2014/10/09 11:13

~技術を旅する~(第6回) 実務編・アルミニウム素材 小柳塗工所・小柳拓央

こんにちは。「技術を旅する」今回は、素材編アルミニウムについてお話します。


アルミニウムの特徴


塗装の素材として、鉄に次いで多いのがアルミニウムです。比重は鉄の約3分の1と軽く、融点は660℃と鉄の1,538℃よりも低いです。加工しやすく軽量で強度もあり、通電性も良く、また人体にも優しいため、輸送機器の部品、サッシなどの建材、アルミ缶や箔など包装材、電機部品で多く利用されています。工業塗装では、自転車のフレーム、建材サッシなどの押出材、自動車のアルミホイール、機械部品などの鋳造・ダイカスト部品が多いでしょうか。鉄が板金やプレス品が多いのに対し、アルミニウムは押出材やダイカストによる加工品、鋳造品が多いです。


アルミニウムの表面の性質


表面は、アルミナ(Al2O3)のごく薄い酸化被膜の不動態で覆われています。この被膜の効果もあり、自然環境での耐食性は良好です。もともとアルミニウムは、両性金属で酸とアルカリに反応します。耐食領域はpH4~8ですので、自然環境を中性のpH7とすれば、屋内で普通に置いておいても簡単には腐食しません。そのため"自然環境では"と前置きすれば、耐食性良好と言えます。


また、アルミニウムは鉄や銅に比べてイオン化傾向の大きい金属です。部分的に水に濡れたり、鉄や銅などと接触すると腐食が促進されます。アルミサッシなども、生地のままではなくアルマイト処理やクリアー塗装仕上げで表面処理をしているのは、素材保護が目的です。


アルマイトについて


塗装の前処理としても利用されている「アルマイト」という用語は世間で一般名称化しています。しかし、実は理化学研究所の商標で、正確には「アルミニウムの陽極酸化処理」です。アルマイトの特徴は、人工的にアルミナを厚くした固い被膜を形成していることです。


塗装の現場でも、アルミニウムの生材が疵(きず)つきやすく取扱いに注意が必要なのに比べ、アルマイトの固さは実感できると思います。
また、アルマイトの被膜は造膜時に"ポーラス"と呼ぶ多孔質層ができます。これを通常は、「封孔」という後工程を行い、膜を不活性にし、防食性を高めています。その際に着色も可能です。


一度、封孔処理してしまうと表面は絶縁性が高くなるため、高電圧のかかる静電塗装は可能なものの、200V程度の電着塗装は、通電せず塗装できません。押出材などで見かけるアルマイト上のクリアー電着は、封孔処理をせずに行っています。塗装下処理としてのアルマイトの密着性は、ポーラスによる凹凸の効果もあり、良好なものになります。次回は、亜鉛についてお話しします。