2013/10/30 12:00

実践ボディショップマネージメント(18) 第17章 顧客の声 伊倉大介

第17章 顧客の声


前章では「顧客管理」の必要性と活用法について触れました。顧客情報を適正に管理することは、会社の信頼性を高め、また顧客との接点を増やすために必要な取り組みです。今章では、より深い顧客情報といえる「顧客の声」を収集し、工場経営にどう生かすべきかについて話を進めていきます。
まず顧客からの声を集めるには、どのような方法があるでしょうか?「直接お客様に聞く」「WEB上に評価を上げてもらう」「アンケートをとる」などが考えられますが、得た情報を公開する、または社内で共有することを考えた場合、「アンケートをとる」ことが多くの顧客の声を聞き、共有する上で最も良い方法だと思います。ここからはアンケートの取り組みについて、考えていきましょう。
まずはどのような形でお客様にアンケートを書いて頂き回収するかです。納車時に書いて頂くという方法もありますが、顧客からすると「評価の対象」である工場関係者が面前にいると、悪い評価は書きにくいものです。板金塗装修理は納車時ではなく、車を持ち帰り、再度チェックすることで初めてお客様が評価を下すケースもあります。そこで私達の工場ではハガキサイズのアンケートを用意して、納車時にお渡ししています。ハガキは「後納郵便」の契約を郵便局と結ぶことで、お客様が投函したときのみ郵便料金が課金されるため無駄な費用はかかりません。ハガキでアンケート回収をされる際はオススメです。またハガキに加え、アンケートのお願いとアンケート情報を公開する場合がある旨を記載したシートも同時にお渡しします。そのシートにはWEBにクチコミ投稿をお願いする内容とそのアクセス先も記載してあります。お客様に評価を伝えやすい方法を選択してもらっています。
次にアンケートの構成について考えていきましょう。どんなことを尋ねるかで得られる情報が変わり、その情報の活用方法も変わります。まずは「どこで自社を知ったのか」は必ず尋ねるべき項目です。その結果から、お客様がどのルートから自社へたどり着いたのか。チラシなのかインターネットなのか、クチコミなのかが明確になり営業活動や広告の効果を知ることができ今後の営業・広告の戦略に生かすことができます。
「弊社を選んだ理由」も欠かせない項目です。その答えからは、自社の強みや魅力、売りを把握することができます。社内では自社の強みを理解しているようで、明確に理解できてないことが多々あります。工場の環境や立地、スタッフの対応、チラシ・インターネットなどの広告媒体等々、お客様が修理工場を選択する動機はさまざまです。自社の売りを把握することは、今後の広告戦略に活用できますし、社内でその部分を強くして伸ばしていく対策を考えることができます。
更にサービスに対する不満をお答え頂くことも大切です。それにより自社の問題点や課題を把握することができ、今後の業務改善に生かすことができます。我々の業界はクレーム率が比較的高い業界です。ただ、表に出てくるクレームはお客様の不満の一部であり、その裏にはもっと多くの潜在的なクレームが必ず存在します。サービスのどの点に不満を感じたかはお客様の声を拾わないと分からないのです。
またアンケートを社員に公開することで、普段お客様からのフィードバックを受ける機会の少ない社員が、顧客からの直接の評価を目にすることができます。好評価に対しては、自信や仕事に対するやりがいを感じてもらうことができますし、問題点や不満が書かれていた場合には、経営者やフロントマンあるいは上司からの指摘よりも、より心に響く形で伝わります。弊社では月初のミーティング時に前月に回収したアンケートを共有します。直近の顧客の生の声を目にして一喜一憂していますが、自ら業務の改善を考えるきっかけにもなっています。
そしてアンケートは強力なクチコミツールでもあります。私たちは自社のFacebookページでアンケートを公開しています。Facebookというコミュニケーション媒体でアンケートを公開することで、それを目にした消費者はクチコミと同じように工場の評価を感じ取ることができます。ユーザーの生の声は、工場を選ぶ上で、消費者にとって大きな判断材料になります。実際に人と人との関係性がなくても、利用者の声を目にすることで、口コミと同様、実際に自分が工場のサービスを受けた結果を想像し、依頼するか否かの判断基準になるのです。

自社を客観的にとらえる

以前から何度も触れていますが、板金塗装業は高度な技術職であると同時にサービス業です。いくら高い技術を持っていたとしても、顧客満足なくして工場は成り立ちません。そのためアンケートはサービス業として板金塗装サービスを提供する上で自社を顧客視点で客観的に捉えることのできる非常に万能なツールです。客観的評価が把握できれば、自工場のサービス力向上を効率的に図ることができ、時代とともに常に変化する顧客の意識をリアルタイムで把握することができます。継続的に取り続けることで、現在のお客様が板金塗装というサービスに何を求めているかが判断できるのです。
このように工場経営にとって必要な情報を多く得ることができるアンケートは、各工場で必須の取り組みといえるのではないでしょうか。


プロフィール:
伊倉大介氏(いくら・だいすけ)。1976年生まれ。東京都目黒区出身。
1997年伊倉鈑金塗装工業代表取締役に就任。2003年コーティング事業開始。2007年オークション代行業務開始。2008年廃車受付業務、レンタカー業務開始。2011年BP経営支援会社「アドガレージ」設立、代表取締役に就任。
2013年8月現在、社員12名、修理工場9人体制。