愛知高浜工場、現場力による生産体制

日ペ・オートモーティブコーティングス

日本ペイント・オートモーティブコーティングス(NPAC)が主力生産拠点である愛知高浜工場の工場見学会を報道向けに実施した。同じ敷地内に製造、営業、技術が配置されている特性を生かして、現場力及び顧客対応力の強化を図っている。

NPACは日本ペイントグループにおいて自動車に関わるすべてのコーティングを提供する自動車塗料メーカー。国内外に拠点を持つ中で、国内の自動車用塗料の7割を愛知高浜工場で生産している。敷地内には4つの工場があり、第1工場(操業1970年)は水性の中塗り塗料と電着塗料、第2工場(1973年)は溶剤の中塗りと上塗り塗料、第3工場(1978年)は半製品である樹脂ワニス、第4工場(2001年)は水性の上塗り塗料を製造する。自動車塗装は前処理後に、電着、中塗り、ベース、クリヤーと塗装されるが、すべて愛知高浜工場で製造している。今回、第4工場を公開した。工場1階が充填エリアで2階が仕込みと調色作業を行っている。

作業管理を徹底
自動車用塗料の製造において、塗膜の異常で一番大きな不具合がハジキ。表面張力の異なる物が塗料の中に入ると穴が開くような状態になり、自動車10台に1つでもあれば大きな問題となる。そのため、現場ではゴミブツ対策などさまざまな工夫が施されている。

工場内の空気は陽圧になっており、窓を開けると空気が外に出るため外部からゴミや埃が入らないように設定し、床の端はアール形状でゴミや埃が溜まりにくい構造としている。

仕込みエリアは上部に配管を通さずにゴミや埃が落ちにくい設計。タンクにはキャップをして原料容器の上にゴミ埃が乗らない工夫を行う。

仕込み工程では、塗料製造のタンクはシンプルな構造で、原材料を"入れて混ぜる"を繰り返す。シンプル設備で製造しており、人の手による投入と自動セットで投入される場合がある。

原料の容器はドラム缶、石油缶、粉体用袋などさまざま。自動車用塗料では1つの塗料に20~30種類もの原料を入れる。

品質の安定化を図る上で環境条件を一定に保っている。タンク内は決まった温度と攪拌時間でコントロールされ、工場内は年中20℃に設定。同じ条件下で塗料製造を行うことで品質のバラつきを防ぐ。建築塗料や工業用塗料よりも管理基準は厳重だ。

水性ベースのタンクは、1番大きいサイズで8トン、最小で2トン。作業管理表に則り仕込み作業を行うが、オペレーションガイドにデータが飛ぶ仕様。原料1つ1つにバーコードラベルが貼り付けてあり、それを読み込ませて品名と照合を行う。異品種であったり、品質保証期限切れであったりした場合はアラームが鳴り、仕込みミスを防いでいる。

ほとんどの塗料種類は100%仕込むが、光輝材などを含む難しい色の場合は90%に抑えて残りは調色工程で色を調整していく。

調色作業室も2階にある。調色は顧客の承認塗版に色を合わせ込むが、角度ごとに色を合わせ込むのは容易ではない。扱っている塗色数は200色ほどあり、最終の色判定は社内検定の調色士1級者が行う。その後に品管のユーザーの担当者と目合わせを行ってユーザーに供給する。

調色の流れとして、仕込みが終わった塗料をカートリッジに充填し、塗装ブースで塗装を行う。塗装と焼付乾燥をして色相判定。調色士の目で見て色判定し、NGであれば補正する。このサイクルで調色を行い、最終的に色相判定がOKになったものが次の工程である充填に進む。

色相判定は色差計で測るデータと目視判定がある。色差計で基準版との差を測り、顧客の規格範囲内に数値を納める。それにプラス目視判定する。

原料の着色量やロットブレ、前回と同じ量を入れても同じ色が出るとは限らない。そのため、「補正は過去のデータ実績も参考になるが、1人1人の感じ方があるので経験が必要。原色が持っている"動き"も把握して総合的に判断している」と人の感性も重要。

1階フロアはすべて充填エリア。配管やタンクの洗浄性を見るために、管の一部が透明になっていて確認する。間違った配管を開けないように1つ1つに鍵が施錠。鍵を持つ責任者とダブルチェックすることでミスを防ぐ。

充填する前にはフィルターを通してろ過するが、ろ過した物にゴミブツが入っていないか残渣チェック。フィルターを通っているためここでNGになることはほぼないが、入念に確認している。ここでOKになったものから充填スタート。充填されたタンクで顧客の生産ラインに供給される。

愛知高浜工場は製造、営業、技術が同じ敷地内にいることが大きな特長となっている。不具合があったときにすぐに対応でき、顧客からの要望がダイレクトに技術部に伝わる。新色が出ると技術部が製造現場に立ち会い、その結果をラボに持ち帰って調整できる。そうした現場力が、安全、品質含めて厳しい顧客の要望に対し、安定的に塗料を供給できる体制を担っている。