日本パウダーコーティング協同組合が運営する粉体塗装研究会が2024年第3回研究会セミナーをオンラインで開催した。
今回は東亞合成の丹羽真氏が「サステナブル社会に貢献する弊社粉体塗料アロンパウダーのご紹介」と題し、機能性タイプなどを紹介した。
東亞合成の「アロンパウダー」は熱硬化性の粉体塗料で、自動車や電材分野など高品質が要求されるニッチ市場で使用されている。ポリエステル樹脂系はPシリーズ、エポキシ樹脂系はEシリーズ、絶縁向けエポキシ樹脂系はELシリーズとして展開している。
その中の「アロンパウダーP-210」は高い耐食性を有する塩害地向け機器の外装用に適したポリエステル樹脂系粉体塗料。屋外用途の耐候性に優れた性能を持つ。50μmという薄膜で各種鋼板(GI材、GA材、ZAM材など)の上で優れた重防食性能を発揮する。
丹羽氏は「北海道などの沿岸部に設置される機器の外装パネルなどに使われており、空調設備の重防食スペックにも適合している」と説明した。
続いて「アロンパウダーE-150」は塗装不良率を抑制できるエポキシ樹脂系粉体塗料。丹羽氏は「塗装不良率は塗装を生業とするお客様にとっては非常に敏感な問題」と指摘し、同品の特性を紹介した。
同品は完全艶消しの滑らかな塗装面が得られ、被塗物表面の擦り傷などの欠陥をカバーする。塗り重ね性に優れ、プライマーとして耐食性に優れている。平均粒径は20μmと非常に細かくなっている。コロナの静電塗装とトリボの摩擦帯電塗装の両方に対応している。
「アロンパウダーEL-1000」は導体に対して回りから電気的に隔絶するために、1次被膜として絶縁塗装するときに使用される。エッジカバー性に優れており、流動浸漬法とスプレーの塗装方法に対応している。
一方、「アロンパウダーEL-2000」は基材への含侵性に優れている。導体が間隔を持って配置されている場合、粉体塗装で含侵させて導体同士を相互に絶縁させるときに使用される。塗装方法は流動浸漬法に対応する。
更にコイルエンド絶縁補強に実績のあるEL-2000をベースにモーターの移行出力化に対応した「アロンパウダーEL-2500B」などを紹介した。
また、「アロンパウダーEL-3000」は熱伝導性に優れたエポキシ樹脂系粉体塗料で、車載電材の温度上昇を防ぎ消費電力の低減に寄与する。
丹羽氏は「放熱の必要な発熱体ケーシング外面塗装や車載など高温環境下の電子・電機部品での使用に最適」と説明した。
120℃硬化、エポキシ樹脂系
環境負荷低減に寄与する低温硬化タイプとしては、超低温硬化が可能なエポキシ樹脂系粉体塗料「アロンパウダーE-203」を販売している。
同品は120℃×20分という低い温度条件で硬化するため、耐熱性プラスチックや温度特性のシビアなバネ材やめっき面などへ塗装適用できる。
従来の低温硬化性粉体塗料で欠点とされていた平滑性、二次密着性、耐食性に優れている。また低温硬化タイプでありながら、通常条件(30℃)で保管できる。
2講演目として、日本パウダーコーティング協同組合の立花敏行専務理事が「塗料業界の諸情報の提供」と題し、世界の塗料業界の2023年末の順位の紹介やナフサ価格と粉体塗料の価格連動を解説した。
粉体塗料の価格変動が少ないことを説明した上で、「利用者にとっては事業の計画を策定する上では原材料分の価格変動が軽微であり有利に働くと考える」との見方を示した。その他にアクゾノーベルやPPG、シャーウィン・ウィリアムズなど海外大手の直近の動向について解説した。