抗ウイルス塗料、ペイントDIYの切り札に

一般消費者のDIY需要で抗ウイルス塗料が広がりそうだ。ターナー色彩（本社・大阪市、社長・松村隆氏）は、"抗ウイルス機能"そのものを商品名にした室内壁用塗料「ANTI VIRUS PLUS（アンチウイルス プラス）」を16日に発売、全国のホームセンターやネット通販サイトを通じて市場展開に入る。"巣ごもり"に伴うDIY消費の定着、安全安心な住空間づくりの機運が高まっていることを受け、「DIY市場でも本格的な機能性塗料が受け入れられる」と判断、投入を決めた。同社が掲げる「ペイントDIY文化の創出」に向けた切り札にしたい考えだ。

同社は2014年に、DIY市場に向けたオリジナル塗料「ミルクペイント」を発売。女性のDIYブームが巻き起こる中、ミルク原料を使用した安全なイメージとレトロ感のある色調が女性層の圧倒的な支持を獲得し全国のホームセンターを席巻、近年稀に見るヒット商品となった。現在では全国2,500店以上の主要なホームセンターが導入、同社をDIY塗料の有力メーカーに押し上げている。

今回発売する「アンチウイルス プラス」もミルクペイントのシリーズ品としてラインアップした。DIYユーザーに認知度の高いブランドを冠することで市場への早期の浸透を狙う。

新製品の「アンチウイルス プラス」はビニールクロスや石膏ボード、木部など室内の壁を対象とした水性塗料。抗菌・防カビ・消臭・クリーニング・不燃など従来から備えていた室内壁用としての機能に、抗ウイルス機能をプラスして新たにラインアップした。

抗ウイルス性については、新型コロナウイルスと同類のエンベロープ型ウイルスで試験し、99.9％以上の繁殖抑制効果があることを公的機関で実証。

また、光触媒酸化チタンや消石灰系の抗ウイルス塗料が淡彩色に限定されているのに対し、濃彩色のラインアップや調色対応ができるのも同品の特徴だ。「有機系の特殊な抗ウイルス薬剤をマッチさせることで色への影響を回避、デザイン性を犠牲にすることなく製品化できた」（同社技術部）とコメント、カラーデザインも楽しめる抗ウイルス塗料として仕上げた。

更に、白を基調とした上質感のある容器デザインを採用。安全で清潔感のある上質な暮らしとのイメージを表現し、ホームセンターの店頭やECサイトの画面で存在感を示していく。容量は0.5ℓ、2ℓ、4ℓ、15ℓの4タイプ。淡彩、中濃彩、濃彩の18色を標準色で揃えた他、調色対応も行う（2ℓ以上）。

コロナで近づいた"壁を塗る"文化

「海外のように、住まい手が当たり前のように部屋の壁を塗り替える"ペイントDIY文化"を国内にも育てたい」と同社の地平宏会長。塗料の内装市場の開拓と一般消費者への普及を同時に達成するペイントDIY文化の創造を自社のミッションに掲げる。2000年には、200色のカラーラインアップを誇る国産初の本格的なインテリアペイント「J COLOUR」を発売。以来、色を楽しむ暮らしを基点に一般消費者へ向けペイントの魅力を発信し続けてきた。

そして2014年に「ミルクペイント」が女性層を中心にDIY市場でブレイク、続いて「アイアンペイント」や「アンティークワックス」「オールドウッドワックス」といったハード系の商品が男性の客層を顕在化させてヒット、ペイントDIY普及への手応えを感じ始めていた。

そうした中、コロナ禍で発生した"巣ごもり消費"と連動するようにユーザーの行動に変化が表れてきたと説明する。「ペイントの楽しみ方がより大胆になってきた」（地平氏）動きだ。

「以前は、100円ショップのグッズをペイントして楽しむようなホビー的な使い方が多かったのですが、最近は大きな家具や扉を塗り替えて部屋を大胆にイメージチェンジするといったように、本来のペイントDIYに近づいてきている」（同）と、SNSにアップされている多数の作例からユーザーの行動変化を分析。多くの人の在宅時間が長くなったコロナ禍を経て、より居心地の良い住空間を求めるニーズにペイントDIYが連動しているとし、「"壁を塗る"までの距離が一気に縮まっている」と確信する。

そうした動きを受け、抗ウイルス機能による安全安心と、ペイントカラーによるインテリアのデザインニーズを満たす「アンチウイルス プラス」を、満を持して発売。ペイントDIY文化創出への切り札として期待を寄せる。

一方、同社は「アンチウイルス プラス」による施工ビジネスも視野に入れる。これまで、店装関係やヒーリングアートなどの分野で多数の施工実績を有しており、その施工能力を抗ウイルス塗装の施工サービスに振り向ける。学校や幼稚園、クリニック、オフィス、飲食店などへの施工サービスの提供を想定する。

同社の松村隆社長は、「安全安心な空間づくりはもちろん、色による癒し効果などこのような時代だからこそ改めて"色の価値"が浮かび上がる。塗料の機能性による安全安心と、絵具メーカーでもある当社だからこそ説得力を持つ"色"の強みを相乗させダイナミックに展開していきたい」と語る。