Web特集
2011年04月28日
シリーズ: 地域力
地域力(第18回) 村上塗装工業所(埼玉) 調色機能を法人化し付加価値戦略
村上塗装工業所では、関連会社をグループ化して金属表面処理加工(リン酸亜鉛皮膜処理)から塗料の調色、焼付塗装に至るまでを一貫生産。多種多様なユーザーニーズに対応した品質管理体制を整え、「塗装における総合コンサルティング企業を目指す」(取締役副社長の廣瀬正敏氏)。 村上塗装グループの中心となる村上塗装工業所は昭和38年に金属焼付塗装をスタート。その後、順調に売上を伸ばしていき、第二工場や倉庫を新設した。現在では重量物や長さ9メートルの長尺物までも可能な塗装設備を完備している。 製品としては、道路標識や案内板、通信機器、医療機器など各種産業機械関連や配電盤などの設備機器関連が多い。グループのもう1つの塗装会社であるリード塗研工業とともに地域に密着した営業活動を進めている。
村上塗装グループの前処理を担うのが村上パーカライジングだ。パーカー処理だけでなく、重防食塗装の下地処理・メタリコン(溶射)も行う。金属表面処理装置6槽、乾燥炉1基、メタコン付帯設備1基などの設備を揃えた前処理専門会社として展開している。 従来、焼付塗装工場では、塗装設備と前処理設備を有している塗装会社は珍しくはないが、村上塗装グループの特長の1つが調色工場を有し、レインボーペイントとして法人化していることだ。 レインボーペイントはメラミン、ウレタンをメインに、ラッカーやフタル酸など各種塗料の調色を行っている。もともとは同社と取引のあったさいたま市内の工業用塗料販売店であったが、そこを譲り受け、同社の調色部としていたのを法人化した。平成15年のことだ。
通常のメーカー調色では4Kg、16Kgでしか購入できず、ツヤや色ぶれが起こったり、納期対応にも不満があったりしたという。そんな自社調色の必要性を感じていた同社にとっては、新たなビジネスチャンスに映った。 グループに調色会社を持つことで、「必要な量だけ」「必要なとき」に塗料を使用できるのは工業塗装業者にとっては大きなメリット。「お客さんに見本板を提出する際にはすぐに塗料が必要となるので、そうしたときにとても便利。また、グループに調色会社を持っていることは付加価値につながり、グループへの貢献度は高い」として、廣瀬副社長は実利面だけでなく、対外的なアピールとして目に見えないメリットもあると分析する。
また、レインボーペイントの調色ではCCM調色などの自動調色ではなく、すべて職人による手作業で色を作っている。単一等級塗料調色技能士の資格を持つ2名が専門に調色作業を行う。同社では500gから調色対応しており、特に1Kg、4Kg、6Kgの少量の注文が多いという。その一方で、16Kg(1缶)では足りず20Kgでの要望もあり、柔軟かつ即納できる体制を整えている。1日平均で20色ほどを調色。メタリックやパール色も手がける。朝に注文を受けて午後便で配達する。 調色作業はまさに職人技。塗り板を見て、配合色を想定して、原色を混ぜて色を出す。これをぴったりと合うまで何度か繰り返していくのだが、頼りにするのは長年のカンのみ。それでも実際にできる色の色差は⊿E=0.5以下と精確だ。
「色見本帳なら簡単だが、現物を持ち込まれることも多い。そうしたものは色がくすんでいたり、黄ばんでいたりしてあいまいな場合が多く、そうしたときには微調整が必要」と担当者。調色機械では作りにくい色でも対応できるのが手作業の強み。 レインボーペイントの売上比率をみると、グループ内販売が3割程度でほとんどが通常の販売だ。メラミンだけでなく、ラッカーやアクリルにも対応することで他社との差別化を図る。 ふじみ野市、さいたま市、川越市を商圏にし、地域に密着した営業活動を行う。塗り板は5年間のデータを管理。少量、即納、そして精確な調色技術でグループ内の存在感を高めていく。
グループ4社を合わせた全従業員は50名で、そのうち半分以上が塗装などの職人だ。「何より現場力を重視するのが社長の方針。社長自身が職人気質なので機械に頼るのが嫌い」と廣瀬副社長は説明する。品物は大物の1点ものも多く、顧客は100社以上という。顧客1社への依存度はできるだけ低くしリスク分散させている。
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