2012/12/21 15:37

実践ボディショップマネージメント(7) 第6章 指示・報告・連絡・相談 伊倉大介

第6章 指示・報告・連絡・相談

第3章から第5章までは、集客についての流れを解説してきました。その後、成約に至り実際にお車をお預かりした段階からは、お客様に安心感・満足感を得て頂くため修理結果として形に表すことが必要となります。
そのためには作業の進捗状況を的確に把握し、お客様に伝えるべく、社内間の伝達体制が必要となります。そしてその体制作りには、社員間の正確で円滑なコミュニケーションが欠かせません。必要な情報を的確に共有するためのコミュニケーション環境とはどのように整備すべきなのでしょうか。
ここからは、私たちが考える社員間(経営者も含む)のコミュニケーションで重視している2つの取り組みについて話を進めていきます。


1つは「伝達ツールによる指示・報告・連絡・相談」。板金塗装業務の一連の流れをスムーズかつ正確にやり遂げるためのものです。もう1つは「ミーティング」。あらためて社員全員または役割別で集まる時間を作り、問題解決や今後の計画をディスカッションする場です。
今章ではまず、「指示・報告・連絡・相談」について取り上げます。もちろん会話や電話、メモでの伝達は必要ですが私たちは漏れが生じないように、いくつか「伝達シート」と「チェックリスト」を用意して、それを業務に取り入れています。


◇接客時お客様ご要望チェックリスト
フロントスタッフがお客様のご要望や状況を聞き出すためのシートです。求めている修理品質や修理金額、納期など、修理の提案に必要な前提条件を網羅しています。このシートに従い対応することで漏れのない状況把握が可能となり、お客様にマッチしたご提案が可能となります。更に接客経験の浅いスタッフでも的確な見積りを作ることができます。また作業スタッフに目を通してもらうことでお客様の細かな要望が作業現場にも伝わり、作業に反映されることに一役買っています。

◇作業指示シート
フロントから作業者に作業内容を伝えるためのシートです。作業箇所と修理方法を明示し、部品の手配先や手配状況、納期、見積作業時間、お客様が希望されている修理品質レベルなどが分かります。フロントからの単なる作業指示だけでなく、できる限りお客様がどういう点を重視されているかという部分を伝えるように心がけています。

◇工程別チェックリスト
作業結果確認はそれぞれの工程で必須です。各工程で必要な確認事項をリスト化し、工程ごとに各作業者がチェックすることで作業漏れや問題の発生を確認しています。また、このチェックリストによって作業責任が誰にあるのかが明確になり、問題が発生した時に改善を進めるための材料になります。

◇作業別、拠点別日報
個々の作業者が作業状況を報告する日報です。フロントが組んだ予定に対するズレを報告します。これにより作業者ごとの進捗状況を把握することができます。また当社は拠点が3つに分かれているので、この日報により各拠点の車を常に把握し、保管場所などの確認・整理をします。
そして以下は短期的な業務管理に加えて、中長期的な視点で問題点を把握して作業改善を進めることによって、より効率的で価値の高いサービスが提供できると考えています。

◇作業別時間管理シート
作業者1人1人が日々作業内容別に作業時間を自己管理するシートです。板金塗装業は車の移動や事務作業など、間接業務も多い仕事です。このシートで個々の作業を直接作業と間接作業に分けて、自分の作業時間を把握することにより、業務内容別の改善が進めやすくなります。

◇週単位、1か月ふり返りシート
このシートではまず各社員に日々の作業を振り返り、週単位で良かった点や問題点、次週の課題を記入してもらいます。そして週単位から月単位の振り返りをまとめ、翌月以降の解決すべき課題を自身で考えてもらいます。このシートは毎月、私に提出してもらって、私が意見やアドバイスを書いて戻します。個々が自己の成長をあらためて把握しながら更なる課題を明確にし、考えながら仕事をするという習慣をつけることにつながりますし、日々の業務に忙殺されがちな相談事もこのシートでもらうことにより把握でき、私とコミュニケーションを取る交換日記的な役割も果たしてくれています。


継続することで習慣に変える

「指示・報告・連絡・相談」は社会人としてごく基本的な取り組みです。しかし規模が小さな会社だと、それを会話や電話など、跡に残らない形で伝えることが多いように思います。しかし、それだけだと業務に漏れが生じ、その漏れによってお客様が要望するサービスに反映することができなくなる可能性があります。
そのためそれを避けるためには、強制的にルーチンワークに落としこみ、習慣化することが必要です。最初は単純に業務量が増えるので、社員の立場からすると抵抗もあると思いますが、それを自身の成長を知ることと関連づけながら取り組むことによって、やりがいを見出してもらうことができるのではないかと思います。
次回は、社内コミュニケーションを図る上で大切な取り組み「ミーティング」について触れていきます。

プロフィール:

伊倉大介氏(いくら・だいすけ)。1976年生まれ。東京都目黒区出身。
1997年伊倉鈑金塗装工業代表取締役に就任。2003年コーティング事業開始。2007年オークション代行業務開始。2008年廃車受付業務、レンタカー業務開始。2011年BP経営支援会社「アドガレージ」設立、代表取締役に就任。
2012年1月現在、社員10名、修理工場8人体制。