熱伝導性と放熱性両立した新規塗料

熱マネ市場に展開

帝人フロンティア

電子機器に組み込まれた半導体が発する熱による部品の短寿命化や性能劣化のリスクが増大しており、熱マネジメントの重要性が高まっている。帝人フロンティアはこうした市場ニーズに対応するため、1液溶剤系塗料「ラジエックス」を開発しサンプル提供を開始した。複数の特殊フィラー(充填剤)を活用し熱伝導性と放熱性の両方を兼ね備えていることが特徴だ。

昨今、自動車関連機器や産業機器、家電などの電機分野において、電子部品の高性能化や高集積化が進んでいる。これに伴い、部品に組み込まれた半導体が発する熱で部品の性能が劣化したり、寿命が短くなったりするリスクも増大しており、対策が求められている。

部品内部で生じた熱を効率的に外部に移動するには、熱源となるICチップなどから熱を効率的に伝導・放射する仕組みが必要となる。これに役立つのが、帝人フロンティアが昨年上市した新規放熱塗料「ラジエックス」だ。

ラジエックスは、高い熱伝導性を持つ炭素材料であるグラフェンなど複数の機能性フィラーを配合しており、塗膜の厚み方向の熱伝導性に優れる。また異形状フィラーの混合により塗膜表面に極微細な凹凸構造が形成され、この形状の働きにより塗膜内の熱が高効率に放射される。かつ、ベースに高耐熱性樹脂を採用し高温下での被塗物への高密着性及び高耐久性も実現した。

これらの技術的工夫の結果として、塗膜の熱放射率94%、熱伝導率13.4W/mKとの数値を得ている。
「従来、電子部品の熱マネ市場は高熱伝導性の材料が主流で、放熱への注目度は比較的低い傾向があった。ラジエックスはこれらを高水準に両立させているところが特徴となる。また液状なので複雑形状への追従性にも優れている」と同社の担当者は説明する。

ラジエックスの使い方は、ICチップのような熱源の熱を外部に逃すためのヒートシンク(熱放射材)及びこうした構造を覆う筐体の表裏への塗装を想定。熱源からの熱をヒートシンクが高効率に移動・放射させ、放射された熱は筐体の内側で吸収され、更に筐体の外側の塗膜から外部へと放射されることになる(図参照)。

塗装方法はスプレーもしくはディップで推奨膜厚は10~20μm。対象は基本的にアルミや銅などの金属だが、樹脂への塗装も可能(下地処理を要検討)。焼成条件は120℃~×10分。

現在、さまざまな分野で試作開発が進んでいるが、量産時の塗装の担い手は案件ごとに検討する必要があるという。「塗装専業者に委託するケースもあり得るので、電子部品の塗装に知見や実績のある塗装会社の情報を集める必要性を感じている」と工業塗装業界に関心を示した。