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Web特集

2011年04月04日

シリーズ: 地域力

地域力(第17回) 神山塗料(東京) 新社屋、存在感が住民を引き寄せる 

市場全体の縮小が避けられない中、神山塗料(東京都国分寺市、社長・神山秀雄氏)は新たな成長の方向を「地域市場の深耕」に定めた。その基点となる新社屋が昨年完成、地域需要の取り込みを柱とした新たな成長戦略が始まった。
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旧社屋

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新社屋

「以前の社屋は奥まった場所にあり、駐車場が不便でお客さんがアクセスしにくい上、路上駐車への配慮もあり、5年ほど前から社屋の移転を考えていた」(神山社長)という同社に、一昨年最適な物件の話が舞い込んだ。
当初、ディベロッパーがマンション建設のために取得するはずだった土地がリーマンショックで計画が頓挫、土地を探していた同社に話が持ち込まれたのだ。地域の中心道路に面した480坪の土地で「車でアクセスしやすく駐車場を広く取れる」という第一条件にはぴったり。以前の社屋から500メートルと近接しており「場所を離れることへの不安」もない。更に、小学校や商業施設などの隣接地で人通りも多いことから「地域とつながる商売の可能性と将来性」を直感、購入を決めた。


昨年3月、350坪の敷地(購入後に一部売却)に建坪150坪、2階建て250坪の床面積を持つ新社屋が竣工した。白、グレー、赤を基調とした外壁の配色はモダンでありながら、そのコントラストで存在感は抜群。「塗料屋が色にこだわるのは当たり前。無意識にでもそのセンスを感じてほしいし、個人商店ではなく、きちんとした企業とのイメージを地域に与えたかった」と、外観デザインへのこだわりを明かす。建物の周りには植栽を配し、更にその中に間接照明を組み込むなど近隣に対する景観上、治安上の配慮も行った。


外観デザインに加えて設計上でこだわったのは開放感だ。「地域の方々が塗り替えの相談、あるいは塗料の購入など気軽に立ち寄ってもらえる業態を視野に入れている」ためだ。
ファサードは全面ガラス張りで再奥部まで見渡すことができる。1階の半分ほどは店頭スペースとし、背の低い商品ラックや日本ペイントの『ハナコレ』でイメージ訴求した塗り替え相談コーナーを配置。腰高のカウンターで仕切った奥の事務スペースも見渡せるつくりだが、机の間隔が広く取られているので威圧感はない。全体的な開放感からむしろ声をかけやすい雰囲気。


2階は同社の得意先のためのスペースだ。30人収容できる研修室の他、資料室を配備。また研修で学んだことをすぐに実地体験できるよう、一階の上半分を陸屋根としオープンスペースを設けた。既に塗装機器のメンテナンス講座など、ユーザーの日頃の仕事に即役立つ研修を始めている。
この他、一般、危険物倉庫の拡充に加え調色室も備えた。ここに自動計量調色機を新たに導入、既に「月間400缶の調色をこなしており、利益率の向上に大きく貢献している」とのことだ。
更に、大通りに面した立地、広々とした駐車場などアクセスしやすいことから業者のフリーの来店も増加、店頭での現金売りも増えるなど、現状の商売に直結する効果がすぐに出始めた。


しかし、新社屋建設の狙いはもっと深いところにある。「市場環境は更に厳しさを増すと思う。その中で、いかに存続発展させていくか。ポイントのひとつは"地域市場"をもっと意識した展開にあると思う。この社屋は地域への"顔"としての役割が多分に込められている」と説明。大通りからのアプローチには『塗料の専門店』と大きく記した目立つ看板を設置、なりわいをストレートに伝えている。
地域市場の深耕として具体的に構想しているのが住宅塗り替え需要の吸引だ。同社が立地する多摩地域周辺は全国でも屈指の住宅集積。このため訪販など塗り替え営業の活動も盛んで、「別の業者に工事してもらったが品質が不安」「見積もりが妥当か」「塗り替えを急かされている」など、塗装工事に関して近隣住民がたびたび相談に訪れる。「何の宣伝もしていない」にも関わらずこうしたケースが頻発。「会社の存在だけで吸引力があるのが分かった」と、外観デザインや入りやすさにこだわった狙いは的中した。


「1年間は様子見でやってきたが、仕掛けを施せば来店者は倍以上に伸びると思う。そのうちの7~8割でも仕事につなげられれば事業として成立する。当社の顧客(塗装業者)とタッグを組んで展開していくことになるが、リフォーム業者が入り乱れている地域だけに"信頼"への要求は強く、地域密着、専門店といった安心と信頼は大きな武器になる」と勝算を確信する。
「先代の創業から37年。この地に根付いて営んできた歴史を固有の強みに転化し、成長を目指す。そのための器は整った」と先を見据える。

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神山秀雄社長

「人材募集を行っても、以前は社屋を見てそのまま引き返す人もいた」と打ち明ける。昨年、募集を行ったところ「以前では考えられないくらいの応募があり、優秀な人材を採用できた」と、ここでも新社屋の効果。塗り替え事業、店頭売り、顧客との関係強化など成長戦略にマンパワーの向上は欠かせない。「以前に比べ社員のモチベーションは確実に高まっている」と良い流れになってきた。


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