グラコ（本社・神奈川県横浜市、代表取締役社長・小林茂氏）のゲマ事業部は粉体塗装ハンドガンユニット「OptiFlex」シリーズの約8年ぶりのフルモデルチェンジとなる「OptiFlex Pro」の販売をスタート、「ハンドガン塗装を新たなレベルに引き上げる」と自信を示す。合わせて自動化に寄与するシステム「3Dレーザースキャンシステム」やIoTに対応したコントローラー「MagicControl 4.0」、塗料供給装置「OptiCenterオールインワン」を本格的に市場展開させる。生産性向上や自動化といった市場ニーズに対応した製品を拡充させることで事業拡大を目指す。
6月にラボ設備を完備している同社の横浜本社で新製品の発表が行われた。目玉となった粉体塗装ハンドガンユニット「OptiFlex Pro」の概要が説明されるとともに実際に塗装デモが行われた。
粉体塗装機・装置のグローバルメーカーであるゲマは、日本ではグラコのゲマ事業部として展開している。ゲマによると、グローバルシェアはヨーロッパ40％、アメリカ40％、中国45％とトップを占め、日本国内でもハンドガンで高いシェアを占めている。
110kV/110μAの高パワーを実現
そんな中で新たなアイテムとして投入された「OptiFlex Pro」の最大の特長は、従来は最大で電圧100kV/電流100μAであった出力が業界初となる110kV/110μAを実現した点。パワーブーストモードと称するこの高出力モードにより、より広範囲の粉体塗装を効果的に行えるためコンベアスピードのアップや省人化が期待できる。
同時に従来モデル同様に微弱電流制御のPCCモードを搭載。電流値を10μA以下に設定できるため、センシティブな電気の影響を受けるメタリックや模様タイプなどに有効となっている。0.5μA刻みで設定でき、繊細で正確に電流値をコントロールできる。
吐出量は50g～600g/min（塗料供給装置システムの形態による）。また、生産管理については専用アプリ（無料）を活用することでスマートフォンから塗装データや設定パラメーター、稼働時間などを確認できる。機器の構成はハンドガン「OptiSelect Pro」、コントローラー「OptiStar4.0」、インジェクター「OptiFlow」もしくは上位機種の位置づけとしてポンプ「OptiSpray」を揃えている。
同社が「OptiFlex Pro」の提案で強調するのが生産性の向上だ。国内外のユーザーからは粉体塗装ラインのラインスピードを上げる要望が強くなっていると言い、特に海外では5.0m/min以上のラインも少なくない。そうした場合は多人数によるスプレーガン塗装でなければ間に合わない状況となる。
こうした「生産性を高めたい」という現場ニーズに対して、「我々のソリューションとして最先端の帯電テクノロジーを駆使して生産性を向上させるため、世界初となる110kV/110μAの高パワーを安全な状況で供給できるハンドガンユニットを開発、製品化した」として本格的に市場展開する。
自動塗装システム、アイテム拡充
3Dレーザースキャンetc
粉体塗装の自動化に寄与するシステムとして、外形認識レーザースキャンシステム「3Dレーザースキャンシステム」を開発、このほど本格的に市場展開を開始する。
同システムはコンベアで搬送される製品の形状をリアルタイムでスキャンしガンが形状に沿って自動で前後に動く。凹凸や傾斜の形状でも安定した塗着効率が得られる。U軸のレシプロケーターによるガンが前後に単独駆動することで製品形状に対して適切な位置まで入り込んだ塗装が可能になる。
コントローラーには「MagicControl 4.0」を搭載。15.6インチの大型タッチパネルを採用し簡単な操作で集中的なコントロールができる。生産管理性能としても、生産状況をグラフ化したりさまざまな統計データを整備。ネットワーク接続も可能で、インターネット経由で外部からアクセスできる。
塗装の自動化ではロボット塗装が有能だが、ティーチング作業が不可欠であり、塗装技術や生産管理が整備されている現場でなければ使いこなせないのが実態。同システムであれば事前のティーチングやデータ入力は不要となる。
3Dレーザースキャンシステムは既にヨーロッパやアメリカ、中国の各市場で導入済みであり、このほど日本のユーザーにも採用された。同社ではこれを契機に提案を積極化させる方針。
その他、ガンコントローラーとインジェクターが一体化された粉体塗料供給装置「OptiCenterオールインワン」を上市するなど製品戦略を強化し、事業拡大を図っていく。
