2013/01/25 18:34

実践ボディショップマネージメント(8) 第7章 ミーティング 伊倉大介

第7章 ミーティング

前章は社内コミュニケーションで大切にしている取組みの1つ「報告・連絡・相談」について解説しました。今回は私たちが、もう1つ重要視している「ミーティング」について話を進めていきたいと思います。
とあるアンケートでは現代の職場のストレスの90%は、社員間のコミュニケーションに起因しているというデータが出ています。年功序列の昭和式日本経営から変化しつつある今、社会人それぞれの仕事に対する意識は変化し、今まで当たり前のようにバランスが取れていたコミュニケーション環境が悪化し、ストレスの引き金になることも多々あります。


板金塗装業界においても同様です。わが業界においては比較的最近まで(今でも?)、昭和式のトップダウン経営、上司の言うことは従わねばならない年功序列の経営方式が慣習としてはびこっていました。「先輩からの指示で指が血だらけになるまでペーパー研ぎをさせられた」「ミスをすると先輩からハンマーで殴られる」「10年たっても自分が希望する作業ができない」。
そのような環境では社長や年配の職人だけが発言権や決定権を有するという偏った組織になってしまいます。私たちの理想は上司や部下の関係(強い弱いの関係)がフラットな組織です。もちろん社長や工場長、ベテラン職人や中堅、見習いとそれぞれの立場はありますが、その立場を当社は「役割」だと捉えています。


例えば社長の役割は「社員全員が気持ちよく働けるように職場環境を整備すること。経済的な最終責任を負うこと」。工場長の役割は「修理品質を保った上で残業がないように現場を管理すること。作業環境を改善すること」。ベテラン社員の役割は「日々の仕事を正確に効率的にこなしながら若手を教育し、自分の役割を移譲していくこと」。
役割が明確だと、それぞれが納得して他者の意見を受け入れることができ、何よりも若い世代が自主的に自分の取組みを見直し、組織全体のことを考えるようになります。


ここで改めて、上司の権限が強い偏った組織が引き起こす弊害をあらためて整理しておきましょう。
「コミュニケーション環境が悪化するので、報告・連絡・相談が滞る」「部下の意見が通らないので、部下が発言しなくなり、ストレスをためこむ」「役割移譲がしにくく、上司の仕事がいつまでたっても部下に承継できない。ベテランがずっと忙しい」など。これらは円滑に業務を進めるにあたり、解決しなければならない問題となります。
私たちはこの問題を解決すべく、ミーティング(会議)という社員が集まる場に着目しました。普段の作業環境の中では「照れくさい」「面倒くさい」「ゆっくり話せない」など意見交換を阻害する要因が多くあります。私たちも改めてコミュニケーションを取るための環境を強制的かつ継続的に作る必要があったのです。


現在私たちが取り組んでいるミーティングは以下のものになります。
・毎朝の作業確認、報告、連絡、相談のためのミーティング
・毎月初に行う全体ミーティング
・四半期ごとの全体ミーティング
・フロント、塗装、板金、洗車の役割別ミーティング
・各社員に対しての年間目標と計画を共有するミーティング(年始)
・その他解決しなければならない事項ができたときのミーティング
それぞれのミーティングには明確な目的がありゴールがあります。目的とゴールを定めないと時間はルーズになりますし、真剣なディスカッションになりません。はじめに目的とゴールを明確にし、そのゴールに対して限られた時間内に意見を絞り出します。

シンプルなルールを作る

また私たちは、参加者全員が万遍なく発言できる環境作りを心がけています。全社員が自分で考え、意見し、業務が改善され会社が良くなっていくという環境ができてくると、自分の存在意義を感じてくれるようになり、よりやりがいを持って日々の業務に取組んでくれるようになります。
全体での話し合いの場でシンプルかつ大きな効果をあげたルールが2つありますのでご紹介しておきましょう。


1つめは「ある問題点に対して批判をする時には、その解決策を必ず提示すること。解決策が提示できない単なる批判は発言として認めない」。これによりそれぞれが好き勝手に文句を言う、生産的な話がほとんど出ない無駄な時間をなくすことができました。
2つめは「どんな議題でもすべての人が発言すること。発言する前に考える時間を与え、意見をポストイットに書き出し、読み上げる」。紙に書くことで前の発言者の意見に左右されることなく、自分自身の意見を伝えることができ、皆の前で発言することが苦手なスタッフからも貴重な意見を吸い上げることができます。
生産的で活気があり、ポジティブな意識のもと、すべての社員が平等に発言できるミーティングは社員間のコミュニケーション環境を改善してくれます。そして最終的には業務改善をスムーズにし、お客様のご要望を作業結果につなげることにつながります。ぜひ皆様も問題を先送りせず、注力して取組まれてみてはいかがでしょうか。
次回はすべての場面で社員全員がしっかり意識すべき、経営理念についてお話をします。

プロフィール:

伊倉大介氏(いくら・だいすけ)。1976年生まれ。東京都目黒区出身。
1997年伊倉鈑金塗装工業代表取締役に就任。2003年コーティング事業開始。2007年オークション代行業務開始。2008年廃車受付業務、レンタカー業務開始。2011年BP経営支援会社「アドガレージ」設立、代表取締役に就任。
2012年1月現在、社員10名、修理工場8人体制。