安定市場からの突破口を探る

コロナ禍の収束以降、安定した需要を確保する塗り床市場。直近2年は資材高、地政学リスクを要因に苦戦が続くが、企業の積極的な営繕活動が需要を下支えする。それでも緩やかな漸減傾向を打開するまでには至っていない。専門工事業者の人手不足も顕在化する中、施工ユーザー拡充が成長の鍵を握る。

 


2025年度の塗り床マーケットは、3年ぶりに3万トンを割り込んだ2024年度を更に下回る見通しだ。

コロナ禍で急落した2020年度以降着実に持ち直してきたが、2024年度は資材費、人件費、エネルギー費の高騰を受け前年ダウン。2025年度も需要に一服感が見られること、米・トランプ政権による関税措置を背景に営繕投資が弱含みしたと見られる。2026年度は企業業績の回復に伴う復調が期待されるが、依然として先行きの見通しが難しい状況での事業展開を強いられそうだ。

しかし、コロナ禍収束以降も需要低迷を続ける建築塗料市場と比べると安定ぶりが際立つ。法人・企業を最終需要家(施主)に抱えていることによるものだが、企業の労働環境の改善、環境安全性に対する取り組みが塗り床市場を下支えしている。

メーカーにとっては、企業の環境投資に乗じて販売拡大につなげたいところだが、攻め手に欠けるのも塗り床市場の特性。メーカー、販売店、ユーザーとの緊密な関係を土台としたリピート需要を基盤としており、"受け"のスタイルからどう"攻め"に転じるか。事業スタイルの転換を模索する姿がうかがえる。

その中で1つはっきりとした動きになっているのが、外壁、屋根、床をパッケージにした改修需要の取り込み。施主企業が抱える脱炭素化や労働環境の改善、人材の確保などの複合的な課題に塗装工事で応えようとする方向性。バイオマス塗料の開発や塗料・塗装によるCO2排出量の明示がその一例で、社会ニーズから新たな付加価値の可能性を広げている。

結果的にメーカーの材工展開に拍車をかけているが、メーカーとしてはボリューム(数量)とどうバランスを取るか。材販、施工の両輪展開を不可避とする中で、製造からアフターサービスに至るバリューチェーンの再構築が必要となっている。

一方で、製品開発においては、半導体工場、精密機械工場に向けた導電性塗床材の提案が活発化する他、簡便性を追求した製品投入も活発化している。これまでも電動攪拌の不要や1液化、速乾性などが講じられているが、最近では基材の種類や床面の状況を問わずに使える万能プライマーの投入が目立ってきた。

こうした簡便性を高めた製品開発が活発化する背景には、工事量の減少を新規ユーザーの掘り起こしでカバーしたいとの思惑が見える。床専門工事業者においても人材不足が顕在化しており、施工における物理的、心理的ハードルを下げることで、工場従業員によるセルフメンテナンスの活性化、一般塗装業者の参入を促したいとの狙いがある。

特にこれから課題になるのは、中小の工場・倉庫に対する施工体制の構築。大規模物件に対して優先的に専門施工業者が従事することが予想される一方で、中小物件に対しては職人不足からセルフメンテナンスが一般化する可能性がある。

そこで期待されるのは、メーカー、地域販売店のサポート体制。緩やかながら需要減少が予測される中で求められるのはユーザーの拡充。製品の簡便性、利便性向上と合わせて技能を育成、支援するサービスが求められると見る。



塗り床材出荷数量推移
塗り床材出荷数量推移

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