Web特集
2011年11月24日
ポジティブ塗り替え特集2011 施工店ケーススタディ(2) 〈安田塗装・装武・新昭和・OPY塗装店・永井塗装・坂本塗装〉
満足度を高める色決めプロセス 安田塗装(東京)
「色選びは施主にとって1つのイベント。色選びの時間を提供することで施主の満足度は格段に高まります」と安田塗装の安田啓一社長は強調する。
同社は色決めの際、施主とそのためだけの打ち合わせ日を設けている。実質は2時間程度の時間となるが、その際は職人も同行する。
利用するツールは、日塗工色見本帳や日本ペイントの「ハナコレクション」パンフレット。そこから施主が望む色や配色イメージを引き出し、3色程度の候補色を選定する。一見シンプルな手法に見えるが、ここに至るまでにさまざまな試行錯誤があった。「豊富なカラーバリエーションを揃えた海外の色見本帳やカラーシミュレーションを利用したこともありました。しかし、色数が多すぎて逆に施主が色を選ぶのに混乱したり、画像ではイメージがつかめないことから、利用することをやめました」。以来、同社は実際の建物を使ったカラー提案を行っている。
具体的には、外壁の一部分を下塗りした後、候補色として選定した色をその場で調色し、壁面にスポット塗装していくというもの。職人を同行させるのも施主が希望した色をその場で調色するためのサービス。「実際の建物に塗装することで、色映えが分かり、日の当たり方によって変わる色の違いも説明できます」と話す。
更にアクセントカラーを使うなど複数色を使った配色を行う際は、外観から見える部分の形状を図形化し、ブロックで配色を行ことで、全体的な配色バランスを"見える化"している。
こうした色決めプロセスを経ることで、施主は自分で色を選択したという満足感を得ることにつながっている。「当社としては、施工が完了するまでのプロセスを楽しんでもらうことを重視しています」という安田氏が掲げる理念は色決めの過程からもうかがえる。
ただ一方で、カラーデザインを前面に押し出した提案が受注の決め手になるケースは少ないと分析する。「施主が塗り替えを依頼する動機としては、"綺麗にして長く持たせたい"という機能的要求が圧倒的に多いのが現状です。カラーデザインによる提案によって、施主が想定しているものとギャップを起こし、受注を逸する可能性も」。
重要なのは、施主の好みや感性に沿うこと。そのため、あえて機能性塗装仕様とカラーデザイン仕様と対極的な提案をすることで、施主のニーズを顕在化させようと工夫を凝らしている。
サイディングに塗り壁調を提案 装武(東京)
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「機能とデザインを兼ね備えた画期的な工法。施主目線となる新たな提案アイテムとして期待している」と渡邊武社長(写真)が自信を持っているのは、同社が独自に開発したサイディングボードの塗り替え仕上げ工法だ。
通常、サイディングボードの改修は、完全な張り替えであったり、1回サイディングボードを剥がしてからモルタルで仕上げたりするのがほとんど。また、塗り替えとなると多彩仕上げのサイディングボードの上から単色ベタ塗りとなる場合が多く、デザインにこだわる施主にとっては物足りなくなってしまうことがある。
こうした課題をクリアできる工法として生み出したのが、サイディングボードの上に塗り壁材をそのまま塗る工法だ。工程としてはシーラー→下塗り→上塗りの流れ。ジョイント部分に優れた弾性処理剤を塗ることでこの工法が可能となった。
この工法であればサイディングボードを剥がす必要がないので手間が省けコスト削減に寄与する。また、塗り壁材仕上げなので自由度が広がり、多彩なデザインが可能となる。
更に中空セラミックバルーンを含有することで断熱性を持たせ、外断熱工法として機能面でもアピールする。
同社では材料メーカーと共同で評価試験をすると同時に独自でもモデル施工を実施、本格展開に向けて体制は整いつつある。
また、新たな取り組みとしてクラウドサービスを活用している。同社では現場管理担当の従業員8名全員がiPadとiPhoneを携帯するとともにクラウドサービスの「ドロップボックス」を使用し、事務作業などの大幅な効率化につなげている。
ドロップボックスとはオンラインストレージサービスで、誰でも無料で2GBのディスクスペースを利用できる。専用フォルダでデータの共有・同期が可能となる。
このドロップボックスとiPad及びiPhoneと連動させることで実務作業において大きなメリットとなっている。写真やデータ、資料、見積もりなどはいつでもどこでも引き出せるので、いちいち事務所に寄る必要はなく現場で確認・対応することができる。
更にファックスもプリントアウトせずに情報をドロップボックスに転送しているので現場にいてもiPadやiPhoneで確認できる。「お客さんからファックスが来たときには事務所に帰ってから確認して先方に対応していたが、今ではどこにいても事務所にいるときと同じ作業ができる」(渡邊社長)。
今のところはこうした事務作業的な面での使用が多いが、今後は営業面でも活用していく考え。現在はiPadにカタログや写真データを入れているが、今後は作業工程の動画を入れて、作業の説明や品質管理への取り組みなどを分かりやすく紹介するなど活用のアイデアは膨らむ。
施主が感動する斬新な仕上がり 新昭和(千葉)
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千葉県最大のホームビルダー・新昭和は5年前に点検施工課という新たな部署を設けた。「当社が建てさせていただいたお客様を点検訪問し、5年目の防蟻あるいは10年目の塗装、防水などを提案、再施工で更に延長保証させていただくシステム」(藤井伸二課長・写真右)と説明。本社のある君津エリアだけでも点検リストは年間1,000棟というボリュームに達し、このうち毎年数百棟で塗装工事が発生する。
ただし課題もある。「当社のお客様であっても価格面で訪販や町場の業者に流れてしまう」ケースだ。「他の業者さんに施工を依頼し、塗装後短期間で白化や剥離が発生するといった不良施工を多く見ている。お客様を守る意味でも失注を防ぎたい」と考えている。
塗装直後には違いが分からないのが塗装工事の難点。ではどこで差別化するか。藤井課長の考えは「魅せる現場づくり」だ。
ひとつは当然のことながら仕事の質。現場でのマナー、施主への言葉遣い、仕様の遵守、施主及び同社担当者への報連相など協力業者やその職人への教育指導を徹底。「地元密着で成長してきた当社はお客様の信頼を絶対に裏切れない」という強い思いがある。
そして魅せる現場づくりで視覚に訴えるのが同社独自の仕上工法だ。これは同社が全幅の信頼を置いている協力業者・ワシヤ工業が編み出したもの。「最近は意匠性の高いサイディングの塗り替えが増えているが、これを単色で塗り潰したのではお客様に感動を与えられない。当社ではサイディングの凹凸を利用し、2トーンの斑(ぶち)模様に仕上げるローラー工法を確立。更にその上に関西ペイントのゾラコートを吹き、凹凸の色のコントラストと多彩模様が絡み合ったまだどこにもない、新昭和さんの塗り替えでしか得られない仕上がり感」と鷲谷明彦社長(写真左)は自信の表情。
「足場を撤去し全容が見えたときのお客様の表情は見もの。塗装でここまでできるのかと一様に感動され、満足度は非常に高い。他社との差別化の明確な柱になるばかりでなく、他のお客様への訴求度も抜群」と藤井課長も太鼓判を押す。
ちなみに同工法で塗り替えられた物件は、塗装仕上げによる建物のデザインコンペ「グッドペインティングカラー(2010)」の戸建改修部門を受賞。その新規性は万人に認められている。
カラーシミュレーションの可能性を追求したい OPY塗装店(東京)
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「カラーシミュレーション自体の事業化に挑戦してみたい。色の切り口でアプローチすればもっと面白い仕事ができるのではないか」とOPY塗装店代表の横山大介氏(写真)は構想を暖めている。
先月(8月)、念願のカラーシミュレーションソフトを購入した。「ユーザーの意見を取り入れ、バージョンアップの頻度が多い」ことからインターローカスのシミュレーションソフト「カラーエクスプレス」を選択。1カ月ほどの間に既に4件の実物件で使用した。「このうち、アパートの塗り替えではオーナーとデータのやりとりだけで打ち合わせを行う必要があったのですが、色や配色のイメージをビジュアルで共有できるので非常に役立った」と利便性を実感している。
色提案の際、「お客様の要望やイメージなど、理想の姿にどれだけ近づけるか」とのスタンスで向き合う。『家を見るだけで心がパッと明るくなるような』『家族の暖かさがにじみ出るような』など抽象的な要望を具体的な色や配色に落とし込んでいく。「お客様にとって大事なわが家を理想のかたちに近づけていく、色決めは夢のある作業です。塗り替えはお客様にとって決して安いものではありません。だからこそ塗り替えたことの価値を少しでも実感してほしい」と思っている。
こんなエピソードがある。「あるお宅で、その家の小学生の女の子がどうしてもペパーミントグリーンにしたいと主張し家族もその希望を取り入れました。すると工事中に何人も友達を連れてきては『自分の好きな色で塗り替えているんだ』と自慢し、友達もとても羨ましそう。家族もその光景を微笑ましく見ていましたが、色には家族や回りの人を幸せな気持ちにするパワーがあるのだと再確認しました」と語る。
カラーシミュレーションソフトを住宅塗装だけで使うつもりはない。他社のやらないような細かな仕事や難しい仕事を積極的に手がける同社にはデザインや仕上がりにこだわりを持つ設計士やデザイナー、ビルダーなどから「挑戦しがいのある仕事」が多く舞い込む。
こうした関係から現在、塗装だけでなく店舗内装やマンションリフォームも手がけるようになっているが、デザイン性の高い物件が多いだけに色に対する要求も高度。「シミュレーションでクライアントの要望に柔軟かつビジュアルに対応できる」と即戦力として期待。更に、「例えばクルマのカスタムカーデザインやもっと極端な例で言えばネイルアートのデザインなど、カラーシミュレーションを活用できる場面は多くあると思う。発想を柔軟に広げ、カラーシミュレーションそのもので収益を得られるようなかたちにチャレンジしたい」と構想を膨らませている。現在、カラーシミュレーション専任のCADデザイナーを育成中だ。
施主メリット、環境・エコで訴求 永井塗装(埼玉)
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永井圭一社長(写真左)は「家業の手伝いで小学校5年生のときから現場に入っていた」という叩き上げの職人。中学卒業後看板店に住み込みで働き、塗装を始め幅広い技能を修得。平成2年、28歳で独立し永井塗装を興した。
「仕事の質で勝負する」のが基本姿勢。確かな仕事力で信頼を勝ち得、地元のサブコンなど得意先が増加。公共工事、野丁場など着実に実績を重ね会社を軌道に乗せていった。
しかし建設不況の波が影を落とす。「指値での発注が常態化。見積もりを出すことがあっても予算は見積もりの半値以下。長年かけて築いてきた元請けとの信頼関係もコストの前では何の威力もない。もはや下請けでは仕事の質にこだわる当社の姿勢は保てない」と見切りをつけた。自ら親方として腕をふるっていた"現場型の社長"から一歩引き、会社の将来の方向性など経営者としての視点に立ち返った。5年ほど前のことだ。
方向は自社の武器である技術力が強みとなる仕事。だが漠然としている。そこに永井社長の右腕となる頼もしい人材が現れた。知り合いの伝手で入社した志村夫妻だ。志村力吉氏(写真右)はサッシメーカーの営業マンとして活躍、建築関係の知識や営業的な資質も十分。また夫婦ともどもまだ若くホームページ活用のセンスなどそれまでにない息吹をもたらした。
志村夫妻がリードしてホームページを立ち上げた。工事品質にこだわる永井社長は当然のことながら材料にもこだわる。「ひと口にシリコンといっても内容は千差万別。中身をとことん吟味し納得したものしか使わない。また塗装は下地が命。見えないこの部分にどれだけ精力を注げるかで品質は決まる」といった会社の姿勢をホームページで露出。自宅の塗り替えを検討している個人客などを徐々に吸引し、更にそこからの紹介など住宅塗り替えの元請仕事が軌道に乗り始めた。
この分野では「施主のメリットにつながる分かりやすさが必要。現状、環境改善やエコロジーといった切り口は訴求力が強い」と考えている。
その一環として今年からECOビジネストレーディングの窓ガラス遮熱コーティングを始めた。「ローラー施工可能なところに商品力を感じた」と永井社長。川口市役所などで実績を上げている他、この商材を契機に大型の取引も始まりだした。「ホームセンターの島忠さんの関係者がこの商材に興味を持ち仲介してくれた。窓ガラスコーティングだけでなく住宅の塗り替えも含め島忠さんの本社と直接口座を開設できた」と説明。
ここでは現調、見積もり、施工が同社の裁量に任されたイーブンの関係。「自分たちが納得できる仕事」のステージは広がっている。
塗料の強み、色の自在性を武器にしたい 坂本塗装(栃木)
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栃木県宇都宮市の老舗・坂本塗装(坂本幸男社長)に3年前、新戦力が加わった。後継者の佐藤公彦氏(写真)だ。創業57期を迎え、この間地元に密着して展開。学校や橋梁などの公共工事を始め企業物件から一般住宅まで幅広く手がけ、「技術・技能を基点とした信頼」で堅実に成長してきた。
そんな老舗の塗装会社に佐藤氏は新たな息吹を吹き込もうとしている。
「経営は順調ですが、大きな見方をすれば塗装需要の今後は決して明るいものではない。その中で成長を期すためにはさまざまな可能性を探っておく必要がある」との考え。
昨年、ホームページを立ち上げた。決して派手さはないが"誠実な会社"との雰囲気は十分に伝わる内容。「何らかの行動を起こす際、ほとんどの人がまずインターネットでチェックするという時代。会社のインフラとしてホームページはいまや必須」と語る。
ITの利用では動画投稿サイト"YouTube"の活用にもチャレンジ。施工管理の際、職人が作業している光景を携帯電話で撮影して投稿するだけなのだが、「プロがどのように刷毛を動かしているかなど、普段目にすることのない光景が興味を引くのか、それなりのアクセスがあります。『YouTubeを見て』とプールや橋梁塗装の依頼があり、自分でもびっくりしている」とネットパワーを再認識している。
佐藤氏が目指すひとつの方向として「住宅塗り替えの元請物件を増やしていきたい」との意向がある。その中で自社の特徴づけとしたいのが「色やテクスチャーの提案」だ。「異業種交流の会である人から『塗装業であれば、例えば風水を引用するなど色でもっとお客さんを喜ばしてあげてはどうか』とのヒントを頂いた。確かに塗料や塗材は色やテクスチャーを自在に表現できるのが武器。この強みを生かさない手はない」と気づいたという。
手始めにカラーシミュレーションをスタートさせた。長年DPEチェーンに勤めていたこともあり、画像編集ソフト・フォトショップの操作はお手の物。またサービス業で培った人当たりの良さも手伝って、佐藤氏がプレゼンする案件は「百発百中」だそうだ。
先日ホームページから引き合いのあった物件には関西ペイントの「外装用ゾラコート」を使用した。「お客様は当初ベーシックな塗装を望まれましたが、どうしても試してみたかったのでそちらに誘導。目地分け、多層塗りなどオーバースペックでしたがモノにしたかったので採算性は度外視、結果お客様も大変喜ばれ自社の表現力がまたひとつ広がりました」と自信を得た様子。
「技術・技能など施工会社の本質的な部分はもちろんですが、お客様にもっと喜んでいただけるようサービスやソフト的な要素も充実させていかなければならない」と先を見据える。
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