SUNKISS MATHERM社は1953年から赤外線放射パネルを製造、販売しており、フランス南東部に位置する都市・リオンの郊外に本社を構えている。本社工場では30人が働いているが、拠点はカナダやポーランド、東ヨーロッパなどにもあり、グループ全体の従業員数は45人ほどになる。

製造拠点はフランスの他にアジア市場向けの中国工場を持つ。ただし基幹技術である触媒製造はフランスの本社工場で行っている。

販売先はヨーロッパのみならずアジア、北・南アメリカ、東南アジアなど幅広くグローバルに展開している。

主力製品となっているのが、赤外線放射ヒーター「サーモリアクター」で世界各国の塗装ラインの乾燥炉に採用されている。ガスを使用し触媒反応によて赤外線を放出し、かつ熱風対流を発生させる。粉体塗料、液状(水性塗料、溶剤塗料)どちらでも使用可能で、さまざまなワーク形状にも対応でき、出力を変えることで金属や樹脂など素材の適用幅も広い。

塗料が硬化するメカニズムとしては、赤外線放射ヒーター「サーモリアクター」から放出される赤外線エネルギーの波長域が塗料の分子結合の波長域とほとんど同じため、分子結合が激しく活動するというもの。

赤外線放射スペクトルの範囲は2~8μで、この領域は塗料の吸収波長域に相当。この波長の一致により優れたエネルギー伝達効率が得られる。

ワーク素材自体の温度がそれほど上がらなくても塗料の硬化温度に達するため、結果として、一般的な熱風乾燥炉よりも乾燥時間の大幅な短縮、同時に乾燥炉スペースの大幅な削減に寄与する。赤外線乾燥炉単体だけでなく、熱風式を組み合わせた乾燥炉も展開している。

特に粉体塗装は焼付温度が180℃以上と高く、被塗物が大物であったり厚物であったりするとワーク自体の昇温に時間がかかってしまう。そうした場合には最初にサーモリアクターで昇温スピードを上げてその後で熱風式に切り替える乾燥システムが効果的となっている。

視察では工場内の製造現場も見学し、その後には実際にデモ機による乾燥の様子も確認した。ラボ施設内には複数の大型乾燥炉を揃えてサービス体制を整えている。

サーモリアクターは日本市場では塗料商社のダイニッカ(本社・東京都、代表取締役社長・横地將男氏)が24年前から販売し数多くの実績を重ねている。大阪地区にはデモ機も備えてテストや提案などを展開している。

◇サーモリアクターパネル商品一覧①低温タイプ:形式IND 325、出力(発熱量)1~4kw、樹脂・低温塗装乾燥用②標準タイプ:形式RX 500、出力4~12kw、一般金属塗装乾燥用③幅広被塗物対応タイプ:形式RX COIL、出力12~36kw、一般金属塗装乾燥用④パネル稼働タイプ(手動):形式VR 10000、出力6~14kw、一般金属塗装乾燥用。