雨漏り修理のマストアイテム「ファストフラッシュ」

防水、板金、屋根など塗装と近接した職種で人気を集めている建物の補修材がある。防水材メーカーのタイセイ（東京都新宿区、舘野聖二社長）が販売している万能防水補修シート「ファストフラッシュ」だ。ツーバイテープなど従来の防水補修材を超える止水性能、"切って貼るだけ"の簡単施工が受け、多くの業者のマストアイテムとなった。ゲリラ豪雨や大型台風の頻発で雨にまつわる建物のトラブルが増える中、塗装工事の現場でも重宝しそうなアイテムだ。

「ファストフラッシュ」は建物のさまざまな箇所に用いる万能防水補修シート。サッシ周りや屋根と壁の取り合い、谷鈑金、折板屋根のジョイント、コーキングの上貼り、屋根や壁に発生した亀裂など漏水箇所の止水・防水に用いる自着の補修シートだ。いわゆるツーバイテープや防水アルミテープが多用されてきた領域のアイテムだが、それら従来品に置き換わるかたちで市場に台頭、防水補修材カテゴリーで快調に販売を伸ばしている。

人気の秘密はファストフラッシュ独自の商品構造にある。同品はブチル粘着剤の接着層と表面のEPDM（エチレンプロピレンジエンゴム）層との間にアルミワイヤーメッシュを挟んだ3層構造。

強力な接着力を持つブチル粘着剤が接着層の全面に施され、材料をムダなく使えて経済的。表面のEPDMはマイナス40℃から90℃までの厳しい気象条件に耐えるゴム材料で、電線の被覆材やパッキンにも多用されており、耐候性や防水性など外部使用での性能は折り紙付き。長手方向に60％、横方向に20％伸長するので複雑な形状にもピッタリフィットする。

そしてその形状を保持・安定させるのが中間層のアルミメッシュだ。この層が挟まっていることで、経年による縮みや端部のめくれ、破断など従来の防水テープに見られるような不具合がない。厚みも2.3mmあり、従来の薄い防水テープに比べてその頑強さが直感的にも伝わる。

一方、施工の簡便性もセールスポイントだ。基本的にはハサミやカッターでカットして貼るだけ。材料自体の伸張性でビス頭のような複雑な形状にもピッタリ追従。壁紙押さえなどのローラーで転圧すれば万全で、高圧洗浄機の噴射にも耐える強力な粘着力が得られる。簡便な施工でありながら従来の防水テープを凌駕する防水への安心感でファンを広げている。

「ファストフラッシュ」の規格は幅140mm×長さ5m、幅280mm×長さ5m・2.5m・1m、幅560mm×長さ5mの5種類。色はブラックとグレー。

塗装店にも重宝しそうなアイテム

タイセイがファストフラッシュの販売を始めたのは6年ほど前。米国で開催されていた国際建材展で見かけたのがきっかけだ。「それまで国内でアルミメッシュを挟んでいる防水テープを見たことがなく、そのインパクトが大きかった」と同社営業部の高桑忠彦部長。アルミメッシュを挟んでいることによって形状記憶され、縮みやよじれ、端部のめくれ、破断など国内の防水テープで見られた不具合を解消できる点に大きな商品力を感じたという。

同社はすぐに国内導入を決め、輸入販売を開始。同社が得意としている防水業界を皮切りに販路を拡大、中でも急速な広がりを見せたのが建築板金業界だという。「折板屋根のジョイント処理など、それまで手間のかかっていた工程を簡単かつ確実に施工できることから板金業界に一気に広がりました。従来の防水テープを超えた概念が支持されたのだと思います」と高桑氏。全日本板金工業組合連合会（全板連）の推奨品になるほどの人気を集めた。

そしてもう1つ広がりを見せているのが雨漏り修理の業界だ。ファストフラッシュの強力な止水性や基材への密着性、耐久性から雨水の浸入を防ぐシートとして多用され、雨漏り修理の施工者団体の認定品として登録されるなど雨漏り修理の必須アイテムとしても広がっている。

雨漏り修理を得意としている塗装店は、「このシートは自在に伸びるので複雑な形状の箇所でもピタッと貼れるのがポイント。笠木の角（端部）やベランダの立ち上がり、屋根と壁の取り合いなどの出隅、入隅もしっかりとカバーし、頑強に防水してくれる。雨漏り修理シートとしては別格」とコメント。雨漏り修理業界の信頼も厚い。

近年、地域密着型の塗装店がスキルを磨き、雨漏り修理に乗り出すケースが増えている。全国各地でゲリラ豪雨や大型台風が頻発し雨漏りのトラブルが増加、それに伴って地域で露出している塗装店に修理依頼が寄せられるためだ。こうした塗装店にとってファストフラッシュは雨漏り修理のマストアイテムになりそう。もちろん雨漏りだけでなく、例えば樋の割れを素早く直してあげるなど、塗装工事における気の利くサービスとしても活用の幅は広い。仕事の車に1本積んでおくだけでいろいろと重宝しそうなアイテムだ。