「これから建築工事業は防災業としての役割を担う時代に入る」と話すのは、全日本災害住宅レジリエンス協会(JRD)の代表理事を務める高木強氏(写真)。「建物の防災、減災を高めるためには、地域密着型で事業を行う工事業者の存在価値は大きい」と話す。特に塗り替え塗装を切り口に企業や個人と広い関係性を有する塗装業者への期待は大きい。防災、減災にどんなビジネスニーズが控えているのか。高木氏に話を聞いた。
――設立わずか6年で登録業者が2,000社を超えました。まずはJRD設立の経緯について教えてください。
「現在、石粒付鋼板屋根材メーカーの社長の立場もありますが、元々は屋根職人からスタートしました。屋根に関わると地震や台風といった自然災害とは無縁でいられません。災害が起きるたびに現地に向かいますが、そのたびに工事対応力の不足感や悪質工事業者の存在、被災者とのトラブルに遭遇します。そこで何とかできないかとの思いから2020年、全国の建築技能者に呼びかけ、自然災害に対する事前対策や罹災した建物の早期復旧を目的にしたJRDを設立しました。保険会社の他、塗魂ペインターズや日本住宅リフォーム産業協会、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合などの団体も加盟しており、現在2,000社の建築工事会社が加盟する組織になりました」
――自治体との連携も積極的です。
「これまで千葉県長生村、千葉県東金市、三重県東員町と連携協定を締結しました。技能を持つ我々が行政と連携することで復旧活動の迅速化が図られると考えています」
――2019年9月に千葉を襲った台風19号は印象的です。
「千葉県広域に建物被害が及び、完全に復旧するのに数年を要しました。JRDが設立する前でしたが、この時の教訓がJRDに生かされています」
――これまで災害時対応に注力してきた印象ですが、今年からは防災・減災商品の販売をスタートしました。
「レジリエンスチャージですね」
――どんな商品ですか。
「建物内への電力供給を可能にした給電システムです。停電時においても太陽光発電システムや自動車、発電機、ポータブル電源などの外部電源から建物内に給電し、生活に必要な電力を確保することができます」
――これを普及させたいということですね。
「建物の安全が確認されたにも関わらず、停電を理由に長期間不自由な生活を強いられるケースは少なくありません。また避難所の不足も取りざたされ、在宅避難の重要性が高まっています。そこで自家発電システムや蓄電池よりもはるかに安価で簡易に電力を確保できるレジリエンスチャージを普及させたいと考えています」
――この普及の担い手として建築工事業者に託したいということですね。
「そうです。中でも塗装屋さんの活躍に期待しています。我々が手掛けている屋根カバー工法も同様ですが、既築の建物に深く関わる建築工事業者として塗装屋さんを置いて他ありません。塗装屋さんは仕事柄、とにかく人付き合いが広く、個人から企業まで顧客の間口が広いです。実際の工事は、資格を持つ電気工事業者が手掛けますが、塗装屋さんの存在価値を高める方策になり得ると思います」
――これからビジネスとして防災、減災に積極的に関わっていくということですね。
「先般、神奈川県の相馬工業さんが平塚市にレジリエンスチャージを寄付しましたが、おそらくレジリエンスチャージは、電力が必要とする優先度に応じて高齢者やペット共生住宅へ広がっていくでしょう。いまや公民館などを利用した家の相談、メンテナンスに関するセミナーを行っている塗装屋さんも少なくない中、これからは防災・減災に関する情報発信役としての役割も期待されると考えています」
――ありがとうございました。


