見え始めた需要創出への道
広がるペイントファン
インテリアペイント特集

内装塗料の露出が高まってきた。住宅への関心が「自分らしい住まいづくり」に大きく動く中で、リノベーションやDIYが市民権を獲得、内装仕上げで塗料を選択するケースが増えている。塗装壁ならではの"上質な空間"が改めて認識され始めており、需要創造への好機が広がっている。住まいや暮らしを楽しむスタイルの中で塗料が親しまれている事例を多角的に取材、可能性を探った。


本紙では内装塗料の特集を毎年続けている。将来的に建築分野の塗料需要が減っていく共通認識の中で、まだ塗料がほとんど使われていない内装、特に住宅の室内の壁に需要を創ることが業界的なテーマであるというのが理由の1つ。内装壁の面積は外壁の3倍ほどとも言われている。

もう1つは塗料への「気づき」を促せるのではないかとの観点だ。

人の暮らしの場である室内で使われることで塗料が身近な存在になり、塗装壁の良さを感じてもらうことで「ペンキって良いかも」との"気づき"を引き出す。それによって塗料に"消費財"的なニュアンスが生まれ、産業財としてはもはや響かなくなった「色や機能」にも新たなスポットが当たるとの期待。分かりやすいところではマスキングテーブ。産業資材が女性に人気のファンシーグッズに大変身した。

消費財の立場を獲得することでB to Cビジネスへの広がりも期待できる。そのことは、新たな客層が増える側面だけでなく、企業で働く人の意識や働き方の変化も含め業界全体のムードを変えるポテンシャルも秘めている。
閉塞感が高まる国内の塗料ビジネスにおいてその突破口になるのではないか。内装塗料への期待は大きい。

生活文化は主婦層がリード

カラーワークスを筆頭に、市場を拓き、実績をつくり、存在感を高めている業界企業が増えてきた。製・販・装で内装キャンペーンの共催に至ったように業界的なコンセンサスもできてきている。10年前に比べれば内装塗料の露出は格段に高まっている。

一方, 市場側の状況も変化している。リノベーションやDIYが市民権を得てきているように、「自分らしい住まいづくり」への欲求が広がっているのが最大の変化。居心地、デザイン、使い勝手など自分や家族にピッタリの空間への満足感、暮らしの質を高めるための住まいづくりに向かう流れはネット環境のもとで情報が感化しあい加速度的に広がっている。

こうした動きの中で塗料への注目も高まってきている。量産のビニールクロスによるステレオタイプの空間ではもはや通じない消費者層が明らかになっており、内装仕上げとして塗装壁が選ばれるケースが増えている。カスタマイズ化のニュアンスが強いリノベーションやDIYリフォームのシーンでは、既に内装壁の塗装が当たり前のように行われている。

特に、最近の女性のDIYブームをリードしている主婦層に塗料ユーザーが広がっている。「憧れの部屋づくり」のためには壁の塗装も躊躇しない。理想の空間の中で暮らす満足感、家族が喜ぶ幸せ感、暮らしの質が高まる実感がモチベーションになっている。単に目先のビジネスではなく、"暮らしの主役"である主婦層が担っているからこそ生活文化に昇華する可能性がある。今回の特集ではDIYerとしてまたブロガーとしても活躍している主婦の方に取材を試みた。

キーワードは「実感」

ここからは業界側からの仕掛けについて考察してみる。需要を創出し、それを根付かせていくために業界側の 働きかけは絶対条件だ。

業界団体の内装キャンペ ンや企業各社によるワークショップなど草の根的な活動が広がっている。とても大切なことだ。

それにプラスして「実感」というキーワードを盛り込んでみたい。塗装壁にしたくなるためにどのような「実感」を持ってもらうかという視点。

内装で重視されるのはデザイン、つまりカッコ良さが動機付けになるとの見方から始める。機能という切り口もあるが、目に見えない機能は実感として感じにくい。装飾性はもちろん、可変性も含めてビジュアルに価値を実感できるデザインの訴求力を深掘りする。

少し視野を広げると、例えば塗料とモールディングとの組み合わせがある。回り縁や建具枠にモールディングが施されることで塗装壁はグンと映える。海外の塗装壁がカッコよく見えるのはこの違いによるところが大きい。

更に照明。仄かな反射や陰影など塗装壁独特の光の演出効果がある。全体照明から間接照明に変えることで室内の雰囲気は劇的に変わる。これらとの組み合わせにより、これまでにない上質な空間をつくり出すことへの実感を高めることができれば塗装壁にする理由が強まる。

両面テープで設置できる発泡スチロール製の手軽なモールディングの商品化も間近だし、照明に関しては市販品がいくらでもある。ワークショップや商品販売のプロセスでこれらの要素を盛り込むことで塗装の魅力を高めることができる。

一方、企業の市場への向き合い方も「実感」を導く重要なポイントだ。

通りを歩く人が思わず立ち寄りたくなる店構えにリニューアルした大阪市のタカラ塗料や、ワークショップを継続して地域の住民のファン作りに成功している荻野塗料(神奈川)の鎌倉のプチペイントショップ・カラープラザ。

これらのショップが従来の塗料販売店の延長線上でB to Cビジネスへの変革にチャレンジしている意味合いは大きい。地域の消費者が気軽に立ち寄れるペイントショップがあることで、やはり塗料が近しい存在との"実感"につながる。室内のペイントリノベーションの発信基地としては申し分ない。

少人数のオペレーションで採算性を確保できる仕組みを整え、地域コミュニティに支持されるこのようなショップが全国的に広がれば塗料や塗料業界の位置づけは大きく変わる。

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