新発想の調色サービス始動、色精度は維持
カナヱ塗料
工業用塗料、船舶用塗料を主力とするカナヱ塗料(本社・大阪市、社長・春田隆司氏)は今年4月、新調色サービス「Kanae's standard colors」をスタートした。調色精度にあえて許容度を持たせ、色選びにおける手間や時間を大幅に削減したのがコンセプト。環境にも貢献する塗料調色の"新スタイル"として定着を図る考えだ。
工業用塗料、船舶用塗料を主力とするカナヱ塗料(本社・大阪市、社長・春田隆司氏)は今年4月、新調色サービス「Kanae's standard colors」をスタートした。調色精度にあえて許容度を持たせ、色選びにおける手間や時間を大幅に削減したのがコンセプト。環境にも貢献する塗料調色の"新スタイル"として定着を図る考えだ。
塗料調色は、色見本帳の色番号から発注されるケースや実際の品物・サンプルで色を合わせるケースなど方法は多岐にわたる。
いずれの方法においても発注者と調色者(塗料メーカーなど)が同じ色情報を有していることが調色サービスを成立させるための前提となっており、色見本帳は、色情報を共有化する重要ツールの1つとなっている。
しかし、色見本帳も発行年や保管状態によって色合いが微妙に異なるため、最後は塗り板による色確認を不可避にしている。1回で承認が得られなければ、2回、3回と塗り板の作成が求められる。
調色サービスは、需要家のカラーニーズに応える塗料ならではの価値とも言えるが、調色依頼から最終承認に至る過程には、膨大な手間とコスト、時間を要している。
そこで調色に要する手間を削減しつつ、需要家のカラーニーズにも応えようと開発したのが「Kanae's standard colors」(以下KSカラー)。出荷頻度の高い中彩色、濃彩色を中心とした42色を標準色、常備色として取り揃えた。中でも調色精度に幅を持たせた点が最大の特色だ。
例えばグレーの場合、通常はマンセル値N5.5、JPMA番号(日塗工標準)N55などと表記するところ、KSカラーではN6~5、N60~50とし、調色精度に許容度を持たせている。一見、色ブレを許容したかに思えるが、同社によると「目視では判別しにくい色差」だという。また、メーカーや塗料の種類によって色差が出やすいマンセル値のみの塗色については標準色として設定し、予め発注者の理解が得られるスタイルにした。
調色精度に範囲を持たせたとはいえ、42色とも目視判別が難しい範囲に抑えることで、調色作業に伴う労務負荷と塗料、溶剤の残滓削減を実現。更に色確認に用いる塗り板の作成や配送回数を減らすことができる。
一見メーカー側にメリットの高いサービスのようにも映るが、同社はこれを真っ向から否定する。
「調色作業に伴う負荷やコストは、間接的に製品価格に転嫁されていることを知ってほしい」と春田隆司社長。色精度に対しても「色見本帳のような2次元の色票と立体物のワークに塗り上げた際の色は、そもそも同じ色であっても発色は異なる」と厳密な色管理の難しさを指摘する。そのため顧客にとってもリードタイムの短縮、コスト低減に寄与するサービスとして理解を求めていく構えだ。
このKSカラーを発案したのは、調色作業を担当する現場社員。調色精度の要求が厳格化すればするほどムリ、ムダが生じる現状を重く捉え、打開策として考えついたという。
実際、塗料メーカーの調色サービスは、年々負荷を高めている状況にある。熟練の技能が求められる職域であるにも関わらず、人材不足が顕在化しており、サービスの持続性に課題を抱えている。
KSカラーをスタートしたのは、今年4月。折しも中東情勢の緊迫化に伴う供給不安と時期が重複するが、「昨年から準備していたもので今般の中東情勢を見越して始めたものではない」としつつ、塗料、溶剤の節約、コスト低減に寄与するサービスとして引き合いが増えているという。
KSカラーに対応するのは、工業用塗料、船舶用塗料の10ブランド。ブランドごとに、42色の中で対応できる塗色を標準色(規格品)と常備色(在庫対応)に分けた。KSカラーの指定は調色無料。特注色においては、これまでと同様に有償で対応する方針。