自動車鈑金塗装工場が抱える課題解決に着眼した製品・サービスが活発化している。6月19日から21日、東京ビッグサイトで「第38回オートサービスショー2025」が開催。塗料メーカーから関西ペイント、日本ペイント、ロックペイント、イサム塗料、アクサルタの5社が出展し、環境安全性や省力化、作業効率の向上、教育支援ツールなどを出展した。
関西ペイントは、6月16日に発売したオール水性有機則フリーシステム「レタンWBエコEVシステム4.0」を初披露。環境安全性向上による実務的なメリットを訴求した。
「同4.0」の特長は①新たな化学物質への対応強化と作業者の安全向上②作業時間の短縮と年間通じた安定施工。化学物質対応においては、労働安全衛生規則が定めるがん原性物質の未含有（作業記録不要）に加え、新たに皮膚等障害化学物質と化学物質リスクアセスメントにおける吸入リスクレベル2以下を達成。これにより不浸透性保護具の着用義務化を免れるとともに個人ばく露の測定を不要にした。
担当者は「保護具の非着用を推奨するものではないが、安全性向上によるメリットを訴求していきたい」と説明。コンプライアンス違反の防止や対応業務の削減、必要経費の削減に対する貢献に加え、職場環境改善による採用力向上に寄与する点をBP工場に訴求する構えだ。
また新たに「レタンWBエコSTクリヤー（スタンダードタイプ）」を加えた他、厚付仕様を可能にしたプラサフ「EQプラサフ2」を投入した。
「同STクリヤー」は、艶感にこだわった一般クリヤーで速乾タイプとの使い分けを提案。「EQプラサフ2」は、要望の多かった厚付け仕様を可能にし、環境対応と作業性の両立を実現した。
今年、naxブランド50周年を迎えた日本ペイントは、「ニッペアクリル」に始まるnaxブランドの変遷を当時の雑誌広告を用いて紹介。"野郎好み"と書いて"プロフェッショナル好み"と読ませる広告コピーなど、時代を感じさせる演出で来場者を楽しませた。
中でも来場者の注目を集めたのはVRゴーグルを使った技術支援サービス。作業工程やスプレーの動かし方など、熟練者の作業をリアルに体感できるのが特徴。ブースでは体験コーナーを設置し、多くの来場者が集まった。
具体的なサービス内容については、「これから詳細を詰めていく」（担当者）としつつ、高難度塗色や新製品のデモ体験などアイデア次第で活用の方法はさまざま。市販のVRゴーグルで利用を可能にした点も差別化に据えており、出張・訪問のいらない技術支援ツールとして活用を目指す。
ロックペイントは、2月にリリースした専用アプリ「Rock Pocket Navi」をアピール。ブース正面にスマートフォンを模した大型ディスプレイを配置し、製品情報や動画、カタログなど情報ツールとしての利便性を訴求した。
また販促活動を活性化するため、同社の作業ユニフォームを着た男の子と女の子のマスコットキャラクターが初登場。来場者の投票結果でキャラクターの名前を決める企画を実施し、来場者との交流を楽しんだ。今後、キャラクターがアプリをはじめ同社の販促展開で活躍する予定だ。
製品としては、オール水性仕様を実現した「ネオウォーターベース」「ハイドロシリーズ」の他、「プロタッチ」「エコロックシリーズ」の環境負荷低減製品を出展。調色作業支援システム「Dr.ROCK Ⅳクラウドシステム」の実機を用意し、体験を提供した。
イサム塗料は、新製品の「ノンスチレンスプレーパテ」及び新型スプレーガン（未発売）を出展した。
「ノンスチレンスプレーパテ」は、スチレン非含有のスプレーパテ。特化則対応、有機則フリーの他、結晶質シリカ規制対象除外、PRTR法届出対象外、REACH規制・RoHS指令対応など環境性能を差別化に市場展開を図る。
特に用途に据えるのが、大型車両及び雹（ひょう）・あられ被害への対応。「広範囲に広がったボディの凹みをスプレーで塗布できる利便性は高い」と担当者。2種類の希釈剤で即加熱または厚付けを可能にした他、きめ細かい巣穴のないパテ面を形成する。
この他、恵宏製作所と共同開発した「ビーストスプレーガン37マグナム」を出品。3.7mm口径の大口径スプレーガンで需要を伸ばす「ビースト」のチッピング工法として多彩なチッピング模様仕上げを実現。「ノンスチレンスプレーパテ」との相性も確保した。
アクサルタは、今春投入した多角型分光測色機「Axalta Irus Scan」の他、アクサルタ、スタンドックスそれぞれの水性システムを紹介した。
「Irus Scan」は、高解像度RGBカメラの採用やマイナス角度を利用した4角度による測色により測色精度の向上、調色作業の短縮化に寄与するのが特長。「機器の性能もさることながら、200万件以上の塗色配合データベースがサービスの基盤となっている」（担当者）とアピールした。
