Web特集
2011年11月26日
色決め、感動と共感の扉を開く 色見本帳は基本ツール(1116〈いいいろ〉の日特集2011)
色見本帳とは何か?
国内に出回っている色見本帳はいろいろあるが、塗料業界のスタンダード(標準)色見本帳としては日本塗料工業会のものが普及している。かつては70~80万部も発刊されていたが、約40万部に減っている。塗料需要の縮小との相関もあるが、色決めプロセスの多様化がその背景にあるようだ。
そもそも標準色見本帳の役割は、現場における色決めツールとしての活用よりも塗料の色域の範囲を明確にし、ひとつの尺度を与えることにある。米国や欧州にも標準色見本帳はあるが、あくまでも「色の原器」としての役割が主となっている。
このため日本以外の世界の塗料メーカーは独自の色見本帳を製作し、販促と連動させている。特に建築用(デコラティブペイント)の色見本帳作りに注力しており、色見本帳そのものが差別化のひとつのポイントで、知恵とコストを投入している実態がある。
色見本帳競争は激化し、3,000色のカラーバリエーションも登場したが、現状は色数よりも質的レベルの向上に主眼が置かれ、各塗料メーカーは特色を出すのに躍起となっている。
色見本帳が色決めの基本ツールとして重視されるのは、最終消費者である生活者との接点に介在するツールであるため。つまり色見本帳がブランド信認のファーストステップとなるからだ。
一方国内は色で競争するよりも、調色スピードで競争との傾向が強く、独自の色見本帳を作成しているメーカーは数社に過ぎない。生活者に正面から向かうというよりも、発注者である建設業者への対応を優先してきた結果で、ペイントはいまだに色材(資材)として供給され、色彩としてのサプライチェーンは未整備の状況にある。
色見本帳活用法
ここ1~2年、塗装業者の直需指向の強まりを受け、販促ツールとしての色見本帳がクローズアップしてきた。使用塗料や仕様を詳しく説明されても、大半のクライアント(施主)はちんぷんかんぷん。結局施工業者の人間を信頼するしかない。ところが色決めのプロセスを介在させると、施主の反応ががらりと変わる。色彩は業者と施主の共通テーマとなりやすく、分かりやすさがあるからだ。
しかし塗装業者で色彩を活用している事例は少数派。色彩提案は面倒で工程が複雑になり、クレームの要因にもなると消極的な受け止め方をする業者が大半。こうしたマイナス要因は逆にいえばすべてプラス要因に転換でき、施主の満足度を飛躍的に高めることにつながる。若い世代の施工業者を中心にカラープレゼンテーションへの関心は着実に高まっている。
そこで基本ツールである色見本帳をうまく使いこなすコツを挙げてみたい。重要な点は3つあり、これを踏まえればすぐにもカラープレゼンテーションのとっかかりがつかめ、行動に移すことができる。
1つは色見本帳の性格を把握すること。色見本帳はメーカーのカラーシステムに位置づけられ、カラーマッチング→カラーミキシング(調色)まで連動する。しかも色見本帳の色の配列もメーカーごとに微妙に異なる。色相配列が基本だが、濃色系を別カテゴリーに分類しているケースもある。良い悪いは使う側の発想によるので、自分に適した色見本帳を発見することが大事になる。
2つめは色見本帳を施主に押し付けないこと。この色見本で選んでくださいと言われて選べる施主はいない。むしろ混乱させる。まずは施主のライフスタイル(暮らし方への要望)をよく聞き出し、例えばカーテンの色の好き嫌いなどのテイストを理解する。その上で色見本帳の色相域を特定していくツールとして使う。施主はプロの手腕をそこで実感し、信頼性は一気に高まる。
3つめに重要なのは、決して押し付けないスタンス(立場)。施主は色彩への嗜好を必ず持っているのだから、「こうした方がいい」というのではなく、「こうあったらいい」という願望に沿った色決めが重要になる。
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