2011/10/25 14:47

揺れるライン塗装No.161 丸豊技研工業・竜洋工場 アルミホイール下塗り粉体を効率塗装

丸豊技研工業(本社・静岡県浜松市、社長・長谷川豊文氏)は自動車用ホイールの塗装を主力に二輪車のホイール塗装も手掛ける塗装専門業者。今年5月に同社竜洋工場にアンダーコート用の粉体塗装ブースを新たに増設。2ステージからなる粉体塗装設備は同社の20年来のノウハウを生かした効率的な生産システムとなった。今回、新たな粉体塗装設備を取材するとともに、今年2月に50周年を迎えた同社の今後の方向性を取材した。

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田中登工場長

アルミホイールはアルミニウムの特性である熱伝導性の良さからブレーキの放熱を効果的に行うといった機能とともに、車の外観をスタイリッシュに見せる重要な部品だ。特にアフターマーケットにおいては車のドレスアップとして人気アイテムのひとつ。
アルミホイールの塗装を専門に行う丸豊技研工業は、今年2月に創立50周年を迎えた。元々は浜松市内で丸豊ゴムの称号で自動車用タイヤの販売及び整備会社を営む。昭和53年に現社名に改称しホイール塗装事業を立ち上げた。当初は二輪のキャストホイールの塗装を手掛けていたが、アフターマーケット、OEM、自動車の純正部品のアルミホイールの塗装と事業を広げてきた。「二輪は海外生産への移管が進む一方で、アフターマーケットは海外からの輸入品が増える中、14~15年前から純正部品の塗装に着手した」と田中登工場長は経緯を説明する。


アルミホイールの表面処理で重要なのは下地処理だ。アルミホイールの下地処理には長く六価クロムが使用されてきたが、環境問題の高まりの中で、欧州はいち早く家電製品及び輸入製品に対してRoHS指令及びREACH規制を設け、化学物質の管理及び重金属フリーを求めるようになった。


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ノンクロムを導入した前処理ライン

ノンクロム前処理ライン

同社は2006年にノンクロムの前処理ラインに切り替えた。「リン酸ジルコニウム系の前処理剤を導入し市場への対応を図った」と田中工場長。またアンダーコートの粉体塗装化は20年前から対応しており、四輪のアルミホイールのアンダーコートは100%粉体塗装になっているという。 
5年前に導入した同社のノンクロム処理ラインは、湯洗-予備脱脂(アルカリ系の脱脂液をスプレーする)-本脱脂-第1水洗-第2水洗-酸洗-第3水洗-第4水洗-第5水洗-化成-第6水洗-第7水洗-第8水洗-純粋ミスト-エアーブロー-水切り乾燥の14工程に及び、全工程に1時間30分を要する。「化成皮膜における付着量が重要で、温度とpH管理はデジタル表示にして常に目に付くようにしている。更に2時間に1回、液検査を行い、(前処理の)全データをチェックしている」(田中工場長)という。
一方の塗装のアルミホイールの仕上げには、シルバーメタリックによるスタンダード品(STD)とメッキ調の高輝度仕上げのスウォード品(SW)の2タイプを生産している。


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デジタル表示による管理

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水切り乾燥炉

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前処理ラインから塗装ラインに移動
 

2ステージによる効率塗装

前処理後、アルミホイールはスピンドルコンベアーに移載して粉体塗装ラインに進む。アウターブースで覆われたダイヤモンドブース内にコンパクトな塗装設備を2ステージ直列に設置。ガンは角度を持たせた固定式のオプティガン。上段に3ガン、下段に1ガンそれぞれ配備し、表面(デザイン面)と裏面(スポーク裏)の両面を同時に塗装する。その際スピンドルコンベアーを正(右回)・反(左回)に回転させることでレベリング性の向上を狙っている。
また塗料の回収効率を高めるためにダイヤモンドブースの床面を傾斜させ、中央部よりエアを送りカートリッジで吸引していく仕組みを採用した。アンダーコートの粉体塗料はグレー1色なので塗料の回収効率は95%以上と極めて高い値を得ている。


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新たに導入した粉体塗装ブース

塗装終了と同時に、リム下部分の側面をエアーブローして塗料を落とし、続いて締め穴部分、キャップの部分(マスキング)を自動吸引して塗料を除き、ロボットによりオーバーヘッドコンベアーに移載して焼付乾燥炉に入る。焼付温度は物温で150℃×20分に設定。膜厚は140μmを確保。塗料はエポキシ/ポリエステル粉体塗料を使用している。
導入した粉体塗装設備はすべてランズバーグ・インダストリー製を採用。ブースは透明のポリカーボネート樹脂を使用したダイヤモンドブース。塗装設備はゲマ社のオプティガン。ノンクロムのリン酸ジルコニウム系処理剤及び粉体塗料は日本ペイント製を採用。
塗装後はそれぞれ検査が行われる。第1次検査は照度1050luxの下でタイヤ面とリム面の目視による色相と膜厚の確認が行われ、第2次検査は1200luxの下でデザイン面(表)の色相と膜厚のチェックが行われる。


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塗装後のエアーブロー(製造1課)

徹底した合理化追求

国内の四輪のアルミホイールは自動車メーカーの現地生産化によって減る方向にある。リーマンショック後の2009年度のアルミホイールの生産数量(日本アルミニウム協会)は前年比89%の1,451万個、2010年度は同114%の1,659万個に増加したが、これはエコカー減税や助成金による国の政策によるところが大きい。
今後も厳しい環境が予想されるが、「国内で生き残っていくためには徹底した合理化が必要だ。最小の人数で最大の効果が期待できるような自動化、機械化を進めていく考えだ」と打ち明ける。特に労務費の節減に向けた取り組みとして外国人労働者(実習生)の受け入れとともに搬送・移載のロボット化、塗料代のコストダウンを挙げる。


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焼付乾燥炉
 

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検査室

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再塗装の修正工程
 

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竜洋工場事務所前景