2014/08/20 08:57

揺れるライン塗装No.169 炬洋有限公司(台湾) 積極投資で成長続ける アルミ建材粉体塗装に特化

台湾の炬洋有限公司(董事長・王盡忠氏、所在地・台中市)はアルミ建材の粉体塗装に特化した塗装専業者として事業を展開する。2009年には工場を拡大し、その規模は敷地面積約16,500㎡、建物面積11,550㎡と広大で、粉体塗装ラインは3ラインを有する。生産量はひと月に1,500トン(鋼材量ベース)、使用する粉体塗料は60トン/月となる大規模粉体塗装ラインをレポートする。

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炬洋有限公司の外観

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董事長の王盡忠氏㊧と管理責任者の王韋承氏㊨


炬洋有限公司はビル建材のカーテンウォール、室内外の戸や窓のアルミサッシ、工業用アルミ押出成形などアルミ材を専門とする塗装専業者として事業を展開する。1981年に設立し現在は前処理設備と3つの粉体塗装ライン及び焼付乾燥炉(1基)を有する。従業員数は60人で、組織としては管理部と生産部に分かれ、管理部では購買、人事、総務、輸送を管理し、生産部では納品・出荷、前処理、塗装、梱包といった工程ごとに担当を分けて組織化している。


王董事長は「当社は30年に渡り継続的に生産設備を更新することで塗装品質を向上させてきた。前処理、塗装など生産プロセスと品質を定期的に検査し塗装品質を確保している」と継続的な設備更新とそれに伴う社内体制の拡充に自信を持っている。


同社のこれまでの経緯を振り返ると、設立当初から戸や窓枠などのアルミ押出成形の粉体塗装に特化した形で事業をスタート。1995年当時の生産能力は300トン/月ほどであったが、その後、焼付乾燥炉にバーナーを増設したり温度表示システムを導入したりして焼付効率と塗装品質の確保に取り組むなど、需要増に伴い積極的に設備投資を進める。2005年には塗装第2工場を建設して前処理設備と塗装生産の2ラインを新設し生産能力を月産800トンに引き上げた。また、同年ISO9001の品質認証を取得している。


その後も顧客獲得を進めて事業は堅調に推移、2007年には現在の工場用地を購入し工場拡大に着手する。2009年に現在の工場が完成し本格的に量産体制に入り、現在の生産量は鋼材量ベースで1,500トン、生産能力にいたっては2,000トンまで増強している。また、同年には台湾で初めてアクゾノーベル社の高耐候性ポリエステル樹脂系粉体塗料「InterponD」の塗装工場ライセンスを取得し、アルミ建材に適した高グレード粉体塗装への体制を整備している。


ユーザー500社、
3ラインで粉体塗装


前処理では化成処理はクロメート皮膜処理を採用しており、工程としては脱脂→エッチング→水洗→化成皮膜(クロメート処理)→水洗→純水洗→水切り乾燥という流れ。塗布方法はシャワー式となっている。
前処理ラインは塗装ラインとは連結しておらず、1階で着荷し前処理工程を経ながらコンベアーは粉体塗装設備のある2階に上昇していく。前処理ラインのコンベアースピードは2.0m/min。前処理設備のある区域は吹き抜けとなっており、工場の天井は高く、1階から2階へと上昇していく様子は大規模工場の迫力がうかがえる。


2階には粉体塗装ラインと焼付乾燥炉の一体ラインがあり、前処理を終えたワークを塗装ラインに作業員が付け替える。粉体塗装ラインは3つのラインが横に並んでおり、塗装後にはそれらが合流する形で同じ焼付乾燥炉へとつながっている。3ラインある理由は扱う色数の多さに起因しており、色変え回数は1日に15回ほどにもなる。なお、塗装ブースの清掃時間は3人で12分位かかるという。このように色数が多いため、例えば濃色系、淡色系でそれぞれ塗装ラインを分けることで効率を高めている。


そこまで色数が多くなったのは、同社のユーザーが500社にも上るからだ。特定のユーザーからの受注に頼るのではなく、ローカルの中小規模のサッシメーカーも多く、同社では数十本レベルの小ロットでも対応している。そのため、自然と扱う色数も増えてくるのが現状だ。同社では色見本版の管理を充実させており、専用棚には標準色やかつてオーダーを受けた色見本版を数多く管理している。リピートオーダーへの素早い対応や新規ユーザーに対しても豊富な色数からの選定を提案できるのも強みとなっている。

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前処理工程は1階から2階へ


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前処理済みのワークを塗装ラインへ着荷

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色見本棚の1区間

投資戦略で成長、
新ライン増設予定


粉体塗装設備は3ラインそれぞれに1つの塗装ブースがあり、それに加えて予備のブースが1台あるため合計4ブースを有する。1ブースにはトリボガン6ガンが縦に並んでおり、それが対面に設置されている。そのため全体では4ブース、計48ガンの塗装設備体制となる。トリボガンの採用理由は「付き周り性が良い」とのことで、塗装設備は台湾メーカー製を使用している。


コンベアースピードは3.2m/minで、ターゲット膜厚は60~80μmを確保する。ワークはアルミ建材がメインであるため長尺物が多く、そのため粉体塗装ブースも40mと長い。焼付乾燥は200℃×20分の設定で、乾燥炉は60mにも及ぶ。乾燥後にワーク温度を冷やす距離として50mを確保しているため、塗装ラインの長さは塗装(準備含め)40m、乾燥炉60m、冷却スペース50mの合計150mとなっている。


使用する粉体塗料はポリエステル樹脂系が多い。建材用途のため耐候性が求められることがその理由だ。より耐候性が求められる場合として、フッ素樹脂系も使用しているが、その割合は10%以下とわずか。日本と同様にフッ素粉体塗装の需要はまだこれからの市場と見られる。


ポリエステル樹脂粉体塗料の硬化系はTGICタイプが80%を占める。日本市場では環境配慮の面からTGICタイプは少なくウレタン硬化系が一般的だが、台湾市場では性能面や扱いやすさなどの理由からTGICタイプが普及している。その他の20%はHAA硬化系を使用しているが、その理由としては「グロス調整で仕上がりが良い」として色調によって使用されている。同社ではTGICタイプは台湾トップメーカーのKUOPONT(國邦塗料)製、HAAタイプではアクゾノーベル製「InterponD」を採用している。塗料使用量はひと月に約60トン。


また、同社では工場内に品質管理室を設け、鉛筆硬度試験機、付着性試験機、衝撃試験機、pH計などさまざまな測定器を揃えて品質管理体制を整えている。


同社が粉体塗装するアルミ建材は輸出されるのではなく国内市場で使用されている。台湾市場においても日本と同様にアルミ建材の塗装については、溶剤塗装や電着塗装が多いのが現状。そんな中、粉体塗装専業者として「吹付や焼付が複数回必要な溶剤塗装に比べ、粉体塗装は1回の吹付焼付で同等の性能スペックを得ることが可能。そして、環境に優しい粉体塗装をアピールしてチャレンジしていく」方針だ。


同社のこれまでの取り組みを振り返ると積極的な設備投資を繰り返し品質、効率を向上させて需要を確保し、成長を続けてきた。台湾国内でもトップ規模の粉体塗装会社と見られる同社が500社ものユーザーと取引を行い、数十本単位の小ロットでも受注できる体制を整えていることは市場での優位性を高めている。今後も積極投資の方針を推し進め、2年以内に現在の倉庫スペースに縦吊りの粉体塗装ラインを増設する予定という。企業成長のための投資に迷いはない。

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トリボガン6ガンが対面に設置

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50mに及ぶ冷却スペース

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脱荷の様子