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CO2排出量、塗装、IJ、OMLとも「ほぼ同じ」

自動車塗装CN研究会

国内自動車メーカー8社からなる「自動車塗装のCNを考える研究会」は従来のスプレー塗装とInk-Jet(IJ)、OMLのCO2排出量を比較した結果、ほぼ同等と結論付けた。自動車製造では塗装工程からのCO2排出量の多さを課題としてIJやOMLといった塗装代替技術の開発が活発化していただけに、今回の結果に対する影響に関心が集まる。その中で同会は「前提条件で結果は変わり得る。各工法の優劣が決まったわけではない」と結果の扱いに慎重な姿勢を示した。


 塗料・塗装に関係する企業が多数参画する日本塗装技術協会(会長・工藤一秋氏)は、自動車製造におけるカーボンニュートラル(CN)実現に向け2022年に「自動車塗装のCNを考える研究会」を発足した。トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱自動車、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業の国内自動車メーカー8社が参画し活動を行ってきた。

具体的には、「エネルギー置換ワーキンググループ(WG)」「CFP(カーボンフットプリント)WG」「CNシナリオWG」「ブースレスWG」の4つのWGを設置。現在まで2回の勉強会を開催し進捗を報告してきた。

トヨタ、スズキ、日産、三菱自動車の4社によるブースレスWGでは、自動車製造工程において塗装ブースからのCO2発生量が最も多いことに着目。塗装ブースを小さくする、もしくは不要とする環境負荷低減型の塗装代替工法の検討を実施した。検討対象は、液体吐出ヘッドから塗料を飛ばして塗装するIJ技術と、パーツ表面に事前に絵柄を印刷した加飾フィルムを貼り付けるOML(アウトモールドラミネーション)の2工法とした。

検討の途中段階では、IJは塗着効率ほぼ100%、ブース風量低減などのメリットが想定されるが国内では自動車塗装への適用が進んでおらず懸念点・不明点が多かった。またOMLは塗装ブースが必要ないので環境負荷低減が期待できる一方、タクトタイムとコストが課題との見方があった。

こうした中、同研究会は6月26日に日本ペイントホールディングス東京事業所にてこれまでの活動を総括する最終報告会を開催した。ブースレスWGは、車のルーフ単体の塗装を「スプレー塗装」「IJ」「OML」の3つの工法で行った場合のCO2排出量の比較結果を報告。これらはほぼ同じだったことを明らかにした。

スプレーで車1台分のルーフを塗装した場合のCO2排出量は全体で約12.2kg-CO2/台。GHG(温室効果ガス)排出の区分別ではスコープ1とスコープ2の合計が9.8kg-CO2で、スコープ3のカテゴリー1(製品調達)が1.9kg-CO2、カテゴリー5(廃棄)が0.4だった。同様にIJはトータルが約12.3kg-CO2、スコープ1・2の合計が9.3、スコープ3は2.9と0.0。OMLはトータル11.8、スコープ1・2が5.0、スコープ3は6.1、0.7となった。

これに対しWGは「3工法はスコープ1~3のトータルでは大差ないが、スコープ1・2で比べた場合はOML→IJ→スプレー塗装の順で排出量が低くなる」と説明。OMLはスコープ3の割合が高く、材料の調達段階での環境負荷が大きいことが示唆された。

今回の比較検討は、WGがこれまでの活動で得たスプレー塗装、IJ、OMLに関する知見を盛り込んだ条件設定の下で行われた。

スプレー塗装については、ブースでの使用風量がCO2排出量に直結するため高塗着塗装機やロボット技術などを駆使した風量低減の検討を実施。その結果、既存技術の組み合わせで現行よりCO2排出を55%低減できると試算し、3工法の比較にはこの手法を適用している。

またIJは、スプレー塗装と同等のコストや生産性の達成には加工能力の増強が必要との知見を得ていたため、今回の比較は加工能力を1.5倍に増強した仮定で行った。かつ、スプレー塗装での風量低減策はIJでも使えるのでこちらも適用した。

OMLもスプレー塗装代替案として現実性を持たせるためには、材料コストと生産能力をスプレーに近づける必要があった。改善策として加飾フィルムの保護層削減及び成形プロセス改善によるタクトタイム短縮を検討しており、ある程度の成果が見込めることから今回の比較でも採用された。

つまり、今回の比較検証は「塗装ブースの風量改善を行ったスプレー塗装」「能力1.5倍かつブース風量改善策を適用したIJ」「フィルム構成及び成形プロセスを見直したOML」を対象として行われたことになる。

ブースレスWGの発表の総括を行ったトヨタ自動車の林晃基氏は「あくまで今回の前提条件での検討結果であり、条件によって結果は変わり得る。各工法の優劣だけを鵜呑みにしないようお願いしたい」と強調した。

また「IJとOMLは従来の塗装では難しいデザインを生み出せる可能性を秘めており、今後も動向を注目する必要がある」とまとめた。


ルーフ単体塗装における3工法のCO2排出量比較(スコープ1~3合計)
ルーフ単体塗装における3工法のCO2排出量比較(スコープ1~3合計)

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