実績が大きく評価されたようだ。


第1ブース(進行方向手前の)は標準色対応となっており、箱物の貫入用として1レシプロ8ガンを片面に設置。続いて固定ガン的に使用するためのガン角度可変型の1レシプロ6ガンを対面に設置した。更に平面部の塗装用に1レシプロ8ガンを対面に設置するなど目的別に3つの塗り分けを行える構成となっている。そしてもう1台の第2ブースは従来使用していた塗装ロボットを2台対面に設置して補正と小物(パーツ類)塗装用に使用している。


また2台の高速色替えブースは移動式となっており、移動台車は同社が得意とする移動式ラックの技術を応用して容易に引き出せるようにしてある。「現状、ブースの移動は溶剤塗装を行う際に連続稼働させながら色替えを行うので、飛散パウダーの持込を避けるために利用している」と新井専務。
平均膜厚はミニマム40μm。1ガン当たりの吐出量は100g/min前後に設定。また通常色替えは基本的に1人で行っており、清掃に要する時間は10~15分。塗料はポリエステル系粉体塗料。関西ペイントをメインに久保孝ペイント製品を使用。

「百年企業」には人材がすべて

8月に立ち上がったものの無人化、オール粉体化への対応として塗装条件の入力、塗装ロボットのオフライニングティーチングに時間を要している。塗装品目が多いだけに溶剤から粉体への切り替えにはもう少し時間がかかりそうだ。


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3ステージによる高速色替えブース

また「今回オール粉体化に向けては標準色を10色に絞り込んだ。10色にはベージュ系やグレー系の他にホワイト、ブラックも入っており、これをクイックで対応できるようにしていく」と新井専務は抱負を述べる。


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補正と小物対応の塗装ロボット
 

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第1ブースと自社製作した台車

同社は2008年に『百年企業』をスローガンに掲げ安心・安全・保証の提供が持続可能な体制作りに取り組んでいる。第2工場と併設する高さ30mの実験棟の新設はその一環として建設したものだ。「自動倉庫など高さのあるものはここで事前に組んで立会い、試行運転、チェックを行い納品する仕組みをとっている。ラック専用メーカーで実験棟を持つのは当社だけ」(同氏)。
更に新たな事業領域の拡大にも積極的だ。先に述べた学究設備機器は開発に8年を要した。売上に貢献してきたのはここ数年というが、「大学や民間の研究機関で使われる実験台や収納庫などこれまで培ってきたノウハウを生かし機能的で使いやすいラボ施設の設備機器の開発を進めてきた。事業化に先立ち欧州などの研究機関を視察し日本の施設の遅れを感じた。ここにビジネスチャンスを見出した。先般行われた科学機器展にも出展し広くアピールしている」(同氏)と説明する。その他、視聴覚用設備として透視型電子情報ボード(e2touch)など新製品開発にも余念がない。


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究設備機器のスチール実験台
 

今年45期、百年企業としては創業からここまでの年月より更に長い時間を育んでいくことになる。百年企業のポイントは「人材の採用とその育成に尽きる」と新井専務は明快だ。そして「我々が目指すスペースコントロールといった視点から見ていくとやることはたくさんある。新しいものだけでなく物流システムを考えてもその仕組みは常に進化しており、コストダウンと企業業績の向上を求める限り物流は変わり続ける」と変化に対応したタイムリーな製品開発と製品供給を行っていく考えだ。


今後の福島工場の環境に対しての設備投資は廃熱の利用などコージェネレーションによるエネルギーの有効活用を進めていく意向を示す。


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今年4月に竣工した保養施設

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