住まいの外壁にも「経年優化」の楽しみ方を

時を経るごとに趣（おもむき）が増す自宅の外壁。風雨にさらされることで却って味わいが出る外壁は、経年劣化ならぬ『経年優化』の時の楽しみ方を教えてくれる。そうした、住む人の心を満たす演出効果を担っているのが塗料だ。オーストラリア製の「PORTER'S PAINT（ポーターズペイント）」で彩られた住宅が、外壁塗装の新たな価値を発信している。

　

独特の色とテクスチャーで魅力を放つオーストラリア・PORTER'S PAINTS社製の意匠性塗料「ポーターズペイント」。国内では輸入総代理店のNENGO（神奈川県川崎市）が2001年から展開し、海外の意匠性塗料の先駆けとして市場に浸透させてきた。PORTER'S PAINTS社だけにしかない門外不出の顔料が織りなす空間は、光がつくりだす柔らかな陰影と光がひきだす無限の色彩で人々を魅了、住宅、商店建築、公共施設など広いシーンで使われてきた。

その意匠性の高さから、国内ではこれまで内装での採用が多かったが、NENGOではこのほど建物の外装仕上材としてのポーターズペイントの展開も始めた。「本国のオーストラリアではむしろ、建物の外装で塗られている方が多いくらいで、一般の住宅から歴史的な建造物まで多くの建物の外装でポーターズペイントが採用されています」（同社・山口円マネージャー）と説明。

その理由について山口さんは、「単にその建物だけの保護や美観といった観点ではなく、ポーターズペイントがもたらす周りの景観への影響から採用されることが多い」とコメント。

PORTER'S PAINTS社だけにしかないアースカラー系のオリジナル顔料が周りのどんな景観とも調和させ、ストーンペイントやライムウォッシュなど塗料に含まれた天然の素材が時を経るごとに意匠的な効果を発現。周りの景観に溶け込みつつ、時の移ろいを豊かに感じさせる感性的な価値が支持され、外装用塗料としての位置づけが確立されていると言う。こうした、国内にはまだない新たな価値の創出にNENGOは挑む。

地域に溶け込む壁、塗料で演出

同社はこのほど、「旗竿地の家」という自社プロデュースの規格住宅（戸建て）の建設と販売を始めた。旗竿地や狭小地など不利な条件の敷地でも、そのデメリットを逆手に取り、豊かな暮らしを提供する逆転の発想の家。その住宅の外装全面にポーターズペイントを採用、外装市場進出の足掛かりにしたい考えだ。

「旗竿地の家」は、四方を高さ5ｍの外壁で囲った家と庭からなる規格住宅。四方を隣家に囲まれた旗竿のような敷地でも、周りの視線を気にせずリラックスして暮らせる家だ。

ウッドデッキが敷かれた庭は、家と地続きのアウトドアリビング。屋根のない開放的な空間に光が降り注ぎ、1階と2階の大きな窓を通して部屋の中も明るい光に満たされる。庭の向こうの隣家との境には壁があるので視線を気にする必要がなく、カーテンのいらない暮らしが楽しめる。

構造が見えるほどシンプルなつくりにしているのは、居住ニーズの変化に柔軟に対応させるため。家族構成や住まい方の変化に合わせて間取り変更がしやすい可変性を持たせ、世代を超えて長く住み継がれる家にした。

その思いは、使われる素材にも表れている。フローリングには厚さ30mmの杉の無垢材を標準スペック。柔らかくて暖かい杉の感触が楽しめるよう30mmの厚みを持たせ、経年で生じる無垢材ならではの傷や変色も味わいに変える、そんな計らいが込められた。

そして、内外装の壁を彩るポーターズペイントだ。内装には落ち着きの中に遊び心を感じられる色「グレイペッパー」を採用。カーテンのない窓を通して届く陽の光の変化が壁をダイナミックに演出、ポーターズペイントならではの室内空間を楽しめる。

家の四方を囲った5mの高さの外壁全面には、ポーターズペイントの「ワトルシード」という色を採用。アカシアの木の種子を意味し、少し茶色掛かった赤みを感じる色合いだ。「ここ（取材したモデルハウスが立地する川崎市の生田緑地）は、関東ローム層の中で最も古いとされる多摩ローム層の赤土の上に形成された敷地で、周りの竹林の補色として相性もいいことからこの色を選びました」と山口さん。

「今回は、消石灰と熟成石灰を混ぜてつくったライムウォッシュのペイントを外壁に使いました。塗料に含まれたそれらの成分が雨に反応して白く浮き上がり、時を経るほどに外壁の表情の変化を楽しめます。『旗竿地の家』自体は四方を壁で囲っていますが、それは決して周りとの隔絶を意味するのではなく、色や経年で優化していく壁の表情を介して隣家や周辺環境との関係性を良化させていく、そんな意味が込められています。外壁を単なる"壁"として捉えるのではなく、周りとの関係性の中に位置づければ、そこを彩る塗料にも新たな役割が見えてくるのではないでしょうか」と指摘。

「ポーターズペイントだからこそ表現できる経年優化の楽しみ方、豊かな暮らし方をご提案し、街の外壁を彩る塗料として広めていきたい」と外装市場の開拓に乗り出す。