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高さ約385m「Torch Tower」に粉体塗装が採用

三菱地所設計

エグゼクティブフェロー TOKYO TORCH監理室長清家正樹

三菱地所が東京駅前で大規模な複合街区となるTOKYO TORCH(トーキョートーチ)の開発を進めている。そのシンボリックなタワーとなるのが、2028年竣工予定のTorch Tower(トーチタワー:写真)だ。高さは約385mで日本一の建物となる。Torch Towerの外装の主要部はアルミカーテンウォールであり、仕上げにふっ素樹脂とポリエステルの"ふっ素樹脂ハイブリッド"粉体塗装が採用されている。採用の経緯や展望について、TOKYO TORCH監理室長の清家氏に聞いた。


 Q. 粉体塗装仕上げに至った経緯を教えてください。 「施主である三菱地所の、Torch Towerに環境配慮の取り組みを導入したい、という強い意志に応えました。設計の立場から、カーテンウォールの塗装で、素地処理は6価クロムフリー、塗装は溶剤を使用しない粉体塗装という2点をスペックに決めました」

Q. 6価クロムフリーの種類は。 「仕様は3価クロム処理、りん酸処理、陽極酸化被膜処理の選択肢を設けました。今回のプロジェクトは複数のカーテンウォールメーカーが入っているので、メーカーの塗装設備との兼ね合いから1種類に絞っていません」

Q. 粉体塗装の種類については。 「ポリエステルとふっ素樹脂の"ふっ素樹脂ハイブリッド粉体"にしました。理由は、ピュアふっ素樹脂粉体塗料よりも価格が抑えられること。この分野の流通として"ふっ素樹脂ハイブリッド粉体"が主流となりつつある中で、カタログ値の性能面ではピュアふっ素粉体と同等と聞いていて、更に屋外暴露試験の状態を重視しました」

Q. どのような結果でしたか。 「塗料メーカーの屋外暴露試験場で確認しましたが、"ふっ素樹脂ハイブリッド粉体"の方がピュアふっ素粉体よりも良い結果でした。その中でも特に良好だった大日本塗料の2層分離形ふっ素樹脂ハイブリッド粉体塗料『パウダーフロンSELA』の採用に至りました。他社に比べて退色に対して良い結果でした。塗装色は濃いグレーなのですが、変色を防ぐことは重要です」

Q. 以前から6価クロムフリーと粉体塗装を指定する傾向ですか。 「最近はその方向です。ただ"ふっ素樹脂ハイブリッド粉体"は最近で、それまでは溶剤ふっ素樹脂塗装が多かったです。一方、素地処理に関しては約20年前から6価クロムフリーです」

Q. 溶剤塗装と粉体塗装を比較して課題はありますか。 「粉体塗装に関しては、塗料製造サイズに制約があり、小回りが利かないため、小面積の塗装に関してはコストアップにつながることがあり、断念せざるを得ないことがあります。今回のプロジェクトは塗料使用量が多いのでその点は問題ありません。また、色調や艶の調整に関しては、粉体塗装の方が有利と聞いています。そのため、カラーデザインで艶を出したい建物は"ふっ素樹脂ハイブリッド粉体"の方が適しているという認識です」

Q. 小さい物件の程度は。 「10階程度での採用実績は多々あるので、もっと小さな物件です。規模感としては3階建て以下の物件というイメージです。小面積に加えて、そうした物件では中小のサッシメーカーに発注する可能性もあり、そうするとメーカーが普段採用している溶剤塗装の方が良いと考えられるので、塗装の選択肢を狭めないようにしています」

Q. 粉体塗装を採用する際に大きな問題はないですか。 「困ることはないですね。ただ、色を決めるのに時間がかかるということはあります。デザイナーが指定して色合わせをするのですが、サンプル出しに時間がかかります。溶剤塗料はすぐに出るので、色調整して確認してという作業が早いですね。ビッグプロジェクトであれば、検討期間が長く取れ、先読みして計画的に進められるので困ることはありません。しかし、小さくて短納期の物件は急いで決める必要があるので、色決め時間を読み違えると製作が遅れる可能性が出てきます」

Q. そういう意味でも現状は小型物件には粉体塗装は採用しにくいと言えますね。外装材として塗装の耐久性はどの程度必要ですか。 「設計段階では最低25年以上としています。実際は30~35年は塗り替える必要はないくらい持つと想定しています。建物については長期修繕計画を立てて、塗膜の減耗年数を予想して塗り直しが行われます。当然、リコートするまでの期間が伸びれば環境負荷も小さくなるので、塗膜の耐久性は重要です。"ふっ素樹脂ハイブリッド粉体"の性能は良くなっているので、更なる改善を期待したいところです」

Q. 今後の貴社が設計する建物についても"ふっ素樹脂ハイブリッド粉体"の採用が増えそうですか。 「そう考えています。大型物件だけでなく、先ほど言ったような粉体塗料の問題がクリアされれば、小型物件でも採用したいと思っています」

Q. 東京の新たなシンボルタワーに採用されインパクトも大ですね。 「そうですね。Torch Towerは施主が三菱地所、設計監理が三菱地所設計、塗料は大日本塗料、ふっ素樹脂がAGCとなりました。意図したわけではないですが、結果的には三菱グループの技術の結集と言えるでしょう」

――ありがとうございました。

三菱地所設計・清家正樹氏
三菱地所設計・清家正樹氏
TOKYO TORCH
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