塗装工事、亀裂やクラックにこれ1本
万能防水補修塗料「フラッシュシール」

建物のさまざまな箇所に発生し、雨もりや漏水の原因にもなる亀裂やクラック。それらの修理や補修に威力を発揮する新たな商材が現れた。建築防水部材メーカー・タイセイ（本社・東京都新宿区、舘野聖二社長）が本格販売に乗り出した万能防水補修塗料「フラッシュシール」は、"ゴム"の力で亀裂やクラックを強力にシールする。巨大化する台風や豪雨で建物のダメージも大きくなる中、活躍の場が広がりそうな注目アイテムだ。

住宅の塗り替え工事中に、「ペンキ屋さん、雨樋がひび割れていて水が漏るんだけど、ついでに直してもらえないかしら」などと施主から声を掛けられるケースはよくある。

このときに、「いやー奥さん、それはうちの仕事じゃないんで、板金屋さんにでも頼んでもらえない？」なんて返すとアウトである。「融通がきかない、感じの悪いペンキ屋さん」と思われた業者には、その家の次の塗り替えはおろか、評判を聞いた近隣からの注文もまずこない。

反対に、「いいっすよ、やっておきます！」と、当たり前のように対応できれば「専門外のこともやってくれる器用で親切な業者さん」とグンと印象が良くなり、次の塗り替えはもちろん、施主からの紹介受注で仕事量のアップも期待できる。

このように、ちょっとした気の利いたサービスを提供できるか否かで結果は大きく変わる。「ペンキ屋さんなのに他のこともやってくれる」など、イメージを覆すものほど施主の満足度は大きく、ビジネスを成功に導くための大事なツボと言えるかもしれない。

"塗るゴム"でマルチに補修

塗装業の仕事の中で頻出するそうした場面で活躍しそうな新たな商材が現れた。建築防水部材メーカー・タイセイが国内販売を始めた万能防水補修塗料「フラッシュシール」がそれだ。塗装工事の中で、さまざまな基材に発生したひび割れや亀裂を刷毛で塗るだけの簡単作業で防水補修する。施主が気になっていた不具合箇所をサッと直せる、満足度アップのお役立ち商材だ。

同品はEPDM（エチレンプロピレンジエンゴム）というゴムを液状化した、いわば"塗るゴム"とも呼べる塗料。乾くと厚さ1.5㎜のゴムの被膜になり、コンクリートやスレート、瓦、硬質塩ビ、木材、金属などさまざまな基材に密着、追従して強力な防水性能を発揮する。防水・耐水性の他、耐候性や耐寒・耐暑性（－40℃から90℃）に優れているのが特長。紫外線を受け温度変化の激しい屋外で活躍するゴム素材だ。

このEPDMゴムを特殊な製法で液状化、塗料化した「フラッシュシール」を刷毛やヘラで対象基材に直接塗るだけで、基材に発生しているひび割れや亀裂を修復し、防水機能を付与できる。幅5㎜程度のクラックまで対応し、約25％の伸長率を持つ塗膜が基材の動きに柔軟に追従する。

施工方法は、塗る前にウエスなどで塗布面を清掃し、同品を直接塗るだけ。粘度が非常に高いため、規定膜厚の1.5㎜の厚さを確保できるように設計されている。

1液湿気効果型の無溶剤塗料で、塗布後約1時間で指触乾燥し、約6時間で硬化、短時間施工もセールスポイントだ。容量は750ml（1.13㎏）で塗布可能面積は1缶当たり0.5㎡（1.5㎜厚）、色はグレーとブラックを揃える。

台風列島の必需品

では、実際にどのような場面で活躍するか見てみよう。

冒頭の例に挙げたように、雨樋の亀裂や割れの補修には最適だ。廃盤でパーツが入手できず全取り換えしかない場合は有効性がかなり高い。漏水が多発する箱樋の継ぎ目にも威力を発揮する。「現調時にサービスで雨樋を修理したことが喜ばれ受注につながった」（塗装業者）というケースもある。

また、ベランダや屋上周辺では防水層の亀裂や立ち上がりの入隅の亀裂補修、排水口のドレンまわりの止水、貯水タンクのパイプのジョイント、トップライトまわりの補修など重宝しそうな箇所が多そうだ。

この他、塗装業者も雨漏り修理で活用し始めている防水補修シート「ファストフラッシュ」の端部処理にも最適。同品は、同じくタイセイが販売している自着の防水シートで、ブチル粘着剤とアルミメッシュ、EPDMの層からなり、強力な防水性と耐候性を持ち、屋根瓦や波型基材など複雑な形状にもフィットする防水シート。その端部を、シート表面と同じEPDMを塗料化した「フラッシュシール」でカバーすれば「ほぼパーフェクトな雨漏り修理ができる」（塗装業者）と期待が寄せられている。

気候変動によって巨大な台風や豪雨災害が頻発している日本列島。建物のダメージも大きくなり、塗装工事に付随してさまざまな箇所や部材の修繕要請も増えてくる。そうした場面を「強み」にできる商材との観点で「フラッシュシール」にスポットを当てた。

同品は2019年2月からオンラインショップで販売を開始。「特に宣伝はしていませんが月に100本以上はコンスタントに売れており確かなニーズを感じています。今後は塗装業者様に活用していただくべく、塗料販売店様向けの卸価格を設定して販売します。まだまだ活用方法はあると思うので現場でいろいろ試していただき、お仕事に役立てていただければ」（同社担当者）と、塗装業界にアプローチする。