日本塗装技術協会は2月13日、日本ペイントホールディングス東京事業所にて2025年第3回講演会を開催。今回のテーマは「自動車塗装業界におけるDX化活動の最前線~激動の時代を乗り切る・変革・戦略的アプローチ~」で、約110名が参加した。
トヨタ自動車の早田祐貴氏は「自動車新色開発におけるDX活用」をテーマに講演を行った。
従来の自動車新色開発では、塗料試作、試験パネルでの塗装評価、評価後の塗料の調整といったトライ&エラーを繰り返す必要があり、量産化まで数年を要することも珍しくなかった。この期間を短くするため、工場のビッグデータを駆使したAIモデルの活用などに取り組んだところ、最大で60%のリードタイム短縮を実現した。
関西ペイントの立花優志氏は「自動車補修分野のDX推進~熟練技術のデジタル化と人材育成~」と題する講演を行った。
立花氏は、センサーで補修対象色の光学データを取得し、CCS(コンピュータカラーサーチ)で近い測色値の配合を選出して、CCM(コンピュータカラーマッチング)で近似配合からの対象色への調整を指示するコンピュータ調色について発表した。
同社のCCSはメタリック塗色に対して色味と光輝感の両方が一致した配合を選定できる。またCCMも機械学習の応用によりメタリック塗色に対し高い予測精度を持つと説明した。
シーメンスの宇都泰孝氏は「塗装工程におけるシーメンスのデジタルツインのご紹介」を講演した。
デジタルツイン技術をロボット塗装に応用すると、例えばスプレー塗装の軌跡に応じたロボットの動きを仮想空間で再現することで、最適な作業プロセスの設計などを効率的に検討できる。また正確な膜厚の計算により塗料の無駄を減らしコスト削減に役立たせるといった使い方も可能となる。
アンシス・ジャパンの増田俊輔氏は「DXを支えるシミュレーション技術とAI技術の最新動向」をテーマに講演を行った。
増田氏は、自動車塗装分野における同社技術の適用例の1つとして電着塗装時の槽内流動シミュレーションを紹介。「時間経過による塗装膜厚の変化を予測できるため、電極の最適な配置の検討などに役立てられる」とシミュレーションで得られる効果を解説した。
ABBの中島秀一郎氏は「塗装工程のデジタル変革:ABBが描く未来」とのタイトルで講演した。
中島氏は、現在の塗装現場の課題として「オペレーターを育てるのに時間が掛かり過ぎる」と指摘。「近い将来、熟練工の経験知はデジタル技術やAIで代替できる時代が来ると考えている」との見解を示した。
例えば、現在はベルカップの交換時期を人が目視で摩耗状態を確認して判断している。これに対し、使用した塗料の種類や塗装箇所などのデータを整理してAIと組み合わせることで「交換時期を人の判断に頼らずに標準化できる可能性がある」と説明した。


