2012/10/23 11:53

実践ボディショップマネージメント(5) 第4章 集客からリピーターへ 伊倉大介

第4章 集客からリピーターへ

前回、インターネットを活用することで私たちの存在を知らせ、お問い合わせを頂くという流れを解説しました。では、お客様に成約を頂き、更にリピーターになって頂くにはどのようにしたらよいのでしょうか。最も重要なことは、受注からアフターフォローまで「いかにお客様に安心感・満足感を得て頂くか」ということです。
まず、お客様にとって最も気になるのは、「車は元通りになるのか(品質・技術)」「そのためにいくらかかるのか(コスト)」という2点です。


ホームページ上では、「元通りになる(品質・技術が高い)」ということを、画像を織り交ぜながら分かりやすく説明していますが、お客様はまだ修理先に迷っている状況です。そこで、初回来店時にクロージング(お客様に修理の発注を決断してもらう)ためのチラシを用意しています。
そのチラシでは、ホームページにも掲載しているお客様が得られる具体的メリットを紹介しています。割引などの特典や無料サービスの内容、過去のお客様の満足の声を知ってもらうため実際のアンケートを画像で掲載しています。改めて紙面でそれを見ることで修理後に満足している自分の姿をイメージしてもらい、成約につなげることができるからです。


また、価格についてもホームページではあえて明示していません。電話やメールの問い合わせでも明確な金額提示は避けています。そこには2つの理由があります。
1つ目は板金塗装が、1台1台損傷状況が異なる、いわばオーダーメイドの仕事であるということです。単純一律の価格提示は一見お客様に親切なように見えますが、必ずしもその価格でお客様の満足いく品質を保てる保証はありません。むしろ誠実に、お客様のご要望を汲み取りながら提案することが安心感・満足感につながると考えています。
2つ目は、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを重視しているということです。実際にご来店頂き、私やスタッフの接客の様子、工場の雰囲気などを直に感じて頂くことが、安心感や信頼感につながります。


集客はインターネットを活用しますが、クロージングではあえて顔が見えるやり取りにすることで、他工場との競争に巻き込まれることなく「価格訴求」することができます。また他社よりも少し価格が高くても、スタッフの顔が見える工場の方がより安心して任せられるという声が多いことも分かっています。
ただすべてのコミュニケーションをフェイス・トゥ・フェイスで行うのは効率が悪く、必要な説明が漏れてしまう可能性もあります。またコミュニケーション能力もスタッフの習熟度によってまちまちです。そこで先述のクロージング用チラシも含めて、当社では必要な資料、アンケートなどをあらかじめ整備し、誰でも一定の手順に従ってお客様とのコミュニケーションを取れるようにしています。


例えばお預かり時には、引き取り時の注意事項やお支払いの方法を記したお預り書を渡します。書面で渡すことで後々のトラブルを避けることができます。そして、「お客様ご要望アンケートシート」にフロントスタッフがお客様のご要望を書き入れ、作業指示書とともに作業現場スタッフへ渡します。直接お客様と接する機会が少ない作業現場スタッフにとっても明確な仕上がり目標をイメージしてもらうのに効果を発揮しています。

フォローがリピーターを呼び込む

作業完了後の納車時には「何のために」この作業をしたのかということをしっかりと説明します。板金塗装に知識のないお客様であっても作業の内容とその必要性を伝えることは重要です。
そして完了後のフォローとして、今後のケアの方法が書かれたチラシとアンケートはがきをお渡ししています。ケアの方法を伝えることは「納車後もお客様の車を大切に思っています」という当社からのメッセージであり、その後のお客様との関係につながります。
また、頂いたアンケートをホームページ上で掲載することにより、お客様の生の声を直接、見込み客に伝えることができます。加えて普段お客様と接しない現場社員においてもお客様の声を知ることができ、業務改善のヒントもたくさん詰まっています。更にSNS(twitter・facebook・google)への書き込みもお願いすることでインターネット上での口コミを促しています。これも見込み客にとっては信頼のおける大切な情報となります。


このように完了後も、複数の仕組みを通じてお客様と交流を図ることで、ボディーのことなら真っ先に私たちを思い出して頂けるようになります。そうなれば、そのお客様に口コミで次のお客様を呼び込んで頂けます。既存顧客に信頼感を持って頂くことは、広告費をかけずに新規受注を獲得することにつながっていくのです。
ただし、これを実現するにあたっては集客からアフターケアまで「お客様に安心感・満足感を与えるプロセス作り」が必要となります。それには自社の"商圏"をさまざまな角度から分析し、自社にとってのお客様が、どこの、誰で、どんな人なのかを考える「マーケティング」の視点が不可欠です。


「私たちのお客様とは?」。板金塗装業界では欠けている工場が多いであろうその視点、次章はその部分を解説していきたいと思います。


プロフィール:

伊倉大介氏(いくら・だいすけ)。1976年生まれ。東京都目黒区出身。
1997年伊倉鈑金塗装工業代表取締役に就任。2003年コーティング事業開始。2007年オークション代行業務開始。2008年廃車受付業務、レンタカー業務開始。2011年BP経営支援会社「アドガレージ」設立、代表取締役に就任。
2012年1月現在、社員10名、修理工場8人体制。