2026:09:02:11:48:19

省エネ化VOC処理を市場探索 個々の生産設備ごとに処理

村田製作所

電子部品メーカーの村田製作所は、工場の乾燥炉から出るVOCを処理するシステムの省エネ化・効率化につながる新提案の市場探索を進めている。工場全体のVOCを1カ所に集めてまとめて無害化処理を行う従来のセントラル型の設備に対し、個々の生産設備ごとにVOC処理を行う「one-by-one」をコンセプトとしている。同社は新システムで用いる小型排気循環処理装置のコア部品であるローターを商材としており、設備メーカーと連携し提案を進めていく形だ。塗装工場を有力なターゲットの1つと考えている。

 


有機溶剤を含む塗料やインクなどを用いる工場では、溶剤を熱風で加熱除去する乾燥炉を使用している。乾燥炉から排出されたVOC(揮発性有機化合物)を含むガスは燃焼処理装置に送られ、無害化処理されて水とCO2に分離して外部に放出される。これがVOC回収処理システムの概要だ。

「従来のシステムは、複数の生産設備から排ガスを大型の回収装置に集めて処理するセントラル型が主流。このタイプは大掛かりな設備が必要で、かつ稼働に大きなエネルギーを必要とする。例えば、個々の生産設備からは温度や湿度、濃度といった性質が異なる排ガスが送られてくるが、燃焼装置は最大温度、最大湿度、最大濃度に対応する条件で運転する必要がある」と同社の技術・事業開発本部の粟谷皐平氏は従来方式の課題を説明する。

こうしたセントラル型の課題に対し、同社は生産設備ごとに小型排気循環処理装置を分散配置する「one-by-one」システムによる改善を提案している。乾燥設備から出た排ガスを直接燃焼装置に送るのではなく、いったん小型排気循環処理装置に送る仕組みとなる。(下図参照)

小型排気循環処理装置では排ガスからVOCを取り除くことができ、VOC除去後のクリーンな温風と除去したVOCを濃縮したガスを排出する。VOC濃縮ガスは燃焼装置に送られ、温風は乾燥炉で使用する熱風などに再利用されるので省エネにつながる。

すでに同社のコンデンサなどの電子部品の工場ではone-by-oneシステムの順次適用を進めている。セラミック事業本部の眞田幸雄氏は「1つの乾燥設備につき年間2,000万円の省エネ効果が見込めるなどの有効性を確認している」と説明する。

「温風再利用の他、生産設備ごとに適切なVOC除去濃度に調整するといった最適化による省エネ効果もある。また、セントラル型の場合に必要だった大規模なダクトの簡略化などによるシステム全体のコンパクト化や工場レイアウトの自由度向上といったいくつものメリットがある」と粟谷氏と眞田氏は強調する。

one-by-oneシステムの要は小型排気循環処理装置であり、同社が独自技術によりVOC処理を担うコア部品であるローターを小型化することで開発が実現した。このビジネスにおける同社の商材はこのローターとなる。

「VOC処理システムを手掛ける設備メーカーなどと当社が連携してone-by-oneの提案を進めていく形だ。有力なターゲットの1つが塗装市場で、有機溶剤塗料は将来的に使われ続けると考えられるが、VOCの規制も強化されていくはず。処理システムの新規構築や見直しを図る場合の候補となるように環境負荷低減とコストダウンを両立するソリューションとして今後も自社展開並びに社外販売に向けたPRに注力したい」と意気込みを示した。


one-by-oneシステムの概略イメージ
one-by-oneシステムの概略イメージ