自動車補修用塗料において製品開発のベクトルに据えるのは作業時間の短縮と環境対応の両立。BP工場が課題とする人材の採用、雇用の安定化を塗料開発からサポートする姿勢を全面に打ち出す。「第22回国際アフターマーケットEXPO2025（IAAE2025）」が2月26日から28日まで東京ビッグサイトで開催。国内外約400社・団体が出展する中、1万7,453名が来場した。塗料メーカーからはアクサルタ、イサム塗料、関西ペイント、日本ペイント、ロックペイントの5社が出展。各社、塗装実演を行い、新製品をアピールした。
■アクサルタ
実演コーナーでは、エネルギーコストを70％削減するスタンドックスの「エクストリーム塗装システム」を紹介。「プレップワイプU3000」の後、「VOCエクストリームウェットオンウェットフィラーU7650」を塗装した。鋼板と外板プラスチックパーツの同時塗装を可能にし、かつ自然乾燥を可能にしたのが特長。「世界で爆発的に売れている」（担当者）と省エネ性や作業効率の良さをアピールした。
ベースコートの後は「VOCエクストリームプラスクリヤーK9600」で仕上げ。カラークリヤーへの使用も可能で、肉持ちの良い高外観と20℃、30～55分で乾燥する速乾性を特長とする。
一方、出展ブースでは最新の多角型分光測色機「Axalta Irus Scan」を紹介。「マイナス角度」を用いた4つの測点と200万件以上の塗色データベースを駆使し、正確な塗色を抽出するのが特長。新型測色機の話題を聞きつけ、多くの来場者が駆け付けた。
■イサム塗料
昨年10月に強制乾燥不要の「ポリウレアクリヤーNB」を投入したイサム塗料。2023年には水性ウェットオンウェットベースコート「クロノスHD」を投入するなど、積極的な製品展開が目立つ。
「ポリウレアクリヤーNB」は、常温乾燥（23℃・60℃）40～50分でポリッシングを可能にした2液型クリヤー。強制乾燥を不要とし電気代、灯油代などエネルギーコストの大幅削減に貢献する。
実演では、「クロノスHD」＋「ポリウレアクリヤーNB」と光硬化型パテ「ライトアップPlus」＋有機則非該当水系プラサフ「ピュアWSプラサフ」の工程を紹介。ウェットオンウェット塗装、UVパテともに作業性の高さをアピールした。
■関西ペイント
今展では「オール水性有機則フリーシステム」を全面にアピール。プラサフ、耐擦り傷性クリヤー、艶消しクリヤー、プラスチックプライマーを揃える豊富なラインアップを強みに「真の実用レベルに到達したオール水性シリーズ」として訴求を強める。
バンパーのスポット補修を行った実演では脱脂後「レタンWBエコ EV プラスチックプライマー」「同EQプラサフ」、水性カラーベース「同EV」「同EQクリヤー」の工程を披露。担当者は「プラサフの後、ペーパーを当てずにカラーベースができるのも同システムの特徴。プラサフとカラーベースの複合塗膜によって塗装作業時間が短縮できる」と説明。更に「溶剤系よりも早く硬く仕上がるため、ゴミやブツに対する懸念も軽減される」とメリットを述べた。
■日本ペイント
昨年から年初にかけて光硬化パテ「nax UVライトベール」及び高機能ハイソリッドクリヤー「naxプライムクリヤーシリーズ」を投入した日本ペイント。水性と溶剤の組み合わせによる環境対応と作業性の両立を訴求した。
実演コーナーでは、「同UVライトベール」を使い、パテ塗布→スケールによる除去→照射→仕上げ照射の工程を紹介。1液のため混合の手間を省ける他、「ポリパテのように高く盛って削るのではなく、重ね付けしながら面出しも同時に行える」と説明。最大膜厚5mm／回によるパテオンパテを可能とし、作業時間の大幅短縮に寄与する。
「同プライムクリヤー」は、高外観を特長とする「SGクリヤー」と最短40℃×10分のポリッシュを可能にした「QDクリヤー」を揃える。連続塗装が可能で塗装コート回数の削減、乾燥時間の短縮に寄与。オール水性化が難しい用途に対し、環境対応、作業性向上システムとして提案する。
■ロックペイント
オール水性自補修システム「ロック ウォーターボーン塗装システム」を展開するロックペイント。実演コーナーでは、プラサフ、カラーベース、クリヤーの水性システムを披露した。
2液水性プラサフ「ロック ハイドロプラサフ」は、平滑性重視のサンディング仕様とウェットオンウェットによる作業性重視のノンサンディング仕様の選択が可能。クリヤーは、今春水性耐スリ傷性クリヤー「ロックハイドロクリヤーAS」を上市。「トヨタSelf-Restoring Coat」に対応し、需要拡大を目指す。
またブースでは2月にリリースした公式アプリ「ROCK Pocket Navi」を紹介。車両用塗料を中心に製品カタログや動画、ニュースが得られる情報アプリで、必要なカタログを収納できるポケットブック機能も搭載。来場者に利用を呼びかけた。
