樹脂メーカーの住友ベークライトが開発した、水系塗料の添加剤として使える水溶性フェノール樹脂「AQNOA(アクノア)」に対する塗料メーカーの関心が高まっている。独自技術により、従来の課題であったフェノールとホルムアルデヒドの残存モノマー量を0.1%未満まで低減したもので、焼付用水系塗料の機能向上が期待できる。

フェノール樹脂はフェノールとホルムアルデヒドを原料とする熱硬化性樹脂で、耐熱性や耐食性、接着性、電気絶縁性といった多彩な機能性を有する。自動車部品や電気・電子部品、建材など幅広い産業分野で実績があり、塗料分野では缶の内面塗料への配合剤として広く使われている。

供給形態として水溶性タイプを求める市場は少なくない。しかし既存の水溶性製品には、合成時にフェノールやホルムアルデヒドが十分に反応し切れず残存モノマーが生じやすいという課題があった。

フェノールやホルムアルデヒドは人体に悪影響があり、残存モノマー量により法規上のさまざまな制約を受ける。このため、従来は用途が広がりにくかった。

同社が開発した水溶性フェノール樹脂「AQNOA」は、残存モノマー量を0.1%未満まで低減し、かつ高い水溶性も実現。同社によると世界初の成果とのこと。また、フェノールとホルムアルデヒドは臭気があるが、これを抑制できることも利点となる。

「AQNOA」の開発は2021年にスタートし、24年に量産が開始された。開発品の段階から技術情報を随時HPで公開していたところ、塗料メーカーからの水性塗料への添加用途での問い合わせが特に目立ち、現在も継続している。従来、同社は缶の内面塗料用途以外での塗料・塗装業界とのビジネス上のつながりは薄く、新市場開拓が見込める動きとして期待を高めている。

AQNOAを水性塗料に添加すると、フェノール由来の水酸基の作用により金属基材との強い密着性が得られる。加熱処理によって熱硬化させることで、塗膜の耐食性と耐熱性も向上する。

同社HPでは、代表グレード「PR-56449」を市販の水性塗料(メラミンアルキッド樹脂系、ウレタン系、アクリルポリマー系一液反応型)に配合した場合のテスト結果を公表している。各種水性塗料に10%添加し、アセトンで脱脂した酸洗鋼板にバーコーターで10~20μm厚の塗膜を形成後、150℃の熱風式乾燥機で20分乾燥・硬化したサンプルを用いた。結果として耐食性と耐熱性の向上が確認されている。