機能性粉体塗料 高電圧化トレンド対応の新製品投入

住友ベークライト

樹脂メーカーの住友ベークライトは、電気回路において絶縁物表面に意図しない電気の通り道が生じる「トラッキング現象」に対する抵抗力を高めた「高耐トラッキング性エポキシ樹脂粉体塗料」を市場投入した。高電圧EV(電気自動車)や電動垂直離着陸機(eVTOL)、次世代産業機械など、今後の増加が見込まれる高電圧デバイス・システムにおける電気回路の絶縁被覆向けに提案を進めている。

現在、次世代モビリティや電子電機産業において高電圧デバイス・システムの実装が拡がっている。例えばEVでは、航続距離延長や充電時間短縮を目的に電気システムの400Vから800Vへの転換が進んでいる。高電圧化は大電力の高効率伝送や装置の小型化などさまざまな利点があり、各種次世代技術への適用を通じ市場が拡大していくと見られている。

他方、高電圧化は電気回路の安全面でのリスク増大につながる懸念がある。
電気回路において、樹脂やゴムなどの絶縁物表面に設計にない電気の通り道(トラック:短絡路)が生じる「トラッキング現象」は高電圧になるほど発生しやすい。短絡路ができると+極と-極の間でショートが起き、突発的な発熱・発火といった非常に危険な状況につながる可能性がある。このため高電圧化は従来以上の絶縁対策とセットで取り組む必要がある。

トラッキング現象の予防には電気回路を形成する導体表面の絶縁物での被覆が有効で、こうした用途で用いられるのが絶縁塗料だ。同社では従来、エポキシ樹脂ベースの絶縁粉体塗料「スミライトレジン」を展開し一定のニーズを確保している。「今回、高電圧化トレンドの拡大に伴う市場要求に対応するため、耐トラッキング性能を向上させた新製品を開発した」と同社の担当者は説明する。

具体的には、従来製品の塗膜の絶縁破壊電圧は30~40kV/mmと高水準にあるものの、絶縁耐久性の指標の1つであるCTI(比較トラッキング指数)は300~600Vであり高電圧用途には十分ではなかった。これに対し新製品はCTI900Vを達成しており「市場の要求をカバーできる性能を備えていると考えている」とのこと。

これまで同社の絶縁塗料は完成品メーカーやそれと連携する部品メーカーへの供給がメインだったが、新製品は塗装対象がある程度限定されるため、異なる状況が生まれる可能性がある。
「当面のターゲットとしてEVのバッテリーバスバーをはじめとする高電圧バスバーを想定している。こうしたバスバーメーカーが絶縁塗装を行って絶縁対策済みの製品として供給することもあり得るのでは」と指摘する。

被塗物のサイズや形状、素材などによって適切な塗装方法は異なる。同社では、バスバーメーカーからの要望があれば設備導入や塗装技術に関するサポート提供も検討可能としている。